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現場へ権限委譲、働きがいある食品スーパー

第3回・「オオゼキ」の巻

OFF-JT教育を強化し、社員教育を体系化

――今後の人材採用、教育について、明瀬さんの思いを聞かせてください。

明瀬:食品スーパー業界は、今厳しい状況に置かれています。当社の18年2月期の売上高は約930億円で昨年比では微減となりました。間接コストが増えたことから、経常利益も今期は約62億円と昨年よりも減ってしまいました。

 売り上げが伸び悩んだ要因の一つとしては消費者の志向の変化が大きいと考えています。インターネットで食材を購入する人や、食材を買わずにお総菜や外食で済ます人が増えています。

 また、当社は市場から直送する生鮮食品が売りですが、最近はコンビニエンスストアやドラッグストアなどでも新鮮な食材が手に入るようになりました。そうすると、1キロ先のスーパーに行くより、50メートル先のコンビニで買い物をする人も増えてきます。

 このような業態を超えた競合が増える厳しい状況の中でも、1店当たりの人的資源で比べれば当社に優位性があると考えています。この人的資源を生かせば、厳しい状況を勝ち抜く方法はきっと見つかるだろうと思っています。そのために、人材教育には今後いっそう力を入れていかなければなりません。

――どのように人材教育に力を入れる予定でしょうか?

明瀬:これまでは、部門チーフなどに新人教育を任せ、「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング、職場内訓練)」を中心に社員を育ててきました。先輩との人間関係の中で人として成長し、知識を培い、接客や食材加工の技術を養っていたのです。

 ただ、以前は、「努力と気合いと根性で頑張る」という打たれ強い若者が多かったのですが、最近は世の中の傾向と同じく、指示待ちのおとなしい若者が多いと感じます。先輩が現場で「俺の背中を見て仕事の仕方を学べ」などと言っても、「具体的な指示がなければ分かりません」と言われてしまう。こうしたギャップが広がると、教える側も自身が若い頃教わった経験則をベースに指導できない部分が出てくるので試行錯誤をしているところです。

 また、店舗が増えるにしたがって、教える側の能力にもばらつきが出てきました。そこで、OFF-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング、学校や研修施設など職場以外で行う訓練)型の研修を増やし、組織として包括的な人材育成プログラムを用意するための準備を始めました。

 また、カンパニー長などの管理職には、コンプライアンス研修や経営に必要な管理会計などの教育を実施し、教える側、教わる側の両面で社員全体の力の底上げを狙っていくつもりです。

2018年4月に入社した新人の研修風景。この日は競合スーパーと自社を比較する、マーケット分析をした

(構成:尾越まり恵、編集:日経BP総研 中堅・中小企業ラボ)