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高性能な電源回路をシングルパッケージに凝縮、最高100A出力も可能なリニアの「μModule」

高性能な電源回路をシングルパッケージに凝縮、最高100A出力も可能なリニアの「μModule」

パワーマネージメントデバイスやアナログデバイスで業界をリードするリニアテクノロジーを代表する製品のひとつが「μModule」(マイクロモジュール)だ。特性に優れたスイッチングレギュレータ回路全体をシングルパッケージに封止したのが特徴で、基板の小型化を図れるとともに、電源回路設計や実装設計の負担を大幅に軽減できる。20A出力品および13A×2チャネル出力品を新たにラインアップに加えた「μModule」のメリットについて、ドナルド E. パオルス副社長に聞いた。

ドナルド E. パオルス氏(Donald E. Paulus)
ドナルド E. パオルス氏(Donald E. Paulus)
Linear Technology Corporation
副社長
兼 ゼネラルマネージャ
パワー製品

—担当している事業分野を教えてください。

パオルス:高性能なパワーマネージメントデバイスはリニアテクノロジーの主力製品のひとつで、オートモーティブやインダストリアルをはじめとするさまざまな分野で活用されています。こうした当社のパワーマネージメントデバイスはいくつかのカテゴリーに分類されますが、出力電流が比較的大きなパワーマネージメントデバイスの事業を私が担当しています。

—特徴的な製品があれば紹介してください。

パオルス:当社を代表するパワーマネージメントデバイスである「μModule」(マイクロモジュール)をご紹介したいと思います。従来、スイッチングレギュレータ回路を構成するには、スイッチングコントローラICのほかに、ハイサイドMOSFETやローサイドMOSFET、補償回路、出力インダクタといった外付け部品を必要としていました。また、帰還ループの発振を防ぐには補償回路の設計が重要ですし、ノイズの発生を最小限に抑えるには適切な実装設計も欠かせません。こうした設計作業は電源に関する経験と知識を必要とするため、エンジニアの皆さんの大きな負担になっていたと思います。

図1. 4個の並列接続により100A出力が得られる、13Aデュアル出力を備えた最新のμModule「LTM4620A」
図1. 4個の並列接続により100A出力が得られる、13Aデュアル出力を備えた最新のμModule「LTM4620A」
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 当社が開発したμModuleは、当社の高性能なスイッチングコントローラICを中心に、パワーMOSFET、インダクタ、入出力バイパスコンデンサなど、電源回路に必要なすべての部品をシングルパッケージに封止したきわめてユニークなパワーマネージメントデバイスです。2003年からコンセプト開発を進め、2005年10月に第一世代となる0.6V~5V/10A出力の「LTM4600」を発売しました。その後、第二世代となる0.6V~5V/15A出力の「LTM4627」などのμModule製品をラインアップに加えています。さらに第三世代として、業界トップレベルとなる0.6V~5.5V/20A出力を実現した「LTM4637」と、0.6V~5.3V/13A出力を2系統内蔵した「LTM4620A」を新たにリリースしました。最近は数十Aから100A近い電流を消費するプロセッサやFPGAも登場しているため、大出力タイプのμModule製品はそうしたデバイスのPOL(ポイント・オブ・ロード)電源に最適と考えており、とくに「LTM4620A」は4個を並列に接続すると100A出力を得ることもできます(図1)。

電源設計の負担軽減や基板小型化などに寄与するμModule

—μModuleにはどのようなメリットがあるのですか?

パオルス:先ほども述べたように高性能なプロセッサやFPGAの電源要件は年々高度化が進んでいます。求められるパワーレベルの増大、急激な負荷変動に対する安定性、電圧精度の確保、ノイズの抑制など、さまざまな課題に対処しなければなりません。一方、電源を専門とするエンジニアが専任で割り当てられていた昔とは違って、最近は一人のエンジニアが複数の仕事を担当することが一般的になっています。開発の現場では電源回路の設計にまでなかなか手が回らないのが実情でしょうし、本来は電源回路に詳しくないにもかかわらず電源系の設計を任される場合もあるかもしれません。

 μModuleは世界トップレベルの技術力を持った当社の電源エンジニアの技術や知見を元に開発されています。半導体プロセス、実装、補償回路など、あらゆる分野の専門性がμModuleに凝縮されているのです。お客様は複雑な設計作業から解放されるとともに、高度な技術力を結集させた高性能な電源を簡単に手に入れることができます。また、ノイズが少ないためクリーンなグランドが得られます。

 省スペース化にもメリットがあります。20A出力の「LTM4637」も13A出力×2系統の「LTM4620A」も、パッケージサイズはわずか15mm×15mmです。基板や機器の小型化が図れるため、実際に省スペース化を理由に採用されるお客様も少なくありません。なお、電源密度の向上に伴って発熱の問題が浮上してきますが、変換効率を高めて損失を減らすとともに、銅製のヒートシンクをモールド内部に組み込んでパッケージ上面から放熱するような工夫を行っています(図2)。

図2. 熱伝導性に優れたBT樹脂や銅製ヒートシンクを採用して、主にパッケージ上面から熱を逃がすように設計された、μModule「LTM4620A」の内部構造
図2. 熱伝導性に優れたBT樹脂や銅製ヒートシンクを採用して、主にパッケージ上面から熱を逃がすように設計された、μModule「LTM4620A」の内部構造
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—μModuleに対する市場の反応を聞かせてください。

パオルス:お客様からは非常に高いご評価をいただいていると考えています。リニアテクノロジーではディスクリートタイプのスイッチングレギュレータIC製品も豊富にラインアップしていますが、最近はμModule製品のほうが高い伸びを記録していて、とくに米国において採用事例が増えています。日本でも昨年あたりからお客様の間にメリットが浸透し始め、とくにハイパワーのプロセッサやFPGAを搭載したコミュニケーション機器、放送機器、メディカル機器などを対象に引き合いをいただくようになりました。

 なお、ほとんどのμModuleは一般的なBGAではなく放熱特性に優れたLGA(ランド・グリッド・アレイ)パッケージを採用しているため、品質を重視される日本のお客様によってはパッケージや実装の認定に若干の時間を要する場合もありますが、それでもいったんμModuleご採用いただいたあとはディスクリート回路に戻られるケースはほとんどありません。それくらいお客様にとってμModuleは魅力があると考えています。

世界をリードする日本メーカーとパートナーシップを強化

—最後に、日本市場に対する取り組みを教えてください。

パオルス:リニアテクノロジーにとって日本のお客様はとても大切です。これは決して社交辞令ではありません。実際に米国の多くの設計スタッフが頻繁に日本を訪問し、日本のさまざまなお客様にお会いしてニーズを伺い、製品計画に反映しています。というのも、オートモーティブ、インダストリアル、メディカル、コミュニケーションなどの分野で、日本のメーカーは最先端を走っていると考えているからです。たとえばハイブリッド車の技術にしても、使いやすいカーナビゲーションシステムにしても、いずれも日本企業が世界をリードしています。

 そうした日本のお客様とのパートナーシップが実を結び、当社のワールドワイドに占める日本市場での売り上げは、数年前までは10%程度だったのが現在は17%にまでに増加しました。とくにオートモーティブ分野で10年以上前からTier-1やそのほかのお客様とパートナーシップを組み、高い品質要求や供給ニーズに対応すべく努力を進めてきたことが、そのような成長の一因と考えています。これからも日本のお客様とのディスカッションを通じて新たな市場ニーズやトレンドを探りながら、継続的なR&Dによってパワーマネージメントデバイス分野でのリーダーシップを維持し、お客様のお役に立てるように努めていきたいと考えています。

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