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ここまで進んだマイクロ・モジュール 多機能化で設計の時短を全面バックアップ

ここまで進んだマイクロ・モジュール
多機能化で設計の時短を全面バックアップ

μModule(マイクロ・モジュール)は、スイッチングレギュレータ回路やシグナルチェーンなどをパッケージングしたソリューションで、製造中止の心配がなく、回路を小型化しつつ開発期間の短縮が図れるなどのメリットがあり、産業機器や通信インフラを中心に採用が進んでいる。続々と広がるバリエーションの中から、電源関連の5製品を紹介しよう。最後に掲載したリストの中からあなたに必要なマイクロ・モジュールを見つけてください。

石田 浩史 氏
アナログ・デバイゼズ株式会社 旧リニアテクノロジー西日本地区統括セースルマネジャー

 特定機能の回路全体を単一パッケージに封止したリニアの「μModule(マイクロ・モジュール)」(図1)。2005年に最初の製品が登場して以来、レギュレータ(DC/DCコンバータ)、LEDドライバ、バッテリ・チャージャ、絶縁型トランシーバ、シグナルチェーンレシーバなどラインアップも広がり、派生型番も含めると2017年3月時点で109種132製品が提供されている。

 品種によっても異なるが、コントローラICを中核に、パワートランジスタ、ダイオード、インダクタ、キャパシタ、抵抗、絶縁用トランスなどを放熱特性に優れたBGAまたはLGAパッケージにパッケージングしているため、回路設計作業や実装設計作業のほとんどを省略化でき、設計リソースを本来の付加価値向上に振り向けられる。また、小型化、低背化、低EMI化、高信頼化などのメリットも享受できる。

 こうした価値が認められ、産業機器、通信インフラをはじめ、信頼性要件が厳しいことで知られる自動車のECUにも採用が進んでいる。

 「μModuleはもともとは電源回路を小型化することを目的にスタートしたソリューションですが、多様化かつ高度化するお客様のニーズを背景にさまざまな方向に進化を遂げており、特徴的な新製品が続々とラインアップに加わっています」と、アナログ・デバイセズ株式会社石田浩史氏は説明する

 ここではラインアップが増えてきたμModuleの中から、電源レギュレータを中心に特徴あるソリューションを5品種紹介しよう。

(1) LTM8064:アイディア次第でさまざまな使い方ができる万能選手で。ソース7Aおよびシンク9Aが可能!、定電圧・定電流(CVCC)モード、電流モニター、並列接続。LED、バッテリ充電、ペルチェ駆動などにも最適

(2) LTM4677:電源設計時間ほぼゼロ、最新のFPGAやプロセッサなどに最適な出力電圧誤差を全温度範囲で±0.5%に抑えた0.5V~1.8V出力。出力電圧、電流、温度のテレメトリーとデジタルICからの設定、制御が可能。立ち上げ、立ち下げシーケンスも簡単設定

(3) LTM8003/LTM8053/LTM8073:EMIノイズを大幅に抑える「Silent Switcher(サイレント・スイッチャ)」アーキテクチャを採用(スイッチング周波数を下げたり変換効率を犠牲にすることなく従来比20dB減)

(4) LTM8042/LTM8042-1:面倒なLEDドライバの設計から解放、昇圧/降圧/昇降圧モードを備え、このモジュールひとつであらゆる設定に対応。

図1.電源レギュレータなどの回路を単一パッケージに封止した「μModule」
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特徴あるソリューションが続々と登場

(1) LTM8064

 LTM8064は、入力電圧範囲6V~58V、出力電圧範囲1.2V~38V、出力電流最大6Aの降圧レギュレータである(図2)。一般の降圧レギュレータと異なり、ソースとシンクの両方に対応した、いわゆるユニポーラの2象限回路として構成されているのが特徴だ。ソースにおいては最大7A、シンクにおいては最大9.1Aを流すことができる(いずれもtyp値)。

 アイディア次第でさまざまな使い方ができる「万能選手」的な機能を備えているのが最大の特長だ。

 たとえば、電流を駆動する方向によって加温と冷却を切り替えられるペルチェ素子の駆動回路は一般にかなり複雑になってしまうが、LTM8064なら2個を並べるだけで組むことができる(図3)。図3の回路は、上側のLTM8064の駆動電圧を5Vより高くすればペルチェ素子の上から下に電流が流れ、逆に5Vより低くすればペルチェ素子の下から上に電流が流れるように構成したところがポイントで、すなわち、上側のLTM8064の出力電圧をFBピンを介して切り替えるだけでペルチェ素子の加熱と冷却を制御できてしまう。

 そのほか、スーパーキャパシタやバッテリのアクティブバランス機能付き充電回路、負電圧レギュレータ、電流シェアリングを用いたn+1の冗長電源など、一般的な降圧レギュレータでは実現が厄介な機能を比較的簡単に構成することができる。なお、これら回路のサンプルはLTM8064のデータシートに掲載されているので参考にされたい。

 万能選手として発想次第で柔軟な使い方ができることもあり、ロボット、X線発生源、DNAシーケンサ(ペルチェによる温度制御)、産業用プリンターなど、幅広いアプリケーションの電源レギュレータとして採用が進んでいるという。

図2.58V入力、6A出力、CVCC動作対応、降圧μModuleレギュレータ「LTM8064」
図3.2個のLTM8064で構成したペルチェ素子の駆動回路の例
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(2) LTM4677

 プロセッサ、ASIC、FPGAなど、高い電圧精度にて低電圧・大電流を必要とするアプリケーションに最適な電源モジュールだ。(図4)

 最大の特長はパワー・システム・マネージメント機能を内蔵している点で、リニアが提供する「LTPowerPlay」というMicrosoft Windowsベースの開発ツールからさまざまなパラメータを設定するだけで電源回路の設計が完了する。

 基板の実装設計はもちろん必要だが、回路設計に関してはほぼ「設計レス」に近い使い方ができることになる。「パソコンでパラメータを設定して内蔵EEPROMに転送するだけで電源回路の設計が完了します。いわば電源設計の革命ともいうべきソリューションです」と石田氏は説明する。

 出力0.5V~1.8Vに対して出力電圧誤差は全温度範囲で±0.5%と小さく、内部はデュアル構成となっており、最大18A×2系統または最大36A×1系統の出力が得られるほか、4個のLTM4677を並列に接続すれば最大で144A出力を得ることもできる。

 設定できるパラメータは、出力電圧、電圧シーケンス、マージニング、デジタルソフトスタートおよびソフトストップ、スイッチング周波数、電流制限、過電圧および電圧低下コンパレータしきい値などだ。

 また、入力電圧、入力電流、出力電圧、出力電流、出力電力、出力チャネル温度、内部コントローラIC温度、ハイサイドMOSFETのデューティサイクルをI2Cバスを介して読み出すことができる。このうち出力電力とデューティサイクル以外は時間平均値に加えピーク値の読み出しも可能だ。また、なんらかの障害が発生した場合は、内蔵されるEEPROMにフォルトログが記録される。

図4.デジタル・パワーマネージメント機能を内蔵した、デュアル18Aまたはシングル36A出力の、降圧μModuleレギュレータ「LTM4677」
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(3) LTM8003/LTM8053/LTM8073

 従来の降圧コンバータに比べてEMIノイズを20dB以上も抑えた独自の「Silent Switcher」アーキテクチャで構成されたμModuleレギュレータだ。(図5)

 降圧コンバータトポロジーにおいて、スイッチング動作に伴って電流値が大きく変化するいわゆる「ホット・ループ」と呼ばれる部分を左右対称に2組設けて電磁界を閉じ込めるように工夫し、合わせてホット・ループ面積の最小化を図ることでEMIの発生を抑えた。

 CISPR 22 Class Bを下回る特性が得られるため、ノイズを嫌う産業機器やメディカル機器などにも適する。

 LTM8053は、入力電圧範囲3.4V~40V、出力電圧範囲0.97V~15V、出力電流最大3.5A(連続)または6A(ピーク)で、並列接続が可能となっている。

 一方のLTM8003は、入力電圧範囲3.4V~40V、出力電圧範囲0.97V~18V、出力電流最大3.5A(連続)または6A(ピーク)である。高い信頼性を求められるアプリケーションを対象にした品種で、車載などの厳しい環境条件にも適合するように温度範囲-40℃~+150℃に対応したHグレード品も用意される。

 また、故障モードを予測し設計に反映するFMEA(Failure Mode and Effect Analysis)の考え方に基づいて開発されており、すべての信号には2個以上のピン(パッド)が割り当てられ、仮に片方でハンダ不良などが発生しても動作を継続できる。また、障害発生時には出力電圧を下げる方向に保護回路が働くように工夫されている。

 LTM8073もSilent Switcherアーキテクチャで構成されたμModuleレギュレータだ。入力電圧範囲3.6V~60V、出力電圧範囲0.8V~15V、出力電流最大3A(連続)または5A(ピーク)となっており、並列接続も可能である。

 パッケージはBGAで、サイズは6.25mm×9mm×高さ3.32mmと小さく、入力コンデンサ、出力フィルタ、スイッチング周波数設定抵抗のみを外付けするだけで電源回路を構成できる。小型化あるいは低背化を必要とする機器に最適といえるだろう。

図5.Silent Switcherアーキテクチャに基づいた3.5A出力の降圧μModule「LTM8003」
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(4) LTM8042/LTM8042-1

 設計が比較的面倒な定電流源として構成しなければならないLEDの駆動回路をパッケージングしたμModuleで、基本のトポロジーは昇圧だが、降圧モードまたは昇降圧モードにも対応しているため、入力電圧がLEDストリング電圧よりも高い場合あるいは同等の場合でも回路を構成できるなど、さまざまなLEDストリングにも対応できるという特長がある。

 LTM8042は最大1A、LTM8042-1は最大350mAの駆動が可能だ。3000:1という広範囲なPWM調光にも対応する。

 また、変換効率にも優れており、昇圧動作の場合で、入力電圧や出力電圧(ストリング電圧)の条件によっても異なるが、おおむね90%以上を達成している。

開発期間を短縮し製品の付加価値を向上

 かんたん設計、高い信頼性、豊富なラインアップ、コンパクトなソリューション、そして充実した設計サポート。こうした特徴を備えたμModuleは、産業機器、OA機器、通信機器、計測器、自動車など、さまざまな分野で採用が進んでいる。

 「μModuleは開発期間を短縮しTTM(Time-to-market)を実現するソリューションです。新たな進化を遂げているμModuleを、製品開発の効率化や付加価値の向上に生かしていただければ嬉しく思います」と石田氏は述べる。

μModuleの製品ツリー
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 なお、多くのメリットを持つμModuleについては、「アナログで未来を創る」のバックナンバーも合わせて参考にしていただきたい。

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