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日経テクノロジーonline SPECIAL

AC直接駆動型および高VF型のLEDをラインアップ、駆動回路の簡素化を背景に採用事例が増加

LED素子の売上高で世界第5位を誇り、なおも成長著しい韓国Seoul Semiconductorを代表する製品のひとつが、独自技術による「Acrich(アクリチ)」シリーズだ。AC電源とDC電源のいずれにも対応しており、AC電源で直接駆動する場合は交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバータを必要としないため、駆動回路の簡素化が図れるなどのメリットをもたらしてくれる。「Acrich」から進化した第二世代の「Acrich2」シリーズと、高VFを特徴とする「Acrich MJT」シリーズを紹介する。

 LED照明がいよいよ普及フェーズに入ってきた。家電量販店の照明売り場にはLED電球やシーリングライトが数多く並ぶようになったほか、コンビニエンスストアなど商業施設の照明や街路灯にも積極的に採用され始めている。

 今後長期にわたって市場の成長が見込めるLED照明だが、メーカー間の競争は激しさを増す一方だ。そのため、LEDとLED駆動回路を低コストかつコンパクトに構成しつつ、いかに製品の差別化を図っていくかが、管球メーカーおよび照明メーカーにとっての課題のひとつになっている。

 韓国(ソウル)に本社を置く1992年創業のSeoul Semiconductorは、そうした照明メーカーや管球メーカーのニーズに応えるユニークなLEDソリューションを展開する、LED専門の半導体ベンダーである。ワールドワイドのLED市場で第5位(同社調べ)の売上高を誇る同社のデバイスは、照明や液晶ディスプレイのバックライトとしてさまざまな最終製品に組み込まれている。2005年には日本法人としてジャパンソウル半導体を設立し、国内メーカーに対するサポート体制も充実させた。

 同社を代表するソリューションのひとつが「Acrich」(アクリチ)である。名前に「AC」が含まれていることから判るように、商用電源(AC)による直接駆動を世界で初めて(同社調べ)実用化したLEDだ。一般にLEDを駆動するためにはACをDCに変換するAC/DCコンバータが必要だが、「Acrich」はそうした回路を必要としない。「Acrichは世界一シンプルなLED照明を作ろうというコンセプトで開発されました」と、ジャパンソウル半導体のFAEを務めるマネージャの岩井昌彦氏は説明する。

 「Acrich」は現在、第二世代に進化している。一方では制御用ICを搭載し、簡素化した回路でAC電源から直接駆動するLED照明モジュールの「Acrich2」(アクリチ・ツー)シリーズとして、もう一方ではその第二世代LEDをパッケージ単位で提供する「MJT」シリーズとしてだ。それぞれの特徴を紹介しよう。

AC直接駆動可能で力率を高めた「Acrich2」

 まず「Acrich2」について取り上げよう。先ほど説明した当初の「Acrich」は、AC直接駆動が可能ではあるものの、原理的にAC電圧がLEDの順方向電圧(VF)を超えたときにしか発光しない。よって、電流波形も導通角の小さい尖ったものになるため、力率が一定以上に高くならないなどの課題があった。そのため、AC電圧がVF以下ではLEDが点灯せず、商用電圧を与えたときの非点灯時間が長かった。

 そこで同社が新たに開発したのが「Acrich2」である。AC電圧に応じてLEDストリングを段階的に点灯させる専用のIC「Acrich IC」と、高VFを特徴とするマルチ・ジャンクション・テクノロジーLEDとを組み合わせたモジュールとして提供される(図1)。

 このうち「Acrich IC」は、AC電圧をモニタして、電圧が低いときはたとえば2個のLEDを点灯させ、電圧が中庸になったときはたとえば4個のLEDを点灯させ、さらに電圧が上昇すると5個、そして各ストリングに直列に接続されたすべてのLEDのVFの総和を上回ると、たとえば6個すべてのLEDを点灯させる、といった制御を毎サイクル(50Hz系統なら100Hz相当で)行ってオン/オフタイムの効率向上を実現する専用ICだ。

Acrich ICによる電圧電流特性
AC電圧と段階点灯による電流波形の図

 段階的な点灯によって、あたかもアクティブPFCで制御したような電流波形に近くなるため力率は向上し、また、非点灯時間も短くなって85%以上の点灯期間が確保されるという。

 しかも「Acrich2」はAC/DCコンバータを必要としないため、通常のLEDで構成するよりも部品点数が圧倒的に少なくて済む。「設計の手軽さや、コストやソリューションサイズにおいて優れている点が評価され、海外では、電球、ダウンライト、街路灯などでAcrich2がシェアを伸ばしています」(岩井氏)。

 現在、100V系、120V系、220V系の各入力電圧に対応した、4W、8W、12W、および16Wのモジュールが用意される。もちろん、電球色、昼白色、昼光色に相当する色温度のバリエーションもラインアップされる。屋外灯(街路灯)やコンパクト照明器具などに最適なソリューションといえるだろう。

図1. AC/DCコンバータを必要とせず商用電源で直接駆動できる「Acrich2」シリーズ。モジュールの中央に見えるICが「Acrich IC」

高VFを特徴とし簡易電源で駆動可能な「MJT」LED

 LED照明をシンプルに構成できる「Acrich2」だが、アプリケーションによってはそのままでは国内マーケットに適さない場合があるという。「電気用品安全法(PSE)にフリッカー規制が2012年7月に追加された結果、非点灯期間が存在するLED電球やシーリングライトは、1W以下などの一部製品を除いて、日本では販売ができなくなってしまいました」と岩井氏は状況を説明する。「Acrich2」は、AC直接駆動の場合、前述のように15%程度の非点灯期間があるため、この規制の対象になるのだという。

 この課題に対処するためにSeoul Semiconductorが開発したのが「MJT」シリーズLEDだ。「MJT」とはマルチ・ジャンクション・テクノロジーの略で、複数のPN接合(LED)を前工程でモノリシックに直列および並列接続して、LEDストリングをワンチップに集積化した同社独自の製造技術である(図2)。複数のLEDが直列に形成されているため、LEDチップあたりのVFが高いのが特徴だ。

 岩井氏は「もともとAcrichは商用電源で直接駆動することを狙って開発したLED製品ですが、その技術を応用して、比較的電圧の高いDCもしくはACで駆動できるLEDとして開発したのがMJTシリーズです」とコンセプトを説明する。

 高VFにより次のようなメリットが得られるという。「VFが高いため基本的に降圧ステージが不要であり、簡易的な整流回路だけで駆動回路を構成できるため、コストダウンや省スペース化につながります。なお、平滑用に小容量コンデンサを追加すればフリッカー規制の問題もクリアできます。また、Acrich2でも、その特性を生かした非常にシンプルなフリッカ対策のソリューションもあります」(岩井氏)。

 「MJT」シリーズは回路の省スペース性が評価され、小型のLED豆電球(常夜灯)や街路灯をはじめとして国内での採用事例も増えているという。パッケージとしては3528、4040、5630、および6540が用意される。VFは13Vから64Vだ。ミニクリプトン型電球やダウンライト用電球など、コンパクトなパッケージングが求められるLED電球などに最適といえるだろう。

 なおジャパンソウル半導体ではQAエンジニアやアプリケーションエンジニアを配して日本の顧客をサポートするほか、日本国内に簡易的な電気的、光学的特性測定機器を置いて品質の一次対応ができる体制も敷いている。

 「LED照明では電源回路部分が器具や管球の信頼性を決めるとも言われています。Acrich2およびMJTは、従来のようなAC/DCコンバータを必要としないため、回路コストを抑えられ、実装がコンパクトになり、なおかつ信頼性を高められるというメリットがあります」と岩井氏は訴求する。競争力の高いLED照明の実現に、同社のAcrich2およびMJTは最適なソリューションといえるだろう。

図2. 複数のPN接合(LED素子)を前工程でモノリシックに直列および並列接続する独自のマルチ・ジャンクション・テクノロジーと、高VFを特徴とする「MJT」シリーズ

 Acrichについての詳細情報およびお問い合わせについては、ソウル半導体のウェブサイトをご覧ください。Acrich専用の技術サポート、営業サポートホットラインを開設して、皆様からのお問い合わせに対応いたします。

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    ジャパンソウル半導体

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