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第2回・「事務所」を「オフィス」にリニューアルせよ!

名称次第で働き方が変わるという事実

 職場の名称だけでなく、実はスタッフの名称、呼び方を変えると、スタッフの働き方が目に見えて変わります。

 ご存じ「東京ディズニーランド」。ここで働くスタッフたちは「キャスト」という名称で呼ばれています。

 キャストだからこそ、誰もが東京ディズニーランドという“舞台”で、まるで登場人物として演じるように、ゲスト=「来客者」の前で働くのです。

 もしも、キャストという名称を付けていなかったら、今の東京ディズニーランドの盛況はなかったかもしれません。

 最近、こうしたスタッフの名称を変える動きが目立っています。かつての募集広告とは違って、「アルバイト募集」の一辺倒ではなくなっています。

 例えば、ローソンやマクドナルドの前を通りがかったら、「募集ポスター」を見てください。今は「クルー募集」となっています。

 クルーは「船乗り用語」。ヨットのクルーは、誰もがそれぞれ異なる役目を持って、しかしヨットを1つの方向に進ませます。

 企業やお店もヨットと同じです。スタッフと呼ぶよりも、連帯感や目的意識が強く備わります。

 「クルー」などの名称を付ける狙いはまさにそこにあります。これは心理学でいう「ユニフォーム効果」と同じものです。

 ユニフォーム効果とは、「人は着ている服に合わせた行動をする」というものです。

 スタッフの呼び方もユニフォームと同じように、人は付いた名称にふさわしい働きをするにようになります。

 ですから、職場の名称の進化とともに、働き手の呼び方を変えるとよいかもしれません。

 「隆生福祉会」(大阪市)は、日経BP社の「すごサイ(すごい採用プロジェクト)」プロジェクトに参加しています。介護施設を多数運営する同社では、スタッフの名称を「エスコート」に変えました。

 エスコートたちはその名の通り、利用者に対して、素晴らしい応対と技術で、もてなしの心を込めてエスコートしています。

 10回の研修を行うよりも、こうして職場や働き手の名称を変える方が、働き方は変わるかもしれません。

「エスコート」という名称を変えたことで自然と生まれたおもてなし

事務所からオフィスへの昇格の鍵は「色」

 「事務所」から「オフィス」にステップアップするといっても、そんなことにかけるお金の余裕はないという会社は多いでしょう。

 そこで用いたいのが、会社の「コーポレートカラー(基調色)」です。

 せっかくロゴで使っているコーポレートカラーがありながら、それを大事にしているでしょうか。

 今一度見直して、備品や家具・什器類を、なるべくコーポレートカラーと同じ系統の色に揃えましょう。

 こんな些細なことでも、十分に「事務所」から「オフィス」へ駒を進めることができます。

 例えば、老舗のタコ加工会社「小沼源七商店」(茨城県ひたちなか市)。

 それまで色に特別こだわりを持っていませんでしたが、採用力強化に乗り出したことを機に、色を統一しました。

 まずユニフォームをタコの色(ワインレッド)にしました。

 呼び出しベルやスリッパ、タコのマスコットなど職場の備品もタコ色に統一しました。

 屋外に置いた花壇のプランターの色もタコ色にしました。

 同社はコーポレートカラーを決め、さまざまなものをタコ色の同系色に揃えたことで、以前のねずみ色を中心としつつもバラバラな配色だった“ザ・事務所”から、少しは脱することができました。

 社内の壁に掲げる掲示物も、再考したいアイテムの1つです。

 社是・社訓・ビジョン・ミッションなど、単に白地の紙に墨文字で書かれているようでは、“ザ・事務所”そのものです。

 日経BP「すごサイ」に参加している建設会社「八光建設」(福島県郡山市)。

 この会社も、かつては「昭和」から変わらぬ額装で、社是・社訓を飾っていました。

 しかし、採用を強化し、「事務所」から「オフィス」に進化する活動の一環として、すべての掲示物を刷新しました。

 「社訓」も、「社是」も、「会社の目標」も、「モットー」も、「行動規範」も、すべて写真をレイアウトした上にメッセージを載せるスタイルに刷新しました。

 八光建設のコーポレートカラーは赤なので、ポイントなる赤色が目立つような背景にしています。

 お金をかけてリフォームしたり、引っ越したりしなくても、ちょっとした工夫で、「事務所」から「オフィス」へと進化することができるのです。