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運転席がコックピットへと進化する クルマにおけるECUの新たな課題をリニアが解決

運転席がコックピットへと進化するクルマにおけるECUの新たな課題をリニアが解決

自動車のエレクトロニクス化はさまざまな課題をもたらしているが、高性能なアナログ半導体を手がけるリニアテクノロジーは、電源ソリューションを中心にさまざまなニーズに応えてきた。同社が新たに提案するのが、インパネを情報ディスプレイ化した「デジタル・コックピット」時代のソリューションである。代表的な高性能DC/DCコンバータのLT86xxシリーズを主軸にしたソリューションを紹介する。

池田 整紀 氏
リニアテクノロジー株式会社 セールスマネージャ

 自動車のエレクトロニクス化が予想を超える勢いで広まりつつある。衝突被害軽減ブレーキ、インテリジェントクルーズコントロール、スマートエントリー、イモビライザ、リアビューカメラ、パーキングセンサーやパーキングアシスト、カーナビやテレマティクス、ヘッドアップディスプレイ、アイドリングストップ、回生ブレーキなど、近年普及しているさまざまな装備や機能はそうしたエレクトロニクス化の賜物ともいえるだろう。これらを支える半導体デバイスの一端は、これまでの「アナログで未来を創る」でも紹介してきた(バックナンバーは右側ペインからお読みください)。

 さらに、次なる進化として提案されているのが「デジタル・コックピット」である。スピードメーターやタコメーターで構成されるインパネ部分をディスプレイ化して、メーターだけではなく、運転を支援する種々の情報をグラフィカルに表示しようという狙いで開発が進められており、一部の高級車ではすでに搭載が始まっている。

 「こうしたエレクトロニクス化は自動車産業の成長に寄与する一方で、新たな課題を生みだしています」と、リニアテクノロジーの池田整紀氏は指摘する。ここでは、「コックピット用ディスプレイパネルの高機能化・大型化」、「ECUの搭載場所の制約」、「アイドリングストップ車への対応」、「ECUの増加」という四つの課題を挙げた(図1)。

 「リニアテクノロジーは長年にわたって車載用デバイスを提供してきた経験と実績を持っています。お客様の課題を解決する幅広いソリューションを取り揃えているのが強みであり、今回は四つの課題に最適なDC/DCコンバータ『LT86xxシリーズ』をご提案します」(池田氏)。

 四つの課題に対してLT86xxシリーズがいかに適するかをそれぞれ説明しよう。

図1. クルマのコックピット化を見据えた代表的な課題
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課題1:コックピットパネルの高機能化・大型化

 まず、普及が迫りつつあるデジタル・コックピットについて取り上げる。コックピットに表示しようとする情報量や意匠(インテリアデザイン)などによっても異なるが、少なくとも既存のインパネをカバーするだけの横長の液晶パネルが必要であり、また、アナログメーターと同じレスポンスで速度やエンジン回転数を表示するためには、描画処理が高速な高性能グラフィックコントローラが必要になる。
こうした要件を電源の観点で見ると、まずは負荷応答特性が課題として挙げられるだろう。というのもグラフィックコントローラは一般に消費電力が大きく、かつ、内部の描画処理に応じて負荷電流が大きく変動することもあるからだ。

 また、イグニッションをオンにしたときに即座にメーター類を表示させるために、メモリ上の情報をバックアップする場合があり、電源回路の待機時電力をいかに抑えるかも課題である。

 「LT86xxシリーズは待機時電流が2.5μAと小さく、バックアップメモリへの常時通電にも適します。また、負荷応答特性にも優れており、高性能なグラフィックコントローラに安定した電力を供給可能です。」と池田氏は訴求する。
なお、「LT86xx」シリーズは図1に示すように、2チャネルの「LT8616」、4チャネルの「LT8602」、ノイズの少ない「LT8414」(後述)などを取り揃えている。このうち「LT8610」と「LT8611」については、「クルマ用にこんな電源ICが欲しかった!  あらゆるニーズを満たす降圧スイッチングレギュレータがリニアテクノロジーから登場」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/abaa/132344/)でも紹介しているので、合わせてご一読いただきたい。

図2. 負荷変動応答に優れ待機時電流が小さいといった特徴を備える、リニアの「LT86xxシリーズ」
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課題2:ECUの搭載場所の制約

 二つ目の課題はECUの搭載場所の不足である。エレクトロニクス化の進展で、現在のクルマには数十個から100個以上のECUを搭載しなければならず、搭載スペースの確保が設計者の悩みの種になっているが、デジタル・コックピット化が進めばその傾向にさらに拍車が掛かるだろう。

 リニアテクノロジーではECUを構成する電源回路の小型化でこの課題に対応する。「『LT86xx』シリーズは2MHz以上の高いスイッチング周波数に対応していますので、周辺部品の小型化が可能であり、従来に比べておよそ80%もの削減に相当する15mm×18mm程度のサイズで電源回路を構成することができます」と池田氏は説明する。

 また、変換効率が高いのも特徴だ。ベストケースでおよそ98%もの効率を実現しているほか、平均的に見て一般的な車載向けの高耐圧非同期スイッチングレギュレータに比べて5%以上も効率が高い。出力が5V/2.5Aのときの損失によるデバイスの温度上昇をしてみると、25℃も低いという試算結果も得られたそうだ。発熱が少なければヒートシンクなども不要になり、さらなるECUの小型化につながるだろう。

図3. 省スペース化と高効率化によりECUの小型化に寄与する、リニアの「LT86xxシリーズ」
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課題3:アイドリングストップ車への対応

 三番目の課題は「アイドリングストップ車への対応」である。燃費の向上やCO2の排出削減を目的に、アイドリング中にエンジンを止めるアイドリングストップ機能を搭載するクルマが増えているが、再始動ごとにスターターモーターが大電流を消費するため、バッテリーの12V系統の電圧が低下する、いわゆる「コールドクランク」や「減電」と呼ばれる現象が起こる。

 仮にバッテリー電圧が一時的に6v以下に低下したとすると、5Vを出力するDC/DCコンバータによっては入力電圧が不足して、正常なレギュレーションが行えない可能性も出てくる。エンジンが再始動していざ走り始めようという瞬間に、万が一デジタル・コックピットの表示が消えるようことがあれば、運転者は不安を感じ、その心理にも影響を及ぼすかもしれない。
アイドリングストップで生じるこのような課題に対して、「LM86xx」の低ドロップアウト機能が効果を発揮する。入力電圧が設定出力電圧にまで低下したときでも、入力電圧-数100mVの電圧を出力するモードだ。たとえば5V出力設定時に12V系の電圧がコールドクランクで5.0Vまで低下してもLM86xx なら4.8Vを出力できるため、ECUのリセット電圧スレッショルドがトリガーされないために再起動を回避できる。

 「コールドクランクに対しては昇降圧型のDC/DCコンバータで対応する方法もありますが、ECUの回路がぎりぎり踏ん張れるのであれば、『LM86xx』の低ドロップアウト動作はきわめて有効と考えます」と池田氏は述べる。

図4. アイドリングストップ後の再始動時などのコールドクランク条件でもぎりぎりの電圧を出力する「低ドロップアウト」機能
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課題4:ECUの増加

 最後の課題は「ECUの増加」である。前述の二つ目の課題とも共通するが、ECUの増加に伴って電源の高効率化や待機時電流の削減が強く求められるようになった。

 さらに、「ECUの増加」に伴ってもうひとつ解決しなければならないのが電磁波の干渉である。ECU同士の設置距離が短くなっていることに加えて、スマートエントリーなど電波を扱う装備が増えているため、電源回路から発するノイズをできるだけ抑える必要があるからだ。放射ノイズが大きければ、デジタル・コックピットの表示にちらつきや誤表示が発生する可能性もある。

 この課題に対してリニアテクノロジーは、「サイレントスイッチャー」という新しいテクノロジーを採用した「LT8614」を提案する。「独自の技術によってコンバータIC自体からの放射ノイズを抑えたのが特徴です。基板設計を含むEMI対策に苦労されているのであれば、ぜひお試しください」と池田氏。CISPR 25 Class5のノイズ基準をはるかに下回る優れた特性を備えている。

 以上、デジタル・コックピット時代を控えた最近の課題の中から電源系に関連する4項目を取り上げて、それぞれリニアテクノロジーのソリューションと合わせて説明した。池田氏は次のように説明する。「今回ご紹介したのは当社ソリューションのほんの一例です。ほかのICメーカーでは対応が難しい場合でも当社であれば解決できてしまう場合も少なくありません。開発課題があれば是非、弊社に御相談いただき、新たな機能や特長を備えたECUの開発を、共に進めさせていただければと思います。

 インパネから「デジタル・コックピット」へと進化を遂げつつあるクルマの新たな課題に挑戦し続けるリニアテクノロジー。これからの取り組みがなお一層注目される。

図5. 独自技術の採用により放射ノイズを抑えた「LT8614」
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