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通信装置に最適な電源ソリューション、優れた特性でトラフィック増大に対応

通信装置に最適な電源ソリューション優れた特性でトラフィック増大に対応

とどまるところを知らないペースで増えていくネットワークトラフィックに対して、そうしたトラフィックを処理する通信装置には一層の高性能化および大容量化が求められている。通信装置を構成する電源回路が抱えるさまざまな技術的課題に対して、リニアテクノロジーが提案するソリューションが「μModule」だ。通信を制御するASICやFPGAなどの低電圧化、大電流化、電圧精度の厳格化、および多電源化に応えていく。

岩崎 克 氏
リニアテクノロジー株式会社
セールスマネージャ

 インターネットや携帯通信網のトラフィック増加が著しい。ネットワークを介した動画の利用は急速な勢いで広がりを見せ、また、大量のデータをリアルタイムに収集するセンサーネットワークやIoT(Internet of Things)の実用化も見込まれている。今後、新興国にも携帯電話や動画配信サービスが普及すれば、ワールドワイドのトラフィックはさらに加速的に増加していくだろう。

 そうした膨大なトラフィックを処理するために、基地局やバックボーンなどに使われる通信装置にはさらなる高性能化と大容量化が求められており、通信処理を担うASICやFPGAも高機能化しつつあるのが現状だ。

 「通信装置に搭載されるASICやFPGAが必要とする電源は、プロセスノードの微細化によって低電圧化が進むと同時に、コアやI/Oなど電源の多系統化も進んでいます。そうした状況の中、実装スペースが限られる通信装置では、負荷の急激な変動に対しても大電流を安定的に供給できる高性能な電源回路をいかにコンパクトに実現するかが課題となっています」と、リニアテクノロジーでセールスマネージャを務める岩崎 克氏は述べる。

 そこで、通信装置の電源が抱える課題から四つ挙げ、それぞれの解決策を示してみよう。

課題1:低電圧化/大電流化への対応

 「課題1」は低電圧化/大電流化への対応である。先ほども述べたように、ASICやFPGAのコア電圧や一部のI/O電圧はプロセスノードの微細化などを理由に低電圧化が進んでおり、1.0V程度も当たり前になっている。一方で、ロジック規模の増大によって内部回路が消費する電力は従来と同じか増えているため、電圧が低くなったぶんだけ消費電流は大きくなり、大規模なASICでは100A前後を必要とする場合もある。ただし大電流を出力できる電源回路は一般にソリューションサイズが大きくなってしまい、通信機器の実装面積を圧迫してしまう。

 そこでリニアテクノロジーが提案するのが、DC/DCコントローラ、パワーFET、出力インダクタなどを単一パッケージに封止した、リニア独自の「μModule」(マイクロモジュール)である。

 たとえば、通信制御ASICが1V/100Aを必要とする場合を考えてみよう。

 50A出力の他社製電源モジュールを使った場合、ディレーティングを考慮して3個(計150A出力)で構成すると、およそ2,200mm2もの実装面積を要するのに対して、36A出力が可能なリニアテクノロジーのμModule「LTM4630」(シングル18Aまたはデュアル36A出力)なら、4個(144A出力)を使っておよそ半分の面積で実装できる(図1)。

 「最近の通信機器は、多様なプロトコルへの対応、多ポート化、高帯域化などを理由に、従来にも増して実装面積の制約が強くなっています。そのため、低電圧化および大電流化をコンパクトに実現できるμModuleに対する引き合いを多く頂戴するようになりました」と岩崎氏は説明する。

図1. 課題1:100A超の大電流電源回路もコンパクトに構成できるリニアのμModule「LTM4630」(面積の比率はイメージです)
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課題2:高速負荷応答への対応

 「課題2」は高速負荷応答への対応である。通信制御のASICやFPGAはトラフィックの状況などに応じて負荷電流が急激に変動することがある。電源回路の応答特性が悪いと、そうした変動に適切に追従できないばかりか、変動の瞬間に過度のオーバーシュートまたはアンダーシュートを発生させてしまうだろう。

 実際に50A出力の他社モジュールでは、負荷電流が1μsの間に0Aから10Aに変動したときに、275mVp-pものオーバーシュートおよびアンダーシュートが観測された(図2左)。

 一方、特性の優れたリニアのμModule「LTM4620」(デュアル13Aまたはシングル26A出力)で評価してみたところ、負荷電流が1μsの間に0Aから25Aまで変動したとしても、オーバーシュートおよびアンダーシュートはわずか150mVp-pであった(図2右)。

 負荷電流が10nsの間に1.2Aから12Aへと変動するような条件で、出力を1.2V±3%に維持するのに必要なコンデンサの数を比較する評価を行ったところ、他社モジュールでは100μFのセラミックコンデンサが100個必要なのに比べて「LTM4601A」(シングル12A出力)なら47個で済むことがわかった(図3)。コスト面でもスペース面でもμModuleのほうが明らかに有利なことがわかるだろう。

図2. 課題2:高速負荷変動応答に優れるリニアのμModule「LTM4620」
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図3. 課題2:μModuleならパスコンの実装スペースとコストも削減
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課題3:要求電圧精度への対応

 「課題3」は要求電圧精度への対応である。「課題1」で触れたように低電圧化が進む一方で、求められる電圧精度は±3%か、ときには最も厳しい場合で±1%にまで厳格化されるケースが出てくるようになった。

 一般にDC/DCコンバータは出力電圧を抵抗分圧回路で分圧したのちコントローラにフィードバックして所望の電圧を得るが、分圧に使う抵抗器自体がそもそも誤差を持っているため、仮に1%抵抗を使ったとしてもその時点で出力電圧精度のマージンはゼロになってしまう。

 リニアテクノロジーが提案するのがPSM(パワーシステムマネージメント)ICだ(図4および関連記事)。電源電圧を16ビットの内蔵A/Dコンバータで監視したのち、内蔵12ビットD/Aコンバータを介して最高±0.25%(「LTM2987」)の精度で外部のDC/DCコンバータを制御する。

 出力電圧やさまざまな設定値は、PMBus(I2Cバス)を介して外部マイコンから設定できるようになっているため、動作モードによって電圧を変えるダイナミック電圧調整(DVFS)、過電流や過電圧などのシステムモニタリングとフォルトログ、複数電源レールのシーケンス制御あるいはトラッキング制御、マージニングによるシステムテストなども実現できる。

 なお、開発およびデバッグ用に、Microsoft Windows上で動作する「LTPowerPlay」というPSM専用の開発環境が提供される。

 (リニアのパワーシステムマネージメントについては、バックナンバーの「パワー・システム・マネージメントの採用が加速、製品の付加価値や設計効率の向上で競争力強化を狙う」(http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/ac0b/139042/)も合わせてご参照ください。)

図4. リニアのパワーシステムマネージメント(PSM)ICで実現できる電源管理の諸機能
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課題4:多電源化への対応

 最後の「課題4」は多電源化への対応である。最近のASICやFPGAはコアやそれぞれのI/Oごとに個別の電源系統(電源レール)が割り当てられており、FPGAの品種によっては1.0Vから3.3Vまで7系統もの電源レールを必要とする(図5上)。

 そのため、POL電源のソリューションサイズが基板の実装領域を圧迫するようになっており、ASICやFPGAが複数搭載されていればなおさらである。

 先ほどからの繰り返しになるが、電源の小型化に効果的なのがリニアのμModuleだ。たとえば「LTM4644」は4A出力を4チャネル備えており、マルチレールのPOL電源を効率的かつコンパクトに構成できる(図5)。

 「ここで説明した課題はさまざまな機器や装置にも当てはまりますが、トラフィックの増大に直面している通信装置がとくに顕著です」と岩崎氏。「当社のμModuleは、負荷変動応答などさまざまな特性に優れるとともに、省スペース化が可能であり、また外付け部品もわずかで済むため信頼性も高まります。そういった点が評価されて、通信分野からの引き合いが増えています」。

 リニアではここで紹介した以外にもさまざまなスペックのμModuleを用意している。また、市場ニーズが高ければ新たなμModuleの開発も積極的に進めていく意向だ。インターネットや携帯電話網を支える通信装置の電源設計の課題に、同社のソリューションが最適な答えを出してくれるだろう。

図5. 多電源化が進むFPGAデバイスに適した多チャネルのμModule(面積の比率はほぼ正確です)
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