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日経テクノロジーonline SPECIAL

IoT機器の開発を容易にするBLEソリューション登場 核はBluetooth Low Energyを搭載した高集積のSoC

サイプレスからIoT機器に向けた新たなソリューションが登場した。同社の主力製品である「PSoC」および「PRoC」のそれぞれに「Bluetooth Low Energy」準拠の無線機能を内蔵。これらのデバイスを核に、ウエアラブル端末をはじめとするIoT機器を設計するためのプラットフォームを展開する。市場のニーズを先取りした同社の新たなソリューションは、IoTを意識した機器の開発が活発化する中で大きな注目を集めそうだ。

 あらゆるモノがインターネットに接続された環境を表す「IoT(Internet of Things)」。その概念は様々な分野に広がっており、インターネットに接続する機能を備えた機器は、これから飛躍的に増えるはずだ。米Cisco Systems社CEOのJohn Chanbersが携帯電話関連の大型イベント「Mobile World Congress 2014」の中で「2020年までに60億個もの日用品がIoTネットワークにつながる」と語っている。

全 英守 氏
日本サイプレス 応用技術部 部長

 「中でも重要なのが、自然界から様々な情報を取得するセンサーを内蔵した機器です。リアルな世界とバーチャルな世界をつなぐ役割を担うからです。これから様々な新しいセンサー内蔵機器が登場するでしょう」(日本サイプレス 応用技術部 部長 全英守氏)。その多くは、いわゆるウエアラブル機器のように、自律的に動作しながら、無線通信を介してネットワーク・システムにつながる機能を備えている。こうした機器への展開を意識して開発された低消費電力の無線通信規格が「Bluetooth Low Energy(BLE)」である。

 近距離無線通信「Bluetooth」の拡張仕様の一つで、2.4GHz帯(ISMバンド)の電波を使って最大1Mビット/秒の通信ができる。ボタン電池一つで数年動作することを前提に、極めて低い消費電力で動作できるようにBLEの通信システムは設計されている。サイプレスはこのIoTの領域に向けて新しいソリューションの展開を開始した。その核となるデバイス「PSoC 4 BLE」と「PRoC BLE」には、この規格に対応した無線通信機能が組み込まれている(図1)。

図1「PSoC 4 BLE」と「PRoC BLE」のブロック図
(a)が「PSoC 4 BLE」。(b)が「PRoC BLE」。
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直感的な操作でシステム設計

 PSoC 4 BLEとPRoC BLEのベースになっているPSoCおよびPRoCは、MCUを中心にオペアンプ、コンパレータ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータなどのアナログ回路。さらに入出力インタフェースなどの周辺回路をワンチップに集積したICである。アナログ回路も含めて内部の回路構成をユーザーが自由にプログラミングできるのが大きな特長だ(図2)。「従来は複数のICに分かれていた機能を統合できるので、BOMコスト低減にも貢献します」(全氏)。

図2 回路をプログラミングできるミックスド・シグナルIC「PSoC」
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 同社が提供している統合開発環境「PSoC Creater」と、75種類以上の「Component」と呼ばれる無償の機能モジュールが用意されており、PSoC Createrの画面上で、Componentを表すアイコンを並べるだけで、システム設計ができるようになっている。開発したシステムは、そのままPSoCに実装できる。しかも、さらに別に用意してある「Component Configuration Tool」を使えばマウスを使った簡単な操作で各Componentのパラメータの設定ができるようになっている。こうしたツールを活用しながら、要求仕様に柔軟に対応し、合理的な回路を構成できるPSoCは、多くの設計者から支持を集めており、発売以来の累積出荷数は10億個を超えている。

開発力の向上に貢献

 PSoCをベースにしたPSoC 4 BLEは、英ARM社のマイクロプロセッサ・コア「Cortex-M0」(動作周波数48MHz)、フラッシュメモリ、SRAM、シリアル・ワイヤ・デバッガから成るMCUサブシステム。オペアンプ、A-Dコンバータ、コンパレータなどを含むプログラマブル・アナログ・ブロック。プログラマブル・デジタル・ブロック。複数のGPIOを含むI/Oサブシステムなどで構成されている。このうちプログラマブル・アナログ・ブロックには、同社独自のタッチパッド用インタフェース「CapSense」も含まれている。これらの回路から、オペアンプやコンパレータなどのアナログ・コンポーネントを割愛したのが、PRoC BLEである。

 いずれのデバイスも、BLE通信システムに必要なプロトコル・スタックやプロファイルは、Componentとして用意されているので、PSoC Createrを使ってそのComponentをシステムに組み込むだけで、認証済みのBLE機能を実装できる。各種パラメータの調整もComponent Configuration Toolを使って簡単な操作で済む(図3)。「IoT機器設計者の中でBLEの設計に精通している技術者はそれほど多くはないはずです。PSoC 4 BLEを使えば、無線回路設計のエキスパートでなくてもBLE機能を簡単に実現できます。これによって設計者は、通信回路以外の設計に注力することができるでしょう」(全氏)。

図3 統合開発環境「PSoC Creater」と「Component Configuration Tool」の画面
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 消費電力も徹底的に抑えている。「アクティブ」「スリープ」「ディープスリープ」「ハイバネート」「ストップ」の五つの電力モードを備えており、これを適応的に切り替えることでBLEの接続間隔1秒間当たりの消費電力はわずか18.9µAに抑えた。

 デバイス本体にバラン(平衡・不平衡変換器)回路があらかじめ組み込まれているので、外付け部品が少なくて済むのも見逃せない特徴だ。「既存の製品では数個の外付け部品が必要ですが、PSoC 4 BLEとPRoC BLEならば2個だけです。これによってプリント基板の実装面積を確実に減らせます」(全氏)。

開発キットやリファレンスも提供

 すでにサイプレスは、PSoC 4 BLEとPRoC BLEのサンプル出荷を開始している。いずれも内蔵フラッシュメモリの容量が128Kバイトの品種である。2014年中に量産を始める。2015年第1四半期には、容量256Kバイトのフラッシュメモリを内蔵した品種もそれぞれサンプル出荷も始める計画だ。

 同社はデバイスの展開に合わせて開発キットおよびリファレンス・デザイン・キットの提供も始めた(図4)。開発キットとして提供しているのは「BLE Pioneer Kit」。ベース基板、PSoC 4 BLEを搭載した小型モジュール、PRoC BLEを搭載した小型モジュールをセットにしたもの。ベース基板は小型コンピュータ「Arduino」との接続可能なタッチセンサ・スライダーを備える。PSoC 4 BLE モジュールやPRoC BLEモジュールは単品でも入手できる。

図4 開発支援ツールも用意
(a)評価ボード「BLE Pioneer DVK」。(b)「リモコンRDK」。(C)「タッチマウスRDK」。
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山田 祥之 氏
日本サイプレス データコミュニケーション部門 マーケティングディレクター

 リファレンスキットしては、「リモコンRDK」と「タッチマウスRDK」を用意している。リモコンRDKは、トラックパッド、3軸加速度計、3軸ジャイロスコープなど多彩なセンサーを搭載。音声認識機能も備える。これらを利用して様々なスタイルで操作できるリモコンが開発できる。「キットを活用していただくことで、独自の特徴を打ち出した製品を効率良く開発することができるでしょう」(日本サイプレス データコミュニケーション部門 マーケティングディレクターの山田祥之氏)。

 IoTの概念は、街、工場、オフィス、家庭など人々の様々な生活シーンに着実に広がっている。これとともにIoT関連機器の開発は加速する。こうした中で、高い競争力と付加価値を備えた製品開発に取り組む設計者にとって、ワンチップに様々な機能を効率良く統合できる設計プラットフォームを提供するサイプレスのBLEソリューションは多くの利点をもたらすに違いない。

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