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日経テクノロジーonline SPECIAL

USB 3.0ペリフェラルの開発ニーズに応える 49ドルの開発キットがサイプレスから

サイプレスは、5.0Gbpsという高いデータレートに対応したUSB 3.0ペリフェラルの開発を促進するために、価格を49ドルに抑えた開発キット「EZ-USB® FX3™ SuperSpeed Explorer Kit」をリリースした。同社のUSB 3.0ペリフェラルコントローラ「EZ-USB FX3」を搭載。FPGAとのインタフェースボードやEclipseベースのSDKなど、開発環境も充実している。

田中 範明 氏
日本サイプレス株式会社 応用技術グループ 主任

 USB 3.0の普及がいよいよ本格化してきた。外付けHDD、外付けSSD、フラッシュメモリ、カードリーダー/ライター、ビデオキャプチャボックス、産業用ビデオカメラといったペリフェラルのほか、デジタル一眼レフボディにもUSB 3.0が搭載され始めている。

 USB 3.0の魅力は なんといっても最高5.0Gbpsという高速なデータレートにある(実効値は最高4.0Gbps)。25GBにも達するHD画質の映画のデータを一分ほどで転送できるほか、4K動画をストリーミングで流すにも十分な性能だ。高精細ディスプレイの接続インタフェースとしても使える。動画アプリケーションの拡大が一助となって、USB 3.0へのニーズはさらに高まっていくだろう。

 サイプレスは、高性能なUSB 3.0ペリフェラルの開発を支援・加速するために、同社のUSB 3.0ペリフェラルコントローラ「EZ-USB FX3」を搭載しながら価格を49ドルに抑えた開発キット「CYUSB3KIT-003 EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」をリリースした(図1)。サイプレスのウェブページ(http://japan.cypress.com/go/cyusb3kit-003)または代理店から購入できる。

 「従来のフル機能版の開発キット『CYUSB3KIT-001 EZ-USB FX3 Development Kit』(397ドル)から一部のコネクタを省略するなどの簡略化を図り、より手軽さを追求しました」と、日本サイプレスの田中範明氏は開発の意図を説明する。

図1 49ドルという低価格でリリースされた、USB 3.0の開発キット「CYUSB3KIT-003 EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」
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汎用性と自由度の高さが特徴の「EZ-USB FX3」

 「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」の詳細に触れる前に、最初に、USB 3.0ペリフェラルコントローラ「EZ-USB FX3」について簡単に説明しておこう(図2)。

 「EZ-USB FX3」は、USB 2.0に対応した同社従来製品の「FX2LP」の上位製品にあたり、USB 3.0に準拠するとともに、USB 2.0 OTG(on-the-go)もサポートした、ペリフェラルデバイス用のコントローラだ。

 「EZ-USB FX3」の特徴のひとつが汎用性を追及したプログラマブルインタフェース「GPIF II」である。「GPIF II」は、8ビット、16ビット、または32ビットのいずれかで、たとえばカメラ素子などのI/Oデバイスとインタフェースが可能なパラレルデータバスと、14本のコントロール信号入力で構成される。バスのクロック周波数は100MHzだ。

 「GPIF II」の動作は最大256ステートの内部ステートマシンで定義することができるようになっている。ごく簡単な例を挙げれば、コントロール信号Aがアサートされたのちコントロール信号Bがアサートされたらパラレルデータバスの値を取り込む、といった制御をプログラムできる(もちろん、実際にはもっと複雑なステート遷移の定義が可能だ)。ステートマシンを定義するために、ごく小規模なPLD(プログラマブル・ロジック・デバイス)が内蔵されているイメージで考えればいいだろう。

 また、より複雑なシーケンスや制御が実現できるように、200MHz動作の32ビットARM926EJコアが内蔵されている。

 「ワイヤードレベルの性能を要求される処理はプログラマブルなステートマシンを用いて制御し、複雑な処理はARM926EJコアを用いて制御するなど、実装の自由度がきわめて高いのが特徴です」と田中氏は述べる。

図2 USB 3.0ペリフェラルコントローラ「EZ-USB FX3」の概要
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さまざまな開発リソースでエンジニアを支援

 「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」の説明に戻ろう。わずか56mm×82mmサイズのボードの上に、USB 3.0ペリフェラルコントローラ「FX3」とUSB 3.0コネクタ、統合デバッガ用のUSB 2.0コネクタ、ARM926EJのブート用のEEPROM、および、データバッファ用に512k×32ビットの高速SRAMなどを搭載したシンプルな構成だ(図1)。ホストパソコンとはUSB 3.0で接続し、バスパワーで動作する。

 ボード上には「GPIF II」バスを引き出した2.54mm(100mil)ピッチの20ピン×2列のコネクタが2個搭載されている。ユーザーが自分でドーターボードを作ってもいいが、Xilinx社またはAltera社のFPGAボードと接続できるように、「Xilinx FPGA FMCインターコネクトボード」(49ドル)と「Altera FPGA HSMCインターコネクトボード」(同価格)がオプションで用意される。

 つまり、たとえば画像処理機能や通信処理機能などを外部のFPGAボード上に実装したのち、FMCバスまたはHSMCバスを介して「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」に接続すれば、USB 3.0ペリフェラルのプロトタイプを比較的短期間で実現できることを意味する。

 ドーターボードとしては、このほかに「Aptinaイメージセンサーインターコネクトボード」(49ドル)と簡単なグルーロジックを実装できる「CPLDアクセサリボード」(同価格、11月中旬より購入可能)も提供される。

 開発ツールおよびソフトウェアスタックとしては、図3に示すように、Eclipse統合開発環境に対応した「EZ-USB(R) FX3(TM) SDK」(図3右)や、Microsoft Visual Studioに対応したファームウェアライブラリ(図3中央)が無償で提供されるとともに、「GPIF II」のステートをグラフィカルに定義できる「GPIF II Designer」もバンドルされる(図3左および図4)。

 ただし、「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」ではARMのJTAG信号はボード上のUSB-Serial CY65215によりUSB 2.0に変換されるため、一般的なJTAG ICEは接続できない。ICEを使用したい場合は、JTAGコネクタを備えたフル版の開発キット「CYUSB3KIT-001 EZ-USB FX3 Development Kit」を利用する必要がある。もちろん、UART出力を使った旧来のデバッグ手法であればなんら制約はない。

 なお、「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」の活用方法をアプリケーションレベルで詳説した「SuperSpeed Device Design By Example」という解説本が出版されており、米amazon.comから購入できる(29.63ドル、Kindle版は29.21ドル)。著者のJohn Hyde氏は元Intelのエンジニアでサイプレスとは直接は関係ないが、カラーの図もふんだんに添えられていて判り易く、必要に応じて参考にするといいだろう。

図3 「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」の開発ツールとソフトウェアスタック
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図4 内部ステートマシンをグラフィカルに設計できる「GPIF II Designer」
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USB 3.0の各種コントローラもラインアップ

 サイプレスはUSB 1.1の時代から、ペリフェラルデバイス用USBコントローラ、ハブ用USBコントローラ、ブリッジ用USBコントローラ、ホスト用USBコントローラ、および、メモリカードインタフェースなどを備えたストレージデバイス用USBコントローラなどを幅広く展開してきた実績がある(図5)。

 こうした取り組みなどを背景に「USBコントローラならサイプレス」という認識が業界には定着しているが、USB 3.0の世代においても、図5に示すとおり、ペリフェラルデバイス用コントローラとして前述の「FX3」のほか、ハブコントローラ「HX3」、ブリッジコントローラ「CX3」、ストレージデバイス用コントローラ「FX3S」および「SD3」をすでにラインアップし、ユーザーニーズに応えている。

 実際に採用事例も増えていて、たとえば産業用カメラを手がけるドイツのXIMEA社は科学分野向けのビデオカメラ「xiD」シリーズにサイプレスの「FX3」を採用した。ピクセルあたり14ビットの色深度を持たせているため情報量が多く、USB 2.0では圧縮が必要だったが、USB 3.0にしたことで非圧縮で動画が送出できるようになったという。なお、CCDセンサーとは「GPIF II」でステートマシンを構成してインタフェースしており、わずか100日ほどで開発を完了したそうだ。

 「コントローラICだけにとどまらず、今回リリースした『EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit』のような強力かつ手軽な開発環境を積極的にお客様にお届けして、USB 3.0ベースのペリフェラルデバイスの市場の深耕に努めていきます」と田中氏は意向を述べる。

 「EZ-USB FX3 SuperSpeed Explorer Kit」が契機となって、USB 3.0の性能を生かした新たなアプリケーションの登場が期待される。

図5 サイプレスのUSBソリューション
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