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新プロセスを武器にパワーICの高性能化を推進、高度な顧客ニーズに応えるリニアテクノロジー

新プロセスを武器にパワーICの高性能化を推進、高度な顧客ニーズに応えるリニアテクノロジー

スイッチングレギュレータなど、高性能なパワーマネージメントデバイスを幅広く提供するリニアテクノロジー。同社の製品は、オートモーティブやインダストリアルなど、高い性能と信頼性が要求される分野を中心に採用が広がっている。最近ではパワーマネージメントに最適化を図った独自の半導体プロセス(BCDプロセス)を新たに開発するなど、さらなる高性能化を推進中だ。来日したスティーブ・ペトケビッチ副社長に取り組みを聞いた。

スティーブ・ペトケビッチ氏(Steve Pietkiewicz)
スティーブ・ペトケビッチ氏(Steve Pietkiewicz)
Linear Technology Corporation
副社長
兼 ゼネラルマネージャ
パワー製品

—担当している製品と、市場の状況を教えてください。

ペトケビッチ:リニアテクノロジーの米国本社には、スイッチングレギュレータICなどのパワーマネージメントデバイスを扱う事業部が二つあります。ひとつは入力電圧が比較的高いパワーマネージメントデバイスを扱う事業部で、もうひとつは出力電流が比較的大きいパワーマネージメントデバイスを扱う事業部です。私が統括しているのは前者で、社内では私の名前の「スティーブ」の頭文字をとって「S-Power事業部」と呼ばれています。ちなみに後者はドナルド E. パオルス(Donald E. Paulus)というVice Presidentが統括しているので、「ドナルド」の頭文字をとって「D-Power事業部」と呼ばれています。これはジョークではなくて本当の話なんです(笑い)。

 「S-Power」と「D-Power」の事業規模はほぼ同じで、両者を合わせてリニアテクノロジー全体のおよそ60%を占めています。ビジネスは堅調に推移していて、主にオートモーティブとインダストリアルの分野で採用が広がっています。また、一部の有名なコンピュータベンダーにも採用されています。

—「S-Power事業部」で扱っている高い入力電圧に対応したパワーマネージメントデバイスは、どういったアプリケーションで使われているのでしょうか。

ペトケビッチ:もっとも代表的なアプリケーションはやはりオートモーティブです。もう少し広く捉えると、鉄道、船舶、航空機、商用車(トラック)、建設機械などを含めた「トランスポーテーション」分野といえるでしょう。自動車用バッテリの定格電圧は一般に12Vですが、ロードダンプといってバッテリの接続が外れたときには数十Vもの電圧が発生することがあり、パワーマネージメントデバイスにはそうした高電圧にも耐えられる十分なマージンが求められます。一方で、コールドクランクと呼ばれる寒冷状態での始動時や、最近になって増えているアイドリングストップ車での再始動時には、バッテリ電圧ラインが5Vあるいは4V程度にまで低下するため、そうした低電圧でもレギュレーション動作を維持できなければなりません。リニアでは、そうした厳しい動作環境においても安定的に動作するパワーマネージメントデバイスを幅広く提供しています。

パワーデバイス専用のBCDプロセスを開発

—リニアテクノロジーのパワーマネージメントデバイスは優れた性能で知られています。そうした優位性をもたらしているキーテクノロジーについて教えてください。

ペトケビッチ:パワーマネージメントデバイスは、スイッチング動作が高速なこと、ノイズが少ないこと、動作時およびスタンバイ時の消費電流が小さいこと、変換効率が高いこと、といった要件を満足しなければならず、これらを満たすにはプロセス技術が特に重要になります。リニアはこれまで高性能なバイポーラプロセスの開発を通じてこれらの技術課題に対応してきました。

 さらに近年は、リニア独自のBCD(Bipolar-CMOS-DMOS)プロセスの開発に注力しています。BCDプロセスはパワーマネージメントデバイスに最適なプロセスで、単一のダイ上にバイポーラとCMOSとDMOSを形成できるのが特徴です。パワーマネージメント回路のうち、パワー部分をDMOSで、ロジック部分をCMOSで、シグナルコンディショニング部分をバイポーラでそれぞれ構成することで、きわめて高い性能を得ようというのがBCDプロセスの狙いです。このBCDプロセスの量産第一号となるデバイスが「LT8610」ですが、バイポーラで作られた従来品「LT3975」に比べてさらなる高性能化が実現されています。

—パワーマネージメントデバイスの新製品があれば紹介してください。

ペトケビッチ:BCDプロセスのところでも挙げた「LT8610」は、3.4Vから42Vという広い入力電圧範囲に対応した、2.5A出力の同期降圧レギュレータです。無負荷時の動作電流(待機事電流あるいは静止時電流)をわずか2.5μA(VIN=12V/VOUT=3.3V時)に抑えているほか、最高96%(VIN=12V/VOUT=5.0V/IOUT=1A時)という業界トップクラスの変換効率を実現しています。なお「LT8610」については、弊社日本法人の亀元が詳しく説明している記事があり ますので、そちらも合わせてご参照ください。(クルマ用にこんな電源ICが欲しかった!/あらゆるニーズを満たす降圧スイッチングレギュレータがリニアテクノロジーから登場

 「LT8612」(図1)は「LT8610」の高出力版で、5A出力に対応しています。内蔵FETの最小オン時間を「LT8610」の45ns(IOUT=1A、VSYNC=High、typ値)から「LT8612」では35ns(同)に短縮し、入力電圧と出力電圧との降圧比を高められるようにしました。それにより、AMラジオの周波数帯へのノイズ干渉を回避できるように、スイッチング周波数を200kHzから最高2.2MHzの範囲で設定可能です。また、ドロップアウト特性がきわめて優れているので、所望の出力電圧を得るための最小入力電圧は、出力電圧+250mVで済みます。

図1. 3.4Vから42Vという広い入力電圧範囲に対応した、5A出力の同期降圧レギュレータ「LT8612」
図1. 3.4Vから42Vという広い入力電圧範囲に対応した、5A出力の同期降圧レギュレータ「LT8612」
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新たな市場ニーズに応える新製品の開発を推進

—日本市場への取り組みを教えてください。

ペトケビッチ:日本市場はとても重要と捉えており、日本のお客様とも密接な関係を築き維持するように努めてきました。たとえば、パワーマネージメントデバイスと周辺素子とをシングルパッケージに封止した当社独自の「マイクロモジュール」のある品種は、日本のサプライヤのお客様と多くのミーティングやテストを重ねて開発したものです。パワートレインECUへの搭載に対応できるきわめて高い信頼性が必要であり、そうした日本のお客様の高い要求を満たすマイクロモジュールを開発できたことを大変嬉しく思っています。オートモーティブ市場は他の市場に先行することも多く、こうした事例をベースにしながら、他のお客様にも積極的にご紹介していきたいと考えています。

—今後の製品開発の予定を聞かせてください。

ペトケビッチ:先ほどご紹介した「LT8610」や「LT8612」については、お客様から多くのご要望を頂いていますので、「マイクロモジュール」版の開発も進めています。現時点でいつということはお話できませんが、日本法人のスタッフからこういうときの日本語を教えてもらったので申し上げれば、「モウチョット、マッテ、クダサイ」ということになるでしょうか(笑い)。

 また、今後はアイドリングストップ車の普及に伴ってバッテリ電圧ラインの低下が頻繁に発生するようになることが見込まれるため、降圧型だけではなく、低電圧入力にも対応した昇降圧型 についても開発を進めています。さらに、2個のバッテリを直列に接続した24V系のオートモーティブアプリケーションに対応できるように、入力電圧の上限をさらに高めた製品も開発中です。

 これからもリニアの高性能なパワーマネージメントデバイスに期待してください。

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  • アナログ・デバイセズ株式会社
    アナログ・デバイセズ株式会社

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