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メガネの聖地、鯖江の矜持ここにあり、スマートグラスの未来は俺たちが拓く

 Cool Design Smart Glassプロジェクトには、鯖江市のメガネ産業から2社が参加した。掛け心地のよいフレームの企画・製造で豊富な知見と技術の蓄積を持つシャルマンと、スマートグラスの開発に関与した実績がある企画・デザイン会社のボストンクラブである。鯖江市のメガネ産業は、流行に乗るのではなく、新しい産業を創出する意気込みでスマートグラスに取り組んでいる。人々が愛着を持って日常使いできるメガネづくりでは、世界の誰にも負けないという矜持を抱き、今回のプロジェクトでもその実力を存分に発揮した。鯖江市の企業が、どのような志を持ち、Cool Design Smart Glassの開発でどのような役割を果たしたのだろうか。

株式会社シャルマン 取締役 専務執行役員 グループ製造統括 メディカル事業統括 岩掘一夫氏

 シャルマンは、1956年創業のメガネフレームの企画・製造メーカーである。従来より、掛け心地にとことんこだわったメガネづくりを徹底的に追究してきた。コスト競争力に長けた中国企業、ブランド力を強みにする欧州企業とは一線を画す、愛着を持って普段使いできるメガネフレームこそが、同社が目指す製品である。

 掛け心地のよいメガネを作るための知見と技術の創出・吸収には極めて貪欲である。技術開発を自社で進めるだけではなく、大学や研究機関との共同研究にも積極的に取り組んでいる。例えば、人の頭の形状の膨大なデータを収集し、掛け心地のよいフレームの形状・材質を科学的に分析して、ノウハウとして蓄積している。カンや経験といった無形の技能だけに頼らず、キッチリとした知見とノウハウを生かして、さまざまな用途やデザインの新しいフレームを何と年間600種も投入し続けている。遊び心のある凝ったデザインのフレームでも、掛け心地には一切の妥協はしない。2012年からは、高度な精密加工技術と品質管理が求められる、医療器具事業にも挑戦している。

株式会社シャルマン ゼネラルマネージャー 企画統括部 商品開発部 水野忠佳氏

 メガネフレームには、生産だけで200以上の工程がある。鯖江市には数多くのメガネ関連企業があるが、シャルマンは、すべての生産工程に加え、企画、設計も一貫して手掛けられる数少ない企業でもある。一貫生産だからこそ、設計と生産両面からの工夫で、さまざまな要求に応えることができる。「どんな要求があっても、それなりに作ってしまう自信はあります」(シャルマン 取締役 専務執行役員 グループ製造統括 メディカル事業統括の岩掘一夫氏)と胸を張る。まさに掛け心地に関するエキスパートであり、Cool Design Smart Glassで目指す「生活に溶け込むスマートグラス」というコンセプトをかたちにするためには、代わるところがない企業であるといえる。