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低EMI・低ノイズのレギュレータIC を幅広くラインアップ クリーンな電源供給が車載システムの性能を引き出す

アナログ・デバイセズが挑むクルマの未来 第3回

低EMI・低ノイズのレギュレータICを幅広くラインアップ
クリーンな電源供給が
車載システムの性能を引き出す
Silent Switcher®アーキテクチャのバリエーションが拡大

車載エレクトロニクス分野では、ノイズのないクリーンな電源の確保が新たな課題として浮上している。ラジオやレーダーへの干渉を防いだり、高精度なアナログフロントエンドを組むには、EMIノイズやリップルノイズを徹底的に抑えた電源供給が不可欠だからだ。アナログ・デバイセズは優れた特性の電源ICの提供を通じて、車載エレクトロニクスの難題解決に挑む。

亀元 政秀 氏
アナログ・デバイセズ 株式会社 オートモーティブセールス 中部・西日本地区 ディレクター
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 クルマの進化とともに、クルマのエレクトロニクスにまつわる課題も大きく変化してきた。その中で近年、新たな課題として指摘されるのが「ノイズのないクリーンな電源の確保」である。

 「ADASや自動運転機能、LEDライティング、デジタルコックピットなど、あらゆる分野のお客様からお話を伺うなかで、クリーンな電源に対するニーズが分野を問わず共通して挙がるようになってきたと感じます」と、アナログ・デバイセズでオートモーティブ製品を担当する亀元政秀氏は説明する。

 背景には2つの理由が考えられる。1つがADASや自動運転機能の進化を図るために、センシング精度の向上が求められていることだ。電源系がクリーンでないとセンサーが出力する微弱なアナログ信号にノイズが重畳し、認識精度に影響が及ぶ恐れが生じる。

 もう1つがデジタルコックピットの登場やメータークラスタなどの進化に伴い、これらに距離の近いAMラジオやFMラジオに受信障害(雑音障害)が起こりやすくなっているためだ。

 「EMIノイズ対策は後段になるほどコストも時間もかかります。発生源を抑えるのが確実で、アナログ・デバイセズではノイズの少ないクリーンな電源を供給するソリューションの提供に努めています」と亀元氏は説明する。

ECU電源に最適なSilent Switcher

 アナログ・デバイセズが提供するのが、EMIノイズを極限まで抑えたスイッチング・レギュレータと、リップル成分を低減したリニア・レギュレータである。前者はバッテリの12V出力を5Vや3.3Vなどに降圧する役割のほか、SoC(マイコン)やFPGAに低電圧・大電流を供給するPOL(ポイントオブロード)電源の役割を担う。後者は、微小信号のアナログフロントエンドなどに適する。

 まず、スイッチング・レギュレータに関しては「Silent Switcher」(サイレント・スイッチャ)を提案する。スイッチング・レギュレータは電力変換効率には優れる一方で、名前のとおりスイッチング動作によって内部電流に周期的な変化が発生し、これがEMIノイズの発生源になることが知られている。

 Silent Switcherは、パッケージの左右に電流ループを対称に形成するようにピン配置や内部構造を工夫して、ノイズの原因となる磁界を閉じ込めた点が特徴で、特許取得済みのテクノロジーだ。

 同社の従来品に比べてEMIノイズが20dBから25dBも小さく、クルマで重要となる「CISPR 25 Class 5」(国際無線障害特別委員会が定める自動車向けのEMC規格の1つ)も十分な余裕を持ってクリアする。

 Silent Switcherアーキテクチャを採用したスイッチング・レギュレータICは、ビジョンセンサーやサラウンドビューなど、すでにさまざまなECUの電源として実車に搭載されている。

大電流品やLEDドライバにも展開

 Silent Switcherアーキテクチャは、2013年10月に発表された「LT8614」を皮切りに、さまざまな製品に展開されてきた。代表的な最新製品で技術トレンドを紹介しよう。

 「LT8650S」:12Vバッテリから5V等の電圧に変換する一次電源用途。連続4A出力x2チャネル構成のモノリシック降圧型スイッチング・レギュレータで、入力バイパスコンデンサ・チップをパッケージに封止して電流ループを極小化した「Silent Switcher 2」アーキテクチャで作られている。各出力を束ねて8Aを一つの出力として構成することも可能だ。スイッチング周波数が最高3MHzと高いため、AM周波数帯(国内は531kHz~1602kHz)を避けた動作が可能だ(図)。シングルチャネルの「LT8640S」なども取り揃える。

 「LTM8003」:12Vバッテリから5V等の電圧に変換する一次電源用途。パワーMOSFETや出力インダクタをシングルパッケージに封止したμModule(マイクロ・モジュール)型のSilent Switcherである。電源回路や基板パターン設計の省力化が図れるのが特徴だ。使用温度範囲や故障の影響解析に適したピン配置等、車載グレードに対応する(図)。

図.(左)スイッチングのホットループを対称に構成して閉じた磁界を形成し、EMIノイズの発生を抑える、Silent Switcherアーキテクチャ(特許取得済み)(右)多様なSilent Switcherのラインアップ
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 「LTC7150S」:SoCやFPGAなど、低電圧かつ大電流を必要とするデバイス向けの2次電源用途Silent Switcherである。5Vから1.2VのSoCコア電圧生成において、最大20A出力時という高出力時でも約88%という高効率を達成している。

 「LT8391A」:SilentSwitcherアーキテクチャに対応する60V耐圧、昇降圧型の定電流LEDドライバコントローラである。スイッチング周波数は最高2MHzまで対応。「ソリューションサイズ、ソリューションコスト、低ノイズ特性の点で現時点において最高のLEDドライバ」(亀元氏)の1つともいうべき優れたスペックを備える。

70dBを超えるPSSRを実現

 スイッチング・レギュレータは、出力段にインダクタやコンデンサを設けて平滑化を行っても、原理上リップル成分をゼロにはできない。リップルノイズのないクリーンな電源を得るにはリニア・レギュレータが適切で、アナログ・デバイセズではさまざまな品種をラインアップしている。

 「LT3045」:リニア・レギュレータの中でも特にノイズ特性に優れたタイプで500mA出力対応の新製品。10Hz~100kHzのRMSノイズは0.8uVrms、入力電源に対するPSRR(電源電圧変動除去比)は、1MHz成分に対して76dB、100Hz成分に至っては116dBという極めて高いノイズ除去性能を示す。出力電流変動の過渡応答も鋭いため、スイッチング・レギュレータの後段に置くポスト・レギュレータとして、精度を必要とするアナログフロントエンド、レーダーやビジョンセンサーなどの電源に最適だ。ADIとの統合でさらなる価値を提供

 Silent Switcherアーキテクチャを開発した旧リニアテクノロジーは、2017年3月をもってアナログ・デバイセズに統合された。「車載顧客のニーズや課題及び仕様を汎用品に反映して提案してきた旧リニアテクノロジーと、アプリケーションの切り口でシステム提案として、複合的ソリューションや車載向け汎用品を展開してきた旧アナログ・デバイセズは、製品ポートフォリオとビジネスモデルがそれぞれ補完関係にあり、両者の統合によりお客様に提供できる価値のポテンシャルが一層高まったと考えています」と亀元氏は述べる。

 特に、Silent Switcherを筆頭とする旧リニアテクノロジーの電源ICがポートフォリオに加わったことによって、ひずみやノイズが少なく、より精度の高いアナログ回路の実現が図れるようになるメリットは大きい。アナログ・デバイセズはこれからも、クルマのエレクトロニクスの課題を解決する優れたアナログ半導体とシステムソリューションの提供に努めていく。

お問い合わせ
  • アナログ・デバイセズ株式会社
    アナログ・デバイセズ株式会社

    〒105-6891
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    URL:http://www.analog.com/jp/