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スイッチング電源ソリューションをワンチップ化したμModule

シグナルチェーンや電源回路全体をシングルパッケージに封止してターンキーとして提供するリニアテクノロジーの「μModule(マイクロ・モジュール)」。回路設計を省力化して本来のアプリケーション開発に注力できるほか、実装の小型化も図れるなどのメリットがあり、FA、メディカル、通信機器、IT、自動車などの分野で強い製品づくりを目指す日本メーカーで採用が広がる。

松田 茂 氏
リニアテクノロジー株式会社 東日本地区 地域統括セールスマネージャ

 日本のものづくりはここ10年の間に大きく様変わりした。製造コストの安いアジア諸国と競合しがちなローエンドの製品で勝負することはやめて、日本でしか作れない高度な物作りを目指していこうという機運が産業界全体に広まってきたといえる。

 そのような変化は、産業計測、医療機器、通信機器、自動車など、さまざまな分野で見て取れる。たとえば通信機器の場合なら、100G/400G光通信ネットワークの高性能化をはじめ、LTE Advanceの実用化などが挙げられるだろう。

 高度な製品を生み出すには、高性能化や高機能化の深化に加え、実装の小型化や高密度化なども突き詰めていく必要がある。エレクトロニクスの観点からは、最先端のデバイスやテクノロジーをいかに使いこなすかが鍵を握ると言えよう。

モジュールとして長期供給も保証

 こうしたものづくりの変化を一因に、スイッチング電源回路全体をシングルパッケージに封止したリニアテクノロジーの「μModule(マイクロ・モジュール)」(図1)に対する関心が高まっていると、同社の松田 茂氏は述べる。

 「たとえば競争力の高い高性能な製品をつくるために最新のFPGAやASSPを採用する場合、数十Aから時には200Aを超える消費電流にも対応した0.7~0.9V程度の電源回路がコア電源として必要です。FPGAやASSPは電圧の許容範囲が厳しく規定されているほか、電源オン時だけではなく電源オフ時もシーケンスを守らなければなりませんし、実装の小型化も求められます。こうした例を挙げるまでもなく、最先端FPGAなどのデバイスを活用する際に、難易度が高まっている電源回路の設計負担をなるべく軽くしてそのリソースを本来の製品開発に注ぎたいというお客様などから、μModuleへの引き合いを多く頂戴しています」(松田氏)。

 もともとリニアテクノロジーのスイッチング電源ICは、電源の変換効率が高く、負荷変動応答にも優れるなど性能的にも定評があり、産業計測や医療機器などに幅広く採用されている。

 μModuleは、そうした「素性」の良い電源ICを中核に、電源回路を構成するパワー素子や各種の受動部品を小型のプラスチックパッケージに封止した、いわば「ターンキー」的なソリューションである。電圧設定用の抵抗や小容量の入出力用コンデンサなどを除いて、基本的に外付け部品を必要としない。

 「μModuleは、製品をいちはやく市場に投入できるなど、さまざまなメリットをもたらします。品質についても折り紙つきで、長期間の稼働が想定されるアプリケーション向けにすでに百万個以上を出荷していますが、私が知る限りこれまで不良は出ていません」と松田氏は説明する。

 また、リニアテクノロジーでは「原則として、製品の製造中止をしない」という顧客価値を謳っているが、μModuleについても適用されるそうだ。「お客様にこの点をご説明すると安心していただけるようで、採用に踏み切られるお客様もいらっしゃいます」(松田氏)。

図1. スイッチング電源回路全体をシングルパッケージに封止したリニアテクノロジーの超小型4出力μModule
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FPGAなどに適し最大300Aの高出力が得られる「LTM4650」

 リニアテクノロジーでは2005年からμModuleを展開しており、すでに数多くのバリエーションが用意されている。降圧型や昇降圧型、超低ノイズ品、多出力品、拡張温度対応品、電圧マージニング機能搭載品、出力シーケンス機能搭載品などがあるほか、LEDドライバやバッテリチャージャなど目的に特化した品種も取り揃えている。その中から特徴的な2シリーズを紹介しよう。

図2. 16mm×16mmの小型パッケージながら50Aもの高出力を実現した最新のμModule「LTM4650」
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図3. 並列構成によって最大で300Aの出力が可能(図は100A出力回路)
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 最先端のFPGAやASSP向けに開発されたのが大電流μModuleである。主要なFPGAベンダーやASSPベンダーのリファレンスボードにも採用されるなど実績も豊富だ。

 そのうち2016年2月に発売された「LTM4650」(図2)は第3世代とも呼べるソリューションで、16mm×16mm×5.01mmのサイズながら25A×2系統または50A×1系統の高出力を実現したのが特徴だ(これまでは18A×2系統または36A×1系統の第2世代「LTM4630」が最高)。「モジュールタイプのスイッチング電源としては世界最高の電力密度を実現していると考えています」と松田氏は説明する。

 LTM4650の入力電圧範囲は4.5Vから15V、出力電圧範囲は0.6Vから1.8V、出力電圧制度は±1.5%となっており、プロセスノードの微細化によって低電圧化と大電流化が進むFPGAやASSPの電源として最適な仕様を備える。

 マルチフェーズ動作による並列構成にも対応しており、最大で6個のLTM4650を並列にした場合で300Aもの出力を得ることもできる(図3)。「一層の大電流を求めるお客様の声を反映して生まれた製品で、並列構成によって250Aクラスの電源回路を組んで量産製品に採用されているお客様もすでにいらっしゃいます」(松田氏)。

高さ1.82mmの低背化を実現した「LTM4622」

 一方、システムの徹底した小型化を求める設計者から人気が高いのが、LGAパッケージでわずか1.82mmという低背化を実現した超薄型μModuleである。

 代表的な「LTM4622」(図4)の場合で、出力電圧範囲は0.6Vから5.5Vと広く、出力電流は2.5A×2系統または5.0A×1系統と、一般的なデジタル回路には十分な出力を備える。低背化品としては、このほかに、3A×1系統の出力を備えた「LTM4623」や、DDR4メモリシステム用にVDDQとVTTとVTTR出力を備える「LTM4632」が現時点でラインアップされる。

図4. 基板の空きスペースにも簡単に実装できる、高さ1.82mmの超薄型μModule「LTM4622」
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 スイッチング電源回路は、一般に、出力インダクタの高さによって回路全体の高さが律速されることが多いが、これらの超薄型μModuleはインダクタを内蔵しながらも1.82mmという薄さを実現したのが特徴だ。

  「片面基板なら1cm2、配線の自由度が高い両面基板であれば0.5cm2ほどのスペースがあれば実装できてしまいますし、2016タイプ(高さ1.6mm)のチップ部品と高さがほとんど変わりませんので、他の部品や構造等と干渉する心配もありません」と松田氏は製品の特徴を訴求する。

図5. 入出力コンデンサと電圧設定抵抗を外付けするだけでスイッチング電源回路を構成可能
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強い製品作りを実現するμModule

 最近は電源回路を専門とする設計者の数が減っているといわれており、たとえば前述の最新FPGAが必要とするような低電圧・大電流の電源回路などを自前で設計することが難しくなってきている。

 μModuleを使えば電源回路をターンキーとして手間をかけずに構成できる一方で、そのぶんのリソースをアプリケーションの開発や付加価値の向上に充てることができる。「強い製品やシステムを作ろうとするお客様にμModuleがもたらすさまざまなメリットが浸透しつつあり、通信、医療、FA、ロボット、防衛、鉄道、航空、自動車などあらゆる分野ですでに活用されていて、逆に使われていないアプリケーションを探すのが難しいほどです」(松田氏)。

 最近は、CPUとともにFPGAが実装される超高速処理サーバーや大容量高速ストレージなどに高出力タイプのμModuleが採用されたり、想定されていなかった民生用の小型デジタル機器に小型のμModuleが搭載されるなど、新しい採用形態が増えているという。

  「μModuleを活用して、ものづくりの進化の波をいち早くキャッチアップしていただければと願っています」と松田氏は述べる。リニアテクノロジーでは、今後もエンジニアのニーズを反映してμModuleのラインアップを拡充しながら、強い製品づくりを応援していきたい考えだ。

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