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シュナイダーエレクトリックが産業のデジタル化を加速

産業用電機の世界大手であるシュナイダーエレクトリックは、高い技術力と正確に将来を読む千里眼を礎に、100カ国以上でエネルギーマネジメントとオートメーションをけん引し続けてきた。
創業以来180年の歴史が生み出した実績あるIoTプラットフォーム「EcoStruxureTM(エコストラクチャー)」で、日本を含め世界各国の企業が取り組み始めたデジタルトランスフォーメーションをリードしていく。

 IoT(モノのインターネット)の普及、ビッグデータ活用の高度化、 AR/VR(拡張現実/仮想現実)や人工知能(AI)の応用領域の拡大――。技術の進化と産業のデジタル化の進展に伴って、企業を取り巻く環境は、この数年で大きく変化してきた。しかし、企業がこれから進むべき方向を見定めるのは、それほど難しくない。

 今、企業の行く先を示す羅針盤にくっきりと映る大きなテーマは、とことんまで使用効率を高めるエネルギーマネジメントと、徹底したオートメーション(自動化)である。「エネルギー需要は今後20年で1.5倍に増える。その一方で二酸化炭素排出量は半分にしていくことが求められる」。シュナイダーエレクトリックの日本統括代表を務める白幡晶彦氏はこう話し、同社がグローバルで掲げるミッションを説明する。「単純計算でエネルギー効率を3倍に高めていく。それを可能にするのがオートメーションだ」。

テクノロジー駆動で成長
20年前からIoTを先取り

 シュナイダーエレクトリックというと、日本では「APC」ブランドで展開する無停電電源装置(UPS)や「Pro-face」ブランドのプログラマブル表示器(HMI:ヒューマンマシンインターフェース)のイメージが強いが、実は独シーメンスやスイスABBと並ぶ産業用電機の世界的な大手。1836年の創業以来180年余りにわたり、エネルギーマネジメントとオートメーションのグローバルスペシャリストとして、データセンターだけでなく、組立加工工場から石油化学プラントに至る幅広い産業の変革を支えてきた。その顧客リストには米エクソンモービルや米シェブロン、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルといったメジャーを含む石油上位25社中23社に加え、化学上位50社中48社や食品・飲料上位25社中21社など、名だたる企業が並ぶ。

 現在、シュナイダーエレクトリックは世界100カ国以上で事業を展開しており、2017年の売上高は247億ユーロ(約3兆3000億円)に達する(図1-1)。本拠はフランスに置くが、売上比率は西欧と北米、アジア太平洋、その他でほぼ4分の1ずつ。全世界で14万人を超える従業員が、世界中で高まり続けるエネルギーマネジメントとオートメーションの要求に対し、地域の偏りなくバランスよく応えている。

図1-1 シュナイダーエレクトリックの実績(2017年)
シュナイダーエレクトリックの実績(2016年)

 シュナイダーエレクトリックの最大の特徴は、テクノロジー駆動型で成長してきた点にある。売上高の5%を研究開発に投じながら、常に将来の産業界のニーズを先取りし、製品やサービスを展開してきた。

 それを象徴する一例が、最近になって脚光を浴びるようになったIoTである。

 同社がネットワーク接続機能を実装した製品の提供を本格化したのは、実に20年以上前の1997年のことだ。いまや、省電力データセンターやファクトリーオートメーション(FA)、プラント制御などに用いるエントリー製品からハイエンド製品まで、ネットワークにつながる機能を標準搭載した「コネクテッドデバイス」をラインアップしている。全売上高の45%をIoT関連で占めるほど、世界各国にIoTを行きわたらせている。

独自IoTプラットフォーム
「EcoStruxure」を確立

 IoTをリードしてきたシュナイダーエレクトリックが目下、グローバルで推し進めているのが、デジタルトランスフォーメーションである。早くから知見を積み上げてきたIoTはもちろんのこと、AR/VRやクラウドといった最先端のデジタル技術をいっそう活用することで、エネルギーマネジメントとオートメーションの効率を一段と引き上げる。その実現のために、独自のIoTプラットフォーム「EcoStruxure(エコストラクチャー)」を確立した。

 EcoStruxureは「コネクテッドデバイス」と「エッジコントロール」、「アプリ、アナリティクスおよびサービス」の3層からなる(図1-2)。

図1-2 エネルギーマネジメントとオートメーションをリードするシュナイダーエレクトリックのIoTプラットフォーム「EcoStruxure」の概念
エネルギーマネジメントとオートメーションをリードするシュナイダーエレクトリックのIoTプラットフォーム「EcoStruxure」の概念

 1段目のコネクテッドデバイスは、前述の通り豊富なラインアップをそろえており、歴史的にシュナイダーエレクトリックは強みとしてきた。

 2段目のエッジコントロールは、データセンターや工場、プラントで稼働する多種多様なコネクテッドデバイスを、統合的に監視・制御する機能を担う。ここでもやはり、シュナイダーエレクトリックには実績に裏打ちされた強みがある。

 同社はもともと、ありとあらゆる機器や設備がネットワークでつながる施設の実現を志向し、製品やサービスを展開してきた。データセンターなどの効率性や信頼性を高めるのが目的である。そして目的の具現化に欠かせないオープンで高い接続性を確保すべく、各種製品の開発段階から、一般的な通信プロトコルはすべて要件に加え実装している。

 その代表例が、工場設備の制御装置などを操作するコンピュータ機能を持つタッチパネルであるHMIだ。200万台以上の出荷実績を持つシュナイダーエレクトリックのHMI「Pro-face」は、800種類以上のプロトコルをサポートしている。このため自社製か他社製かを問わず、コネクテッドデバイスの稼働状況などのデータを収集し、それをEcoStruxureに集約できる。これによりさまざまなメーカー製の設備が混在する工場全体を高信頼で高効率に運用できるようになる。

 EcoStruxureの3段目は、デジタルトランスフォーメーションをリードするシュナイダーエレクトリックの新たな強みだ。この数年で産業用ソフトウエアで実績がある英アヴィバや英インベンシスを相次いで傘下に収め、ポートフォリオを拡充してきた。

 コネクテッドデバイスとエッジコントロールからクラウドに収集したデータを、より高度に活用するさまざまなソフトウエアとサービスを用意している。プラントなどの設計段階でプロセスをシミュレーションして最適化する。あるいは運用段階でエネルギー効率を解析する。加えて、 ARや3次元VRなど高度なデータ活用を促進するソフトウエア群を取りそろえ、データセンターやプラントの安全性や持続性の向上を果たす。

日本に根付いて50年超
デジタル変革時代をリード

 シュナイダーエレクトリックは日本で長い歴史がある。1962年に日本に根付いて事業をスタートしてから、もうすぐ60年が経とうとしている(図1-3)。その間、UPSをはじめとするデータセンター向け製品や、「Pro-face」など製造業向け製品で根強い支持を得てきた。

図1-3 シュナイダーエレクトリックの日本における事業展開の歩み
シュナイダーエレクトリックの日本における事業展開の歩み

 日本におけるシュナイダーエレクトリックはこれまで、どちらかというと電源設備や空調設備、制御機器のサプライヤーとしてのイメージが強かった。しかし、本格的なデジタルトランスフォーメーション時代の到来を機に、世界中のデータセンターや工場、プラントで培った知見を詰め込んだ3層構成のEcoStruxureを核に据え、エネルギーマネジメントとオートメーションのデジタル化を推し進めていく。

 IoTが爆発的に普及し、ネットワークにつながる機器の数は桁違いに増える(図1-4)。同時にAIやクラウドの浸透に伴い、高密度に集約したシステムのデータ処理量が爆発的に増加するなどして、電力需要は急拡大する。一方で、脱炭素化に向けた要求や電源の分散化は加速する。日本企業が国内外で建設・運営するデータセンターや工場、プラントのエネルギー効率化に対する要求が格段に高まるのは必至だ。

図1-4 変わりゆくビジネス環境や社会環境の将来を見据え、エネルギーマネジメントとオートメーションのデジタル化を推進
変わりゆくビジネス環境や社会環境の将来を見据え、エネルギーマネジメントとオートメーションのデジタル化を推進

 シュナイダーエレクトリックは大きく3種類の産業分野でEcoStruxureを展開し、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援する。

 一つはIT事業である。既設か新設かを問わず国内で高まりつつある、大規模高集約のハイパフォーマンスデータセンターのニーズに応える。

 二つ目は、2017年に事業領域を拡大したインダストリー事業だ。梱包設備や冷凍設備など、デジタル化によるオートメーションやエネルギーマネジメントの余地が少なくない6分野で、スマートファクトリーを実現する。もはや先送りができない問題になりつつある、熟練技術者の技能伝承もARを活用したソリューションでサポートする。

 そして三つ目は、石油化学や食品飲料などプロセス型の製造業を幅広くカバーするプラント事業である。企業が新設あるいは改良・拡張するプラントが潜在的に抱えるリスクをシミュレーションによって把握して全体の設計に反映するなど、安全かつ最適なデジタルプラントの操業を実現する。

 シュナイダーエレクトリックは経験豊かな国内約3000人の従業員に加え、同社の企業文化にもなっているパートナーとの協働体制を深めることで、日本のデジタルトランスフォーメーションをリードしていく方針だ。

 かつて世界中に広がったインターネット革命の波が多くの企業に変革を促したように、デジタルトランスフォーメーションの大波は今より勢いを増しながら、あらゆる産業に波及していく。日本企業は、さまざまな技術の進展により現に変わり始めたビジネス環境を様子見したり、流れに身を任せたりするのではなく、デジタル化に向けて自らの舵も切り変革の先頭に立ちたいところだ。

Interview:日本企業は「強い」からこそ デジタル変革に臨む意義がある

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