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自動運転に向けて進化するカーエレクトロニクス、リニアのアナログ技術が実用化を後押し

自動運転に向けて進化するカーエレクトロニクスリニアのアナログ技術が実用化を後押し

将来の自動運転の実用化を見据えて、衝突被害軽減ブレーキに代表されるさまざまな「ADAS」(アドバンスト・ドライバー・アシスタンス・システム)機能が量産車に搭載されるようになっている。こうしたADASの普及や進歩はカーエレクトロニクスに新たな課題をもたらしており、そのなかから、高信頼化、高精度化、小型化、という三つの観点から、リニアテクノロジーの取り組みとソリューションを紹介する。

石若 航(わたる) 氏
リニアテクノロジー株式会社 名古屋支社 セールスマネージャ

 クルマの自動運転の実用化に向けた動きが活発化している。完全な自動化までにはまだ長い道のりが残されているが、アダプティブクルーズコントロール、レーンキーピングアシスト、衝突被害軽減ブレーキ、インテリジェントパーキングアシストなど、一般に「ADAS」(アドバンスト・ドライバー・アシスタンス・システム)と呼ばれる要素的な機能は量産車にも組み込まれるようになってきた(図1)。

 いずれのADAS機能も、レーダーやカメラなどを使って前方や周囲の状況をセンシングし、その情報をもとにアクセルやブレーキやハンドルを適切かつ瞬時に制御することが動作の基本である。高い信頼性はもちろん、高精度かつリアルタイムなセンシング技術などが不可欠になってくる。

 自動運転の基礎となるADAS機能が進化する中、車載用途に対応したアナログ半導体で長年の実績を誇るリニアテクノロジーで自動車分野のセールスマネージャを務める石若 航氏は次のように述べる。「ADASの開発や自動運転の先行研究を担当する自動車メーカーやサプライヤのお客様からは、高信頼化、高精度化、小型化、という三つのポイントが以前にも増して求められるようになってきました」。

 このようなニーズの変化を受けてリニアテクノロジーではさまざまな取り組みを行っている。その一端を紹介しよう。

図1. 自動運転へと進化する未来のクルマ
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高信頼化:複数電源レールを高精度に監視するスーパーバイザーIC

 ADASは安全に直結するだけに要求される信頼性はきわめて高い。ハードウェアの設計においても、個々の部品の信頼性を高めるのはもちろんのこと、さまざまな冗長構成や障害検出機構を搭載して機能安全を担保しなければならない。

 そうしたニーズに応えて、リニアテクノロジーでは、複雑化かつ多系統化しているECUの電源を精度高く監視する高機能なデジタル・パワーシステム・マネジメント(PSM)IC、および電圧監視用のスーパーバイザーICを提供中だ。

 このうちデジタル・パワーシステム・マネジメントICは、電圧、電流、およびダイ温度を監視し、PMBusを経由してECUマイコンに電源系統の状況を通知するICだ。A/Dコンバータを内蔵しているため電圧の監視精度が高いのが特徴で、ECUマイコンの死活監視用にウォッチドッグタイマを内蔵した品種もある。「LTC2977」や「LTC3883」(降圧レギュレータ内蔵型)などが代表的な製品にあたる。

 デジタル・パワーシステム・マネジメントICに比べて低コストなソリューションがスーパーバイザーICである。最新の製品が「LTC2933」で、6系統の電圧をシングルパッケージで監視できるため、回路の小型化が図れる(図2)。アンダーボルテージ・スレッショルドとオーバーボルテージ・スレッショルドはI2Cバスを経由して6系統それぞれで個別に設定可能であり、電圧の監視精度は±1%と高い。また、フォルトの発生を記録するステータスレジスタおよび履歴レジスタを内蔵しており、I2C経由でログを取得することもできる。AEC-Q100対応品も近日中にリリース予定だという。

 「障害物などの認識精度の向上を目的に、たとえばカメラとミリ波レーダーとを組み合わせる『センサーフュージョン』が注目されています。センサーの種類が増えれば電源系統もさらに増えることが見込まれるため、多系統の電源監視はより重要性を増してくるでしょう」と石若氏は指摘する。高精度な電圧監視は電源系統の速やかな障害検知に有効であり、信頼性向上の一助として重要な役割を果たすだろう。

図2.6系統の電源電圧を±1%精度で監視できるスーパーバイザーIC「LTC2933」
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高精度化:センサーのAFEに適した超低オフセットのオペアンプ

 ADASでは、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、赤外線レーザー、赤外線カメラ、ソナーなどを用いて、前方あるいは周囲の状況を把握するが、これらのセンシングにわずかでも誤差があれば測距精度に大きな影響を与えてしまう可能性もある。

 そのため、「センサーのアナログフロントエンドには、オフセット、ドリフト、ノイズなどの基本性能において優れたアンプを使用しなければなりません」と石若氏は説明する。

 リニアテクノロジーが2014年9月に発売した「LTC6268」(シングル回路)および「LTC6269」(デュアル回路)は、業界の常識を破る3fA(+25℃時)というきわめて小さな入力バイアス電流を実現した、FET入力のオペアンプだ。なお「f」(フェムト)とは、p(ピコ)のさらに1/1000に相当する補助単位である。

 電圧ノイズ密度および電流ノイズ密度はそれぞれ4.3nV/√Hzおよび5.5fA/√Hzときわめて小さいレベルに押さえられている。入力容量もわずか450fF(フェムト・ファラッド)と小さい。

 利得帯域積(GBW)は500MHz、ユニティゲイン帯域は350MHzと、現在の測距センサーには十分だが、リニアテクノロジーではさらなる高帯域版も開発中だという。

 このような特徴を備えた「LTC6268/LTC6268」は、高い信号精度を求められる各種センサーのアナログフロントエンド(AFE)として最適なオペアンプといえるだろう。なお、「LTC6268/LTC6268」の後段には、「安全支援システムを支えるリニアテクノロジーのアナログ技術、『衝突被害軽減ブレーキシステム』の普及に貢献」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ad0b/161902/)で紹介した「LTC6253」などが適するという。

図3.3fAという超低オフセット電流を実現したオペアンプ「LTC6268」
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小型化:電源やADCをシングルパッケージに封止したμModule

 ADASアプリケーションを含むカーエレクトロニクス全般で求められているのが回路の小型化である。というのも、クルマに数多くのECUが搭載されるようになり、スペースの余裕がほとんどなくなっているからだ。

 そうしたニーズを背景に注目されているのが、リニアテクノロジーの「μModule」(マイクロモジュール)である。DC/DCコンバータ、パワーMOSFET、補償回路用の受動部品などをシングルパッケージに封止した「μModule」は、ECUの電源回路の大幅な小型化が図れるとして、すでに一部の量産車に採用されている。詳細は「リニアテクノロジーの『μModule』がついに量産車に搭載!ECUの電源回路の小型化と高信頼化を実現」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/acaa/156722/)を合わせて参照されたい。

 また、単なる小型化だけではなく低背化ニーズに応えて、出力インダクタを内蔵した品種も登場しており、ECU基板の薄型化が可能だ。

 さらに、シグナルチェーンの「μModule」として「LTM9011」がリリースされている。高性能な14ビット、125MSPSのA/Dコンバータを8チャネル封止したモジュールで、SNRは73.1dB、SFDRは88dBと、優れたAC性能が特徴である。バイパスコンデンサやLVDS出力のシリアライザも内蔵しながら、パッケージは11.25mm×9mmサイズと小さい。

 多チャネルのA/Dコンバータを必要とするセンサー入力段に最適といえるだろう。

 「リニアテクノロジーでは、お客様のニーズに応じた『μModule』の開発を今後とも進めていきます。ECUの小型化で悩まれている場合はぜひ一度ご相談ください」と石若氏は述べる。

図4.8チャネルの14ビットA/Dコンバータなどを統合したシグナルチェーン向けマイクロモジュール「LTM9011」

カーエレクトロニクスがクルマを進化させる

 エレクトロニクス技術の進歩によって、クルマは「自動運転」という新しい次元へと飛躍しようとしている。自動運転の実現は現時点ではまだ半信半疑の目で見られることが多いが、自動車メーカー各社とも本気で取り組んでおり、ここ数年の間に順次実用化が進められていくだろう。

 「自動運転の実用化に向けて、ここで述べた高信頼化、高精度化、小型化以外にも、さまざまな課題やニーズが顕在化しています。リニアテクノロジーではこれまで培ってきたアナログ技術を基盤に、クルマメーカーやサプライヤの皆様が必要とするソリューションをこれからも手がけていきます」と石若氏は述べる。

 たとえば、車載ネットワークは従来のCANから高速なEthernetベースに移行しつつあるが、Ethernetケーブルで電力を供給するPoE(Power over Ethernet)のパワーマネージメントソリューションをすでに開発済みである(「LANケーブル一本で最大90Wの電力を機器に給電、ハイパワーPoEの決定版『LTPoE++』の採用が広がる」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ac0i/152262/))。

 数多くのセンサーやネットワークが装備される未来のクルマは、すぐ近くにまできている。リニアテクノロジーはアナログ技術を通じて実用化の後押しに努めていく。

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