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「切れない無線」が作る新たなビジネス・チャンス、加速のために、「ダスト・コンソーシアム」が発足

「切れない無線」が作る新たなビジネス・チャンス、加速のために、「ダスト・コンソーシアム」が発足

ケーブルなしで簡単に設置でき、電池のみで長年動作し、欠測の起きない「ダスト・ネットワークス」のユニークな無線ネットワーク技術は、M2MやIOTのLast 100mを簡単、安価かつ信頼性高く構築するための技術として、海外では既に豊富な実績に基づいた評価が確立されている。このユニークな技術は日本でも最近ようやく知られ始めてきたが、他の無線方式では解決不可能な問題を解決できる技術であるにも関わらず、切実なニーズを持つユーザと機器メーカーとの間に情報の障壁が数多く存在しているのが現状である。そこで、これらの情報障壁を取り除き、国内でのビジネスの立ち上げを円滑化することを目的として、「ダスト・コンソーシアム」が設立される。事務局長の小林純一氏に話を聞いた。

—リニアテクノロジーは2014年10月17日に「ダスト・コンソーシアム」という団体を設立するそうですが、その概要と趣旨を教えてください。

小林 純一 氏
リニアテクノロジー株式会社 ダスト・エバンジェリスト ダスト・コンソーシアム事務局長

小林:「ダスト・コンソーシアム」とは、リニアテクノロジーの無線センサーネットワーク部門である「ダスト・ネットワークス」が提供するユニークな無線通信技術を自社の新しいビジネスに応用したいとお考えのメンバー同志の間を結ぶことを目的とした団体です。したがって、コンソーシアムという名称は硬すぎるかもしれません。実際には「ダスト・ネットワークス」の技術のビジネスへの応用に関心を持った方々が集う、異業種交流会といった性格の団体です。

 「ダスト・コンソーシアム」を設立しようと考えた背景には、次のような状況があります。これまでに、ダスト・ネットワークスの技術のご紹介にいろいろなお客様を訪問してきました。需要者側では、電力、鉄道、道路、建築、土木、運送、医療、農業、製造などの運用をされているお客様や、そういった会社を顧客としてシステム構築を行っている会社です。またメーカー側では振動、温度、放射線、水質など、各種のセンサーを得意分野としているお客様です。ほとんどのお客様で「ダスト・ネットワークス」の技術にご興味を持っていただき、それが可能にする新しい応用分野について活発なお話になります。

 そういった場では、システム・インテグレータのお客様の場合には彼らの顧客が抱えている課題を解決するために、どのようなハードとソフトを組み合わせれば良いのか、完成品を持っているメーカーを紹介してほしいと言われます。一方、センサー・メーカーに訪問した際には、最終的なお客様のニーズを把握しているシステム・インテグレータを紹介してほしいと言われます。例えばLANやWiFiのように既に市場と技術が確立した製品であれば、既にそれらの会社の間にビジネス上のお付き合いが出来ていますから特に問題はないでしょうが、「ダスト・ネットワークス」の技術のように、日本では新しい技術を新しい応用分野に適用する場合にはそれが当てはまりません。

図1. ソフトウェアベンダー、ハードウェアベンダー、インテグレータなどをつなぐ「ダスト・コンソーシアム」

 そういった背景もあって、ある案件に関してユーザの問題意識を把握されているシステム・インテグレータと、その課題を解決できる技術を持つセンサー・メーカーとの間を私共が仲介役となってご紹介したケースがあります。その時には両方から非常に感謝されて、具体的な新規ビジネスの開発につながっています。「ダスト・コンソーシアム」を立ち上げる最大の理由は、この仲介活動を何とかシステム化したいとの思いにあります。これはセンサーに限らず、電池、アンテナ、筐体、その他いろいろな部品についてもいえるでしょうし、ミドルウェア、クラウドコンピューティングなどの上位層についても全く同様です。会員の皆様には、「ダスト・コンソーシアム」をうまく活用して、新しいビジネス・チャンスの発見と、それを現実化するためのビジネス・パートナー関係の構築をして頂ければと思っています。(図1)。

会員相互の情報交換でビジネスマッチングを図る

—「ダスト・コンソーシアム」ではどういった活動を予定しているのですか?

小林:「ダスト・コンソーシアム」のウェブサイト(http://dust-consortium.jp/)(図2)や定期的なミーティングを通じた情報提供やニーズの交換、各社のテクノロジーやソリューション、導入事例のご紹介などが当面の活動の中心になると考えています。また展示会への出展なども予定しています。展示会では、会員各社のブースをダスト・ネットワークスの無線で結ぶことも、やりたいことの一つです。今一番考えていることは、会員の皆様にメリットだけを提供して、不都合なことが起こらないようにしたいということです。そのためには会員情報の開示についてのルールが必要で、最も目的に合った適切なルールをご用意したいと考えています。

図2. 会員には「ダスト・コンソーシアム」のウェブサイト(http://dust-consortium.jp/)や定期的なミーティングを通じてさまざまな情報提供を予定
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—「ダスト・コンソーシアム」に入会するにはどうすればいいのでしょうか?

小林:第一に、「ダスト・ネットワークス」の技術が持つユニークな特徴に注目し、それを自社のビジネスに活用したいとお考えの方々に入会していただきたいと考えています。ただし、入会された方には、リニアテクノロジーとして今後とも責任を持って営業・技術サポートを行おうと考えておりますので、入会についての条件としては弊社の営業部門が入会をお勧めする方とさせて頂いております。また、あくまでも異業種交流会的なパブリックな空間ですので、公開可能な情報のみを取り扱います。従って特にNDAなどの契約書などを交わすことは行いません。

 なお、2014年10月17日に開催する設立発表会には、コンソーシアムの趣旨に賛同してくだった数十社の企業が参加される予定です。「ダスト・ネットワークス」の技術がもたらす可能性に早くからお気づきの方々は既に開発を進めておられますので、そういった方々の発表の場も設けられたらと考えています。

「切れない無線」が特徴の「ダスト・ネットワークス」

—「ダスト・コンソーシアム」が対象とする「ダスト・ネットワークス」の特徴について説明してください。

小林:「ダスト・ネットワークス」では、電池駆動によるメッシュ・ネットワークを簡単に組むことができるのに対し、それ以外の無線方式では、有線給電が必要なメッシュ・ネットワーク、もしくは電池駆動のスター型ネットワークしか組むことができません。これが一番の違いです。その違いを生んでいるのは、非常に正確な時計を持っているか否かです。正確な時計を元に完全に同じ時刻に起動して通信が行えることから、送信と受信に必要な電力が最小限に抑えられます。一方、他の方式では必ず片方の装置が常に受信していないと通信が維持できません。その差は消費電流にして50マイクロアンペア対30ミリアンペアという600倍の差になります。

  もうひとつの特徴が堅牢性です。屋外に設置されることの多いセンサーネットワークは、外乱ノイズの影響を受けやすく、電波が安定しない状態でいかに確実な接続を確立するかが課題となります。「ダスト・ネットワークス」は、メッシュ・ネットワークによって複数の通信路を確保する空間的冗長性、チャネルホッピングによる周波数冗長性、そして時間をずらした複数の試行による時間的冗長性によって「切れない無線」を実現しており、センサーデータの「欠測」がほとんど生じません(図3)。

 詳細については、日経BP社発行の日経エレクトロニクス誌(http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/)の2014年8月18日号から5回の予定で連載される「NEアカデミー:信頼性の高い無線センサーネット構築の勘所」と題した技術解説記事のほか、日経テクノロジーonline Specialに掲載されている「センサ・ネットワークの決定版が遂に日本上陸/高信頼通信と超低消費電力を両立したSmartMesh」 (http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ac0a/137582/)や「老朽インフラの監視に最適なDust Networks/電池だけで7年から10年の動作が可能」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ad0c/162664/)をご参照ください。

図3. 超ローパワー動作と冗長性を確保した超高信頼通信を特徴とし、無線センサーネットワークの決定版ともいえる「ダスト・ネットワークス」

実証済みテクノロジーを活用した新しいビジネスに期待

—「ダスト・ネットワークス」の事例やアプリケーションを紹介してください。

小林:ニューヨーク市やロサンゼルス市などでは、路上に設けられた駐車スペースの空き状況をスマートフォンで提供するスマートパーキングに「ダスト・ネットワークス」が使われています。磁気センサーでクルマの有無をセンシングし、「ダスト・ネットワークス」を使ってデータを収集するという仕組みで、たとえばロサンゼルス市の場合は2万ヵ所以上の駐車スペースにセンサーモジュールが埋め込まれています。

 このほか、広大なプラントの監視データの収集や太陽熱発電施設の監視データの収集などに用いられており、事例の件数は米国を中心に100件を超えています。このような豊富な実績を誇る「ダスト・ネットワークス」は、すでに実証済みのテクノロジーです。

 日本での本格的な活用はこれからですが、橋梁などのインフラの老朽化監視、放射性物質の環境モニタリング、IT農業の環境モニタリング、太陽光発電施設の監視などのアプリケーションが立ち上がるのではないかと見込んでおり、実際にいくつかの引き合いや問い合わせを頂戴しています。

—リニアはどのようなソリューションを用意しているのですか?

小林:リニアテクノロジーでは「ダスト・ネットワークス」デバイスとして「LTC5800」シリーズを提供しているほか、評価検証用のボード「LTP590x」などを用意しています(図4)。2014年9月にはセンサーアプリケーションの開発環境もリリースします。いずれも詳細はリニアテクノロジーまでお問い合わせください。

図4. リニアテクノロジーが、「ダスト・ネットワークス」のデバイスや評価ボード、開発キットなどを提供
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—最後に、「ダスト・コンソーシアム」への期待を聞かせてください。

小林:ケーブルの敷設が全く不要で、電池だけで長年動作し、なおかつ欠測のない無線センサーネットワークは産業分野において多くの可能性を秘めています。「ダスト・コンソーシアム」の活動が一助となって、会員企業が持っている優れたセンサー技術と私共の実績豊富な「ダスト・ネットワークス」を組み合わせた製品を開発し、それぞれの業界に詳しいシステム・インテグレータの皆様に使って頂けることを期待しています。全ての会員の皆様に、コンソーシアムに入って良かったと感じていただけるような運営を進めていきたいと考えています。ご興味のある多くの皆様のご参加をお待ちしています。

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