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現場へ権限委譲、働きがいある食品スーパー

第3回・「オオゼキ」の巻

一次面接から社長が同席する

――採用のプロセスについて教えてください。

明瀬:当社では以前から新卒社員をメーンで採用してきました。今は中途社員も幅広く採用しています。ただ、同じ食品スーパーから転職してきても、当社の特色である個人に裁量を持たせる働き方になじめず辞めていく人も多い。このため、採用するのは、まだ他社の色に染まっておらず、ゼロから教育できる新卒がベストとだと考えています。しかし、売り手市場の今は新卒採用だけでは人材確保が難しいというのが正直なところです。

 新卒社員は15年4月は約180人採用できたものの、16年は150人、17年と18年は約120人と残念ながら少しずつ採用人数が減っている状況です。それでも、売上高1000億円弱の当社が新卒の正社員を120人採用しているのは、業界では多いほうだと思います。

 現状、900人くらいの学生からエントリーがあり、その中から内定を出すのが70人程度、そのうち承諾を得て採用できるのが40~50人です。内定率は近年では7~8%くらいですね。

――エントリー数と比べると、内定者をかなり絞り込んでいますね。

明瀬:インターンシップや合同説明会までは人事が担当しますが、一次面接から最終面接までは石原坂寿美江会長兼社長がすべて参加します。石原坂会長兼社長が面接で確認するのは、我々と志望者が相思相愛かどうか。意欲を持って長く働いてほしいので、内定社の数を稼ぎたいというのではなく、本当にオオゼキで働きたいと思っている人かどうかを見極めます。

 特に決まった質問はありませんが、これまで印象に残った人生経験といった臨機応変の回答が必要な質問をしながら、話を膨らませていないか、マニュアルで身に付けたようなしゃくし定規の回答を並べていないかなどをチェックしています。

 そのために内定率は7~8%と低めですが、その分、入社後の離職率は低くなっています。

 ただ、求人難が続く中では、今後もう少し採用のすそ野を広げてもよいのではないかと考えています。まだ人格形成が終わっていない年代なので、選考をあまり厳しくすると、磨けば光るダイヤの原石を逃してしまう可能性があるかもしれません。入社前はそれほど熱心でなくても、入社してから熱心に仕事をするようになる人は割と多いのではないでしょうか。

 私自身、結婚して家庭を持つことで、仕事に関する自己啓発に力を入れ、より一生懸命働くようになったという経験がありますから。

――現場スタッフへの権限委譲など、他店とは違うオオゼキの特色ある働き方を面接を通じて理解してもらうために、何か特別な工夫をしていますか?

明瀬:内定前に全員がインターンシップで店の実務を経験します。入社後と同じ毎日のオペレーションを経験することで、オオゼキの仕事が肌に合うか、合わないかが分かります。実際に、働いてみて自分には続けられないと内定を辞退される人もいます。

 以前は3~4日間のインターンシップを実施して仕事をじっくり理解してもらっていました。最近は1日だけのインターンシップが多くの企業で主流になってきたので、当社もそれに合わせています。本来なら、もう少しじっくり仕事をしてもらったほうが理解は深まるだろうと思うところはありますが。

――高卒社員の採用にも積極的に取り組んでいます。

明瀬:レジ打ちと接客のプロといえるチェッカー職の多くは、高卒の正社員を採用しています。オオゼキのレジスタッフは昔から早くて丁寧、接客も抜群だと取材を受けるほどでした。今はこちらも正社員の採用が難しくパートやアルバイトスタッフを多く採用していますが、お客様に気持ちよく店を利用してもらうために、非常に大事なポジションだと考えています。