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お口の恋人ロッテが仕掛ける成長戦略!

受け継がれるロッテのDNA挑戦を続けながら「世界のロッテ」へ道を切り拓く

新生ロッテが目指すイノベーション

 創業70周年を迎えた2018年4月1日、ロッテ、ロッテ商事、ロッテアイスの3社が合併し、新生ロッテが誕生しました。意志決定を迅速にし、事業競争力を高めていくこと——それが合併の狙いです。また、一本化することでガバナンス強化につながると考えています。

 別々の会社だったので分散していたポテンシャルが合併で一本化され、互いに意見の言える会社になっていくと思っています。時を同じくして、私は代表取締役社長に就任しました。生え抜きとしては初めてのトップとなりますが、入社以来、営業畑を中心に歩みながらお客様に近い位置で“現場力”を磨いてきた自負があります。その感性をロッテの経営に反映し、邁進していく所存です。

買い手の心を知るため他社製品も並べる

 実は、こうした組織改編に先駆けて「ロッテノベーション」を合言葉に、社員一丸となってイノベーションの創生に取り組んでいます。

 その1つが「ロッテインサイトセンター」です。商品の陳列の仕方でお客さまの気持ちがどのように変わるかといった購買心理を深く研究する組織です。

 さまざまな外部データや消費者の調査などもリンクさせながら、我々の中で「お菓子はこういう気分のときにこういうものを買っている」といったことを考えてきました。特に支持されたのがレジ前の売り場です。お菓子だけでなく、雑貨とか食品とか、それらも比較して、お客様自身にもアンケートを取ったりしました。

 それで開発した什器には、他社製品も並べます。昔ならば自社製品だけを推すことが普通でしたが、買い手の立場に立ったらリアリティのないものになってしまう。また、このカテゴリーは本当にここに置くべきか、などの研究も同時に行っています。こうした調査に基づいた戦略が支持されて今では4万5000台ほどの什器を納品し、消費者のプラスアルファ1点買いの部分に大きく貢献して、小売りからも高く評価いただいています。ロッテノベーションは社員の意識変革も意味しています。

 まず「挑戦できる社内風土」を作り、新たな挑戦ができる後押しをしていきます。イノベーションは何百、何千ものトライを重ねて初めて生まれるもの。ですから、自由闊達で失敗を恐れない社風を経営陣が整えていきます。

 2つめは「自由に話し合える環境づくり」です。3社が合併したから単純に足し算で3になるわけではなく、無限大の可能性が生まれてくると考えています。一体感の醸成を目的として、風通しの良い環境を作っていきます。

 3つめは「個の能力の発掘」。人材への投資を積極的に行っていきます。この4月、浦和工場と狭山工場に保育所を設け、育児中の女性社員が安心して働ける環境を整備したことも、こうした取り組みの一環です。

 実は、こうしたイノベーションへの挑戦は、ロッテのDNAそのものです。創業者(重光武雄・現名誉会長)は、常に挑戦し続けました。例えば約50年前、浦和工場、狭山工場という規模の大きな基幹工場を建設したのも、非常に強い意志と覚悟が必要だったと思います。そこには先行メーカーに追いつくために“今までとは違うこと”をする意識と覚悟があったはずです。また、そのDNAを受け継ぎ、現ロッテホールディングス(HD)の佃孝之社長が組織改革を行ったことも、新生ロッテ誕生の大きな原動力となりました。

「乳酸菌ショコラ」「歯につきにくいガム 記憶力を維持するタイプ」
ロッテノベーションが世に送り出した新たな価値の創造
写真左「乳酸菌ショコラ」
写真右「歯につきにくいガム 記憶力を維持するタイプ」
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売上高1兆円 世界企業をゴールに

 今後、我々は売上高5000億円を目標にします。その先に売上高1兆円、そして世界に名だたる企業になることを目指すべきゴールの1つとして掲げ、実現のために3つの戦略を立てました。

 1つめは、ブランドポートフォリオ戦略を明確にし、強みを持つブランドの競争優位性をさらに高めていくこと。2つめはグローバル事業の強化。現地法人を設立しているベトナム、タイ、インドネシアの東南アジア、そして欧州のポーランドなどを足がかりとしていきます。

 3つめはESG経営を強化して、社会的価値を高めていくことです。菓子やアイスが本来持っている「心を豊かにする」機能は、ほかの商品にはないものです。その特徴をさらに磨き上げ、独自性を出していきたいですね。

 ロッテのDNAは、挑戦を続けながら道を切り開く姿勢に受け継がれています。新生ロッテに、ぜひご期待ください。