中小ビルTOPICS

【市況データ】空前のビル高稼働が続く
オフィス大量供給時代の到来で市場はどう変わる?

2018/06/13
中小ビルTOPICS

東京都心部にあるオフィスビルでは、空室率が空前の低水準を続けている。国内の就業者数が増加するに伴ってオフィス需要は高まっており、空室率は今後も下がる可能性が高い。ただ、不安要素もある。2018年から2020年までの3年間は、これまでになくオフィスビルが大量に完成する予定だ。底堅い需要を背景に、新築ビルのテナントは続々と決まっているものの、テナント誘致合戦のしわ寄せが中小ビルに及ぶかもしれない。


オフィス仲介大手の三幸エステートがこの5月に発表した「オフィスレントインデックス」によると、2018年第1四半期(1〜3月)の東京都心部のオフィスビルの空室率は空前の低水準を保っている。

調査によると、東京都心部の中規模ビル(同社の定義では「Cクラスビル:1フロア面積100坪〜200坪」)の空室率は1.4%で、2007年に記録した調査開始以来の最低値1.3%に迫る水準まで下がっている。成約賃料水準は1坪当たり1万6212円で、緩やかな上昇傾向が続いている。

■中規模ビルの空室と賃料の推移

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(出典:「オフィスレントインデックス」三幸エステート。ニッセイ基礎研究所)

大規模ビルも同様の傾向を示している。Aクラスビル(延べ床面積1万坪以上、1フロア面積300坪以上、築15年以内)の空室率は1.8%と低水準にある。1坪当たり賃料も約3万5000円と上昇傾向を示した。

三幸エステート市場調査室の今関豊和チーフアナリストは「マーケットでの品薄感は引き続き強い。築浅ビルはもちろんのこと、建築中ビルも強い引き合いを集めており、オフィス需要の底堅さを示している。女性やシニア層を中心とする労働参加率の上昇で就業者数は過去最高に達しており、オフィス需要の拡大を後押ししている」と話す。

虎ノ門ヒルズ47棟分のオフィスが控える

一方で、東京都心では、今後、東京五輪が開催される2020年に向けて、オフィスの大量供給時代に突入する。日経BP社が発行する不動産情報誌の「日経不動産マーケット情報」が4月に調査した結果によると、東京23区で2018年以降に完成する延べ床面積1万m2以上のオフィスビルが、少なくとも110棟、総延べ床面積1160万m2が確認できたという。この面積は、2014年に完成した虎ノ門ヒルズの約47棟分に相当する水準だ。

2020年にはオフィス供給が当面のピークを迎える。この年には23棟、221万m2のオフィスが完成する予定だ。ただ、その後も、2025年まで一定のオフィス供給が続くことが明らかになっている。

■東京23区でこれからできる大規模ビル

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(出典:「日経不動産マーケット情報2018年6月号」日経BP社)

今後完成するオフィスビルの特徴は延べ床面積10万m2を超える大規模ビルが中心で、1フロア当たりの面積が大きい「メガプレート」と呼ばれるビルが多いことだ。また完成するビルの7割が都心3区に立地している。

こうした新築ビルには、すでにテナントが決まっているところも多い。渋谷駅南で東京急行電鉄などによる超高層ビル「渋谷ストリーム」は2018年夏の完成を前に、グーグル日本法人の本社などですべてのフロアでテナントが決まっている。東京會舘と三菱地所、東京商工会議所が建設中の「丸の内二重橋ビルディング」(2018年10月完成)も、ほぼ満室の状態になっている。

旺盛なオフィス需要を背景に、新築ビルの稼働率は手堅いとみる市場関係者は多い。焦点は、新築ビルにテナントが流出して生じる「既存の大規模ビルの2次空室」の行方だろう。空室を埋めるために大規模ビルが中小規模ビルのテナントを誘致する形となり、玉突きが進んだ結果として、空室のしわ寄せは中小規模のオフィスビルに及ぶ可能性が高い。

東京の中小規模ビルのストックは高齢化が著しい。賃貸面積ベースで見ると、実に8割を超えるビルが築20年以上経過している。(ザイマックス不動産総合研究所の「オフィスピラミッド2018」)。

■東京23区オフィスピラミッド2018(賃貸面積ベース)

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(出典:「オフィスピラミッド2018」ザイマックス不動産総合研究所)

オフィスピラミッドによると、築20年以上経過したビルのうち、1981年に適用された新耐震基準より前に建築確認を受けた「旧耐震基準」のビルが26%を占めている。耐震上で課題を持つビルは今後、オフィス市場のなかで自然と淘汰されていくことになるだろう。

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文:「働きたくなるオフィス大全」編集部

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