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旭化成に学ぶ情報基盤クラウド化の最適解

マテリアル、住宅、ヘルスケアの3つの事業領域を中核にグローバルなビジネスを展開する旭化成株式会社。同社は先ごろ、コミュニケーション基盤となるグループウェアを自社構築のオンプレミスから、クラウドサービス「Microsoft Office 365」に移行した。併せて、クラウドセキュリティサービス「HDE One」を導入し、社外からセキュアにメールの送受信やWeb会議などが行えるICT環境を整備。必要な情報にどこからでもアクセスできるようにすることで、働き方改革の一助としている。

グループの事業展開を支えるICT基盤を整備

 旭化成グループは1922年に創業以来、社会の変化や時代のニーズを見据えて積極的に事業の多角化に取り組み、事業ポートフォリオの転換を図ることで成長してきた歴史を持つ。現在は、繊維・ケミカル・エレクトロニクス事業の「マテリアル」、住宅・建材事業の「住宅」、医薬・医療・クリティカルケア事業の「ヘルスケア」の3つの領域を中心に事業を展開している。

 そして、「収益性の高い付加価値型事業の集合体」という2025年のグループのあるべき姿を見据え、2016年4月から3カ年の中期経営計画を進める。同計画は、多角的な事業と多様な人財の結束(Connect)により、次の飛躍の基盤をつくるための期間と位置づけられ、成長・収益性の追求、新事業の創出、グローバル展開の加速を基本戦略に掲げている。

 こうしたグループの事業展開を支えるインフラとして旭化成はICT環境の整備を進めてきた。例えば、2012年にグループ全体のコミュニケーション基盤として、メールやスケジュール、社内Web、インスタントメッセージ、Web会議などの機能を備えるマイクロソフトのグループウェア製品を導入し、オンプレミスでシステムを構築。国内のグループ会社に加え、一部の海外拠点を含め、約3万2,000ユーザーが情報を共有・交換できるICT環境を提供してきた。

クラウドやスマートデバイスの利用が拡大

木原 穣 氏
旭化成株式会社
IT統括部 システム運営グループ 課長
木原 穣

 「マイクロソフトのグループウェアを構築してから5年がたち、リプレースの時期を迎えていたことに加え、この間、ICT環境やユーザーのニーズも大きく変わってきました。そこで、システムを刷新することになったのです」と話すのは、グループウェアなど情報系インフラの企画・構築・運用を担う、旭化成 IT統括部システム運営グループ課長の木原穣氏だ。

 ICT環境の変化の一つがクラウドの広がりだ。「クラウドサービスを利用し、どこからでもセキュアにグループウェアを利用できる情報インフラが求められていました」(木原氏)。そして、従来の使い勝手を大きく変えずにユーザーが利用できるグループウェアとしてクラウドサービスの「Office 365」を導入した。2017年1月のことだ。

 もう一つのICT環境の変化がスマートフォンやタブレットなどスマートデバイスの普及である。従来のグループウェアはWindows PCの利用を前提に営業担当者などがノートPCを使って、社外でグループウェアを利用することができた。しかし、ノートPCを起動し、暗号化通信のSSL-VPNで社内ネットワークに接続するといった手順が必要で、アクセスに手間がかかる。また、携帯電話でもメールのやり取りはできたが、携帯電話の表示画面は小さい上、添付ファイルは利用できないといった制約もあった。

 Office 365導入後は、スマートデバイスであれば簡単な操作でグループウェアにアクセス可能となり、ユーザーのニーズにも応えられるようになったという。「IT統括部の中期計画においてもクラウドの利用やスマートデバイスに対応するICT環境の整備を掲げているのですが、クラウドサービスのOffice 365の導入に伴い、いかにセキュアなクラウド環境を実現するかが検討課題になりました」と木原氏は振り返る。