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日経テクノロジーonline SPECIAL

5G時代の高性能RF製品

5G時代に向けて高性能RF製品を拡充
最高14GHzのミキサーを新たにリリース

移動体通信技術の進化などを背景に、RF(高周波)を扱うシステムや装置にはさらに高い性能が求められるようになっている中、アナログ半導体で業界をリードするリニアテクノロジーはMHzオーダーからGHzオーダーに対応した高性能なRFソリューションを展開中だ。同社の取り組みと、最高14GHzの高性能ミキサー(混合器)を中心に紹介する。

岡村 武夫 氏
リニアテクノロジー株式会社
フィールドアプリケーションエンジニア
マネージャ

 LTE(3.9G)やLTE-Advanced(4G)をはじめとする高速通信の普及に伴って、ギガヘルツ(GHz)オーダーの信号を扱う機会が増えてきた。さらに、現在規格化と技術開発が進められている5Gでは、最終決定ではないものの2015年11月に開催された国際電気通信連合(ITU)の世界無線通信会議(WRC-15)において24.25GHz~86.0GHzが周波数帯の候補として指定されるなど、将来の基地局設備や関連測定器では、数十GHzの高い周波数を扱わなければならないことが確実となっている。

 また、クルマで普及が進むADAS(先進運転支援システム)では、76GHz/79GHz帯を使ったミリ波レーダーや、レーザースキャナとも呼ばれるLiDAR(Light Detection and Ranging)が使われ始めており、通信と同様に、開発やテストにおいて高周波信号の信号チェーンを精度高く構成しなければならなくなっている。

3G初期の時代から基地局などに適したソリューションを提供

 アナログ半導体で業界をリードするリニアテクノロジーは、いわゆる「RF」分野に向けて高性能なソリューションを以前から提供してきた。「2004年から、国内の基地局設備などに採用されてきた実績を誇ります」と、リニアテクノロジーでRF製品を扱う岡村武夫氏は述べる。

 岡村氏によると、同社は、スーパーヘテロダイン回路におけるミキサー(混合器)、検波器、変調器、復調器など、主にIF(中間周波数)から後段を得意としているという。

 「お客様からいただく声をまとめると、当社のRF製品が選ばれる理由としては大きく次の3点が挙げられます。ひとつが優れた性能です。データシートには実回路での特性データを載せていますので、お客様の実機でもデータシート通りの性能が得られる点は高く評価していただいています」(岡村氏)。「もうひとつが、一般には外付けで構成しなければならないRF信号のインピーダンス整合回路を内蔵するなど、よりコンパクトに、かつ、より手軽に設計できる点です」。

 そして3点目としては、同社の方針である「原則として、製品の製造中止をしない」が挙げられるという。これは同社が掲げる「仕様書には書かれていない5つの顧客価値」の一項目で、RF製品にも適用される。「通信インフラは長期に使われるのが当たり前であり、システムや装置を構成する部品には長期供給が求められます。当社はお客様のニーズがある限り製造中止をしないことを掲げていて、実際にCDMAの初期世代のRFデバイスも供給を続けていますし、業界でありがちなM&Aに伴う供給不安もありません」と岡村氏は説明する。

リニアテクノロジーが掲げる「仕様書には書かれていない5つの顧客価値」
  • 原則として、製品の製造中止をしない。
  • すべての生産工程に、冗長性を持たせることによりBCPを確立。
  • 製品毎のウエハ在庫(ダイバンク方式)により短納期・安定供給を実現。
  • 長期信頼性試験に加え、製造ロット毎の短期信頼性試験により高品質を確保。
  • アナログ技術の回路設計や、レイアウト設計を無償サポート。

最高14GHzの高性能ミキサーを新たにラインアップ

図1. 2GHz~14GHzに対応したミキサー「LTC5549」
(中央上は評価ボード「DC2310A」)

 RF分野の高度化するニーズに応えて、同社が2015年8月に発売したミキサーが「LTC5549」である(図1、図2)。RF信号の周波数範囲としては同社で最高となる2GHz~14GHzを達成した。IF信号の周波数範囲は500MHz~6GHzである。ダウンコンバージョンとアップコンバージョンの両方に対応する。

 ミキサーの重要な特性項目であるIIP3(3次入力インターセプトポイント)は、RF信号の周波数が5.8GHzのとき+28.2dBm、9GHzのとき+24.4dBm、12GHzにおいても+22.8dBmという業界トップクラスの高い性能を実現。つまり入力の電力レベルが高いときでも、相互変調歪みを抑えながらIF信号に変換できることを意味する。また、アンプのリニアリティを示す入力P1dBは+14.3dBmを実現している。

図2. LO信号に対する周波数ダブラーやバッファ(AMP)、インピーダンス整合回路などを内蔵した「LTC5549」の内部ブロック図

 ミキサーに与えるLO信号(Local Oscillator、局発)入力にはバッファを内蔵し、0dBm以上で駆動できるようにした。一般的なミキサーは10dBm程度のレベルが必要なため、周波数シンセサイザ等で生成した局発信号を外付けアンプで増幅してから与えなければならないが、LTC5549であればシンセサイザを直接接続できる。また、周波数逓倍回路(ダブラー)を内蔵しているため、500MHzから6Hzの局発信号を内部で1GHzから12GHzに逓倍することも可能だ(ダブラー機能はバイパス可能)。

 さらに、回路の小型化を狙って、RF信号入力ピンおよびLO信号入力ピンには50Ωのインピーダンス整合回路を内蔵した。「2mm×3mmの小型パッケージと相まって、コンパクトに回路を構成することができるのが特徴で、お客様にLTC5549をご紹介すると、優れた特性に加え、この点も好評です」(岡村氏)。

 リニアテクノロジーでは、LTC5549を、携帯基地局設備のほか、マイクロ波無線通信システム、フェイズドアレイ・アンテナ、各種レーダー、高周波を対象とした計測器、衛星通信用機器などに提案していきたい考えだ。もちろん、冒頭で触れた5G関連設備や5G対応測定器にも適する。

MHzオーダーのRF製品もニーズに合わせて取り揃え

 以上説明したLTC5549は最高14GHzを対象にしたRFデバイスだが、リニアテクノロジーではMHzオーダーの周波数帯に対するソリューションも取り揃えている。「リニアテクノロジーでは周波数帯を限定せずに製品を拡充していくという方針を掲げています。とくに低めの周波数帯は、ワイヤレスマイクなどの市場ニーズがあるにもかかわらず、新規に手掛ける半導体ベンダーが少なくなってきています」と岡村氏は取り組みを説明する。

図3. 30MHz~1300MHz帯に対応したダイレクト直交変調器「LTC5599」

 そうした製品のひとつが「LTC5599」である(図3)。30MHzから1300MHzを周波数範囲とするダイレクト直交変調器で、デジタルワイヤレスマイクやソフトウェア無線(SDR)への応用を想定する。消費電流が28mAと少なく、バッテリーで動作する通信機器を構成することもできる。

 「LTC5584」は30MHzから1.4GHzの周波数に対応したIQ復調器である。450MHzで+31dBmというIIP3特性を誇る。オフセットのゼロ調整も可能だ。

 「LTC5551」は300MHzから3.5GHzを帯域とするミキサーで、IIP3を業界トップクラスとなる+36dBmまで高めたのが特長だ。「地デジの放送局が近くにある状態でも影響なく通話を可能にするようなイメージのデバイスです」(岡村氏)。

 いずれのソリューションも、「原則として、製品の製造中止をしない」という同社の方針が適用されるため、長期供給の点でも安心して使えるだろう。

 ちなみにRF回路は周波数が高くなればなるほど設計の難易度も上がり、設計やテストには一層の専門性が求められる。波形測定も、一般的なオシロスコープではなく、ネットワークアナライザやスペクトラムアナライザを使いこなさなければならない。岡村氏によると、そうした課題に対してリニアテクノロジーでは、アプリケーションに必要な周辺回路などを含めて、RF回路設計の技術サポートも提供しているという。「技術サポートはアナログ技術を得意とする当社ならではの強みであり、お客様から高いご評価と信頼を頂戴しています」と岡村氏は述べる。

 リニアテクノロジーが提供しているこれらのソリューションや価値は、RFを扱うシステムや装置の開発者にとって、頼もしい味方になってくれるだろう。

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