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スタッフが生き生きと働くケーキ屋

第1回・「パティシエ エス コヤマ」の巻

魅力を発信し、憧れの業界になる

――小山さんにとって、良いリーダーとはどんな人でしょうか?

小山:これは僕の持論ですが、自分のすごく得意なことが人よりも多いほうがいい。そして、今は身についていないけれど、次の課題を持って、新しいことにチャレンジする意思が必要です。

 「大の苦手」もあったほうがいい。これが良いリーダーの資質のような気がしています。例えば、僕はケーキも作れるし、デザインもできる、カカオの勉強も一生懸命している。だけど、机の上が全然片付けられない。そういう、ちょっと抜けている部分があったほうがいい。苦手はチャーミングだと思います。リーダーは完璧で何でも知っていなければならないと思っていると、失敗したときに手を挙げられなくなるんです。できないことは素直に「すみません、助けてください」と言える。リーダーはそんな人であってほしいと思っています。

――労働人口が減っていくなかで、人材採用は今後どんどん厳しくなっていくかもしれません。企業はどう立ち向かっていけばよいのでしょうか?

小山:僕がいま世界のチョコレートの大会に出たりしているのは、洋菓子業界をみんなが憧れる業界にしたいという思いがあるからです。今まで以上に「ケーキ屋っていいよ、楽しいよ」と思ってもらえるように、まずは業界全体の底上げをしなければならないと思っています。

 だから、僕は日本人のパティシエがどう評価されているかということを世の中にしっかり伝えていかないといけない。どんな能力が評価されているのか、どんなプロセスを経たらそうなれるのかを教えて、「自分もなれるかも」と思ってもらいたいんです。

 音楽が好きなパティシエもいます。いろんな分野のクリエイターとパティシエがコラボレーションして、ものづくりの感性が共鳴し合うことで新しいものを生み出すこともできると思います。そういうところまでケーキ屋のレベルを上げていくことができれば、もっと魅力を感じてくれる人が増えると信じています。

(構成:尾越まり恵、撮影:水野浩志、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)