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従業員の業務状況の可視化により働き方改革を加速

パナソニック

従業員の業務状況の可視化により
働き方改革を加速

パナソニックでは、現在、ビジネストランスフォーメーション推進の一環として、働き方改革の実践に注力している。その中で、従業員の業務の状況を詳細に可視化することの必要性を痛感。自社の取り組みの中で得られたノウハウをベースに生み出されたのが「働き方改革支援サービス」である。各人の業務習慣を明らかにすることで、従業員自らの働き方に関わる気付きを与えるサービスとして注目される。

4つの領域の施策展開で
働き方改革を推進
西谷 裕之 氏
パナソニック株式会社
コネクティッドソリューションズ社
モバイルソリューションズ事業部
東アジア営業統括部
営業企画部 部長
西谷 裕之

 現在、ビジネストランスフォーメーションの推進に向けた取り組みを全社を挙げて展開しているパナソニック。その中で変革の大きな柱と位置づけているのが、社内のカルチャーおよび経営層や従業員のマインドを変えるための風土改革だ。「お客様に近づき、寄り添うことを目的に、働き方改革、コンプライアンス、ダイバーシティーという各切り口で取り組みを進めています」とパナソニックの西谷裕之氏は紹介する。中でも働き方改革に関しては、ワークプレイス、ICT利活用、人事制度、業務プロセスという4つの領域で具体的な施策を実施している。

 まず、ワークプレイスについては、2017年10月にパナソニックにおいてBtoB分野のビジネスを担うコネクティッドソリューションズ社の、これまで大阪と首都圏に点在していた拠点を東京・汐留のビルに移転集約した。オープンスペースの設置やフリーアドレス制の導入などにより、従業員同士、あるいは従業員と顧客の接点を最大化。ビジネス価値の「共創」を加速させるための環境を整備している。

 ICT活用については、全従業員の間でSkype for Businessの利用を定着させることでスピーディーなコミュニケーションが可能となっている。

 人事制度改革に関しては、従業員がテレワークを利用する際の条件を緩和することで利用率を向上させ、各人の生産性やワークライフバランスの向上につなげているほか、裁量労働制によるスマートワークの導入なども進めている。

 「加えて、上司と部下の対話の時間を増やすことで1on1コミュニケーションを促進するなど、従業員の成長支援を目指した制度面での取り組み強化なども行っています」と西谷氏は語る。

 そして、業務プロセスの改革については、無駄な業務を減らし、そこで削減された工数を、戦略実行に向けて集中すべき業務へとシフトしていくことを基本方針に業務プロセスの見直しを実施。従業員の生産性向上や会社としてのリソース配分の最適化を目指している。

 「各人の業務のうち、どれが無駄で、どれが集中すべきものであるかを知るためには、現在の業務の状況を詳細に可視化することが必要です。そのため、当社では効果的な可視化のアプローチを模索してきました」と西谷氏は言う。そうしたパナソニックの取り組みの中から生み出され、顧客にも提供されることになったのが、同社の「働き方改革支援サービス」である。

PCの操作状況を
ダッシュボード上で可視化

 働き方改革支援サービスは、従業員の働き方を様々な角度から可視化することをベースに、各人の業務習慣を把握できるようにして、当の従業員の振り返りを促し、気付きを与えることを目的としている。

 具体的には、以下の4つのサービス群で構成される。まず、適正な労務管理と生産性の向上を実現する「可視化サービス」、社員のストレス・健康管理を行うための「ストレスチェックサービス」、そして快適なモバイルPC操作環境を提供するための「ソフトウェア型VPNサービス」、PCの紛失・盗難時の情報セキュリティ対策を提供する「遠隔データ消去サービス」だ。

働き方改革支援サービスの概要
「働き方の可視化」により業務習慣を「見える化」する
働き方改革支援サービスの概要
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 可視化サービスは、従業員のPCの操作状況をダッシュボード上で分かりやすく示すというもので、ログインやログアウトだけではなく、キーボードやマウス操作をも可視化できる。さらに、各人が利用するアプリケーションに着目し、アプリケーションごとの使用時間の割合を1日や1週間といったスパンで確認したり、部門の平均と比べてどのような偏りがあるのかを把握することも可能。さらにはアプリケーションで利用しているファイルカテゴリーの分類により、例えば顧客に向けた提案書を作っている時間、会議用の内部資料を作っている時間など、作業内容にまで踏み込んで業務の実態を明らかにすることもできる。

可視化サービスのダッシュボードの例
アプリ利用状況の可視化を通じて、自分の仕事を振り返ることができる
可視化サービスのダッシュボードの例
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PC搭載のカメラで
ストレスレベルを推定

 次にストレスチェックサービス(2018年8月末ごろ提供予定)だが、これはPCに装備されたフロントカメラを利用して操作している従業員の画像を捉え、ストレスレベルを推定するというもの。一般に人は、ストレスレベルが高いケースでは脈拍が固定化し、逆にストレスが低い場合には脈拍の変動が活発であるとされている。同サービスでは画像の光の反射を分析することで脈拍の変動を捉え、その推定を行っている。

 「これら可視化サービス、ストレスチェックサービスの活用は、新たなマネジメントスタイルである1on1コミュニケーションの効果の最大化に貢献できるとともに上司と部下の間の信頼関係を育んでいく上での重要な情報になるはずです。ひいてはそれが、従業員に対する成長支援や働きがいの創出にも直結すると考えます」と西谷氏は強調する。

 ソフトウェア型VPNサービスは、無線が混雑するような場所で暗号化を維持したまま通信速度を改善する自動補正の制御を可能にするもので、例えばビデオ会議ソフトを通信品質が低い環境でも快適に利用することができる。遠隔データ消去サービスと併せて、働き方改革における重要な取り組み領域であるテレワークの活用における利便性・安全性に貢献する。

 「業務状況の可視化を通じて、お客様は適正な労務管理が行えるようになり、そのことがサービス残業を減らし、長時間労働を撲滅することにもつながります。こうしたことが働き方改革に大きく貢献することは言うまでもありません」と西谷氏は語る。

 パナソニックでは働き方改革支援サービスの提供をベースに、顧客企業の働き方改革をさらに加速させていく構えだ。

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