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日経テクノロジーonline SPECIAL

第6回 照明用LEDの選び方(3)~選択のキーポイント~

LEDの性能を語る上で指標になるのはlm/W (1W当りの明るさ)とYen/lm (一定の明るさを出すためのコスト)であることが多い。すなわち、明るさ、消費電力、コストが基準になる。しかし、LEDを選定する際には、先に述べた熱対応能力や、その他の仕様にも十分注意を払う必要がある。本稿では、照明器具のタイプ別に、LEDを選択するときに重要となるポイントを解説する。

 「LEDは電気を直接光に変換するため、光源自体の発熱量はほとんどありません」。

 このような宣伝文句とともにLED照明の販売をしている業者は意外にも多い。また、消費者もそのように理解している人が多い。しかし、LED電球などでは、光源のサイズを小さくして、大電流を投入することによって、LEDのジャンクション温度(Tj)のMax値ギリギリのところで点灯させることが多い。熱を出させるぐらいの条件で使わないと性能的には要求される明るさが出ない。それが出せないようなLEDでは勝負にならない。結局、照明メーカーは熱対策に大変な苦労をしており、LEDメーカーは、Tjを上げられるようチップの改善が求められており、熱消光の起きにくい蛍光体や樹脂の改善が求められている。

LEDのランクとは

 まず電球を例にとって考えてみる。最終製品の色温度(電球色か昼白色か、など)が発光源(すなわちLED)によって決まるため、まず色ランクを確認しなければならない。ただし、そのランクの幅をどのように設定して調達するかが重要だ。1つの電球の中に、ミッドパワーパッケージを複数個使う場合、その中に入るLEDの色を揃えさえすれば、マルチビニングという方法も可能だ。

 COB(Chip on Board)で作る場合では、複数個のチップがパッケージ内に実装された上で、その中に蛍光体が流し込まれている状態であることから、電球1個の中での色の差というものが起こらない。つまり、光源としての色の均一性が電球内では保たれる。ただし、1つの電球と別の電球とを比較する場合は色ランクを揃えなければ電球間で色の差が出てくる。VFランクに関して言うと、直列に接続するLEDの個数が特に多いわけではないため、電源もそれほど大きなものが必要ではなく、逆にある程度妥協できる確認事項になる。

順電圧(VF)

 VFと言うのは日本語で言う順電圧だ。ミッドパワーの5630パッケージのLEDの場合、定格の65mAや100mAでは、順電圧の値は2.7Vぐらいから3.3Vの間に分布することになり、標準値の±10%程度はばらつく。しかし、実際には正規分布でもピークがかなり尖った形の分布になっており、2.9Vがピークだとしたら、ほとんどがその近傍に集中する。例えば2.8V以下を切ってしまうと何%か捨ててしまうことになるため、ピークから乖離したVFのものでも製品として生かす。その代わりにランクを0.5V刻みなどの分け方をして、ユーザーが電源の設定をしやすくする目安を与えるようにしてある。

色温度

 色温度と言うのは、「色の光を、黒体(外部からの光を完全に吸収する仮想の物体)の温度で表した数字。単位はK (ケルビン)を用いる」(日経テクノロジーオンライン LED用語辞典)。昼間の太陽光に近い白色は色温度が高く、白熱電球に近い赤みがかった白色は色温度が低い。一般的にはANSI規格と呼ばれる米国規格協会が定めた規格が使われる。データシートやカタログに必ず記載されている色度座標(CxとCy)に幅を持たせてエリア分けしてある。この区分は、人間の目には色ずれと認識できない程度に、かつLEDを使用する上で経済性を考慮して設定されているが、実際には、このANSI規格をさらに分割して、ランクを細かく設定するのが一般的である。

図1. ANSI色座標

MacAdam楕円(マクアダム楕円)

 色温度というのは、一般的に黒体軌跡のラインに沿って、ANSIが決めたランク分けに準じて分けられる。そのランク分けの中でも人間には色の差を感じないと言われる範囲があって、その範囲を楕円形で表して3ステップ、4ステップという楕円の大きさで表している。特に3ステップ以内にランクを絞れば色の揃ったものができると言われている。

図2. MacAdam 3-STEPによるランク分け

 では、色座標の中で3ステップというのは、どれくらいの大きさの楕円になるのだろうか。グラフの真ん中の4マスの内側に内接する楕円が3ステップと呼ばれており、この4つのマスを全部含む(外接する)ような楕円が4ステップと呼ばれている。楕円形ということで、3ステップだと4マス内のすべての座標が楕円内に収まるわけではなく、4ステップだと4マスのすべての座標は楕円内に収まるが、4マス以外の座標も楕円内に入ってくる。3ステップの場合、たとえば、図3のF22、F32、F23、F33というマス(ビン)の隅のほうは3ステップ(赤い楕円形)の外になる。4ステップ(青い楕円形)だと、真ん中の4ビンは必ず楕円内に入る、しかし、楕円の端は、入っているけれども、今のランク分けのやり方からすると、この4ビンの外側は切り捨てている。3ステップにすると、赤い線のような楕円になるため、このランク分けでは、4ビンのうち、端の部分ははみ出してしまう。緑色のマスのような別の枠を作って、3ステップの1ビン指定とすると、当然歩留まりが落ちてしまう。色は狭い範囲に収まり均一な色が揃うが、それだけコスト高になるということだ。

図3. 3500Kを中心としたランク分けの例

マルチビニング

 3ステップ対応と、真ん中の1ビンのことをなぜ説明しているかというと、この緑線の範囲が3ステップ内であるので、黄色のポイントのAとBを組み合わせると、合わせた色は、緑のビンの中心に来る。また同様にCとDの組み合わせでも、真ん中のビンに集めることができる。4ステップ(青い楕円)対応までであれば、ANSIビンを使ってランク分けしていても、楕円内に収めることができる。真ん中4ランク(マス)だけ指定という形にすれば。4ステップ範囲内であるため、3ステップ内のビン分けをして納入するとなると、ランク分けの切るポイント(座標の設定)を変えないと、黒体軌跡輻射に乗った中心線がそこにある楕円にならない。その場合は、新しいランク分け基準を設けて、切りなおしをしなければならない。その代わりに混ぜて使うという方式を採ることができれば、対角上にある色を組み合わせれば、混ぜ合わせた色というのは真ん中に来ることになり、当然3ステップ内に入るので都合が良い。このような組み合わせによってランク分けしたLEDを、共に同量混ぜると、完成品では混ぜ合わせた色がすべて楕円の範囲内に収まる、というのが3ステップ対応と呼ばれるものだ。

 白色LEDを注文する際に、色温度はどうするかと聞かれると、たとえば昼白色とか電球色とか、ざっくりと言うことが多いが、それだけではなく、もう一歩踏み込んで色の範囲を指定したほうが良いということになるのか。例えば、2700Kの電球を作りたい時、基本的には2900Kから2600KのHというランク帯、この16分割してあるすべてを購入すれば、2900Kから2600Kの色温度のものができる。

 だが、一部青っぽく、また黄色っぽいような色のものができあがる可能性がある。同じように座標の上に寄った色座標のLEDでは緑っぽい色になるし、下に寄ったものではピンクっぽい色にもなる。本来であれば、黒体軌跡の2700Kのど真ん中の4つのビンだけで構成されていれば、MacAdam 4ステップに入ったものができるので、そういう指定をしたい、という注文の仕方もあるだろう。それでも4ステップであるため、3ステップよりも色のばらつきを感じる人がいるかもしれない。

 全部のランクを買ってもらうときに、3ステップ内に収めようとすると、混ぜて使えるなら、楕円の外側でも、対角線の中点が楕円内に収まるような組み合わせであれば、最終製品で混ざり合った色が結果的に3ステップの楕円の中に入った均一の色をしたものものが作れることになる。

 出荷する際には、出荷ラベル、リール、防湿パックなどに入ってるラベルにランク名が記載されている。仮にF41の最も端の色座標を持つ製品とF14の最も楕円に近い色座標を持つ製品が納入されて、それを混ぜ合わせて使うことになっても、完成品としてはしっかり3ステップの範囲内に収った色の均一性を確保することができる。

 ただし、必ずF41に対してF14が同じ量だけ必ず納入されるかは保証がなく、それはKITTING (キッティング)というシステムを使って納入するという取り決めをする必要がある。確実に色合わせをしたいのであれば、4ランク指定とか、使える色の差を見て、真ん中8分割を選ぶ、などの選択をして、ランクを絞れば良い。ただし、その分価格は上昇する。価格を抑えながら完成品の色を揃えたいのであれば、16分割全部を買い取り、在庫の中から組み合わせという作業をすることによって安く作ることができる。

ビンとランク

 LED特有の言葉であるビンとランクの意味の違いがわかりにくい。ビンというのは、ガラスビンとかボックスと言う小分けにする区切りの意味である。F41とかF14と言う1マスはビンである。ソーター(ランク分けする機械)の最終的に製品を振り分けて入れる容器が筒状の容器を使っているのでビンと呼ばれるが、ランクとビンはある意味一緒と考えて良い。ランク分けをした先がビンとなる。

 ランクを分けるための分ける機構がビンであり、なぜ3ステップピンと呼ばれないかと言うと、ランクとして「分ける」分け方として3ステップという言葉を使っているからだ。ビンと言うときは、分けた結果としてこんなふうに分けて供給します、そうすれば、黒体輻射の軌跡に沿った色として分かれたものができますよ、という意味合いになる。「ランク」というのは分けるやり方、分けた結果が「ビン」と呼ばれる。ソーターで分けるときに、ビンを隔てる壁がランクになる。

VFランクとIV (明るさ)ランク

 3500ケルビンの色ランクが16分割されているが、ほぼ同じ色であっても、VFによってそのランクが4通りに分けなければならないし、さらにそこに明るさを何ランクかに分けてあるので、実際にはランク数はその掛け算になる。

 明るさやVFのランク分けというのは、カタログなどには細かく規定されていないので、仕様書を見る必要がある。つまり、LEDを選定する上では、データシートを見て、細かく注文の内容を検討する必要があるということになる。色に関してはMacAdam 3ステップであったり、黒体輻射に沿って色を分けてあります、という説明はカタログにも通常記載されているが、明るさのステップやVFのステップというのはそれぞれ製品仕様によって異なり、もしカスタマイズで特定のランク分け、範囲、基準を変えたいという場合には、最終的に仕様締結となるため掲載されていない。

 ソウル半導体で5630Dと呼ばれているSTW8Q14Dの場合、明るさのランクがS0、S5、T0、T5という形でランク分けされている。それぞれの明るさが、仕様ではカンデラ(IV)単位で表現されているため、65mAの時はこれぐらいの明るさ、100mAの時はこれぐらいの明るさになる、というふうに記載されている。それぞれの色温度に対してS0、S5、T0、T5、と言うランク分けがされているが、色温度が下がってくると、明るさ、実際のその視感度が入ってくる。

 このため同じチップパワーでやっていても、蛍光体の量も違うし、明るさというのが少しずつ違ってくるので、色温度によって存在し得る輝度ランクというのが違ってくる。したがって、輝度ランクとしては、5630Dの場合、R0からU0まで7つに分かれるが、実際に色温度帯を見てみると全部で3つか4つぐらいしか明るさのランクが存在しない。色温度の低いものほど、下の輝度ランクがあり、色温度が高いほど、上のほうの輝度ランクが出てくるが、4700Kから5300Kあたりが最も効率が良いため、その辺りが、効率が良くIVランクが高い製品が多い。

 結局、青のLEDチップのパワーが光の根源、というか元になっているので、それの範囲内でやっていくと、輝度がばらつくのは、パワーの分散の結果と言える。さらに蛍光体によっていろいろと色が変わる。色温度が変わることで、視感度を考えると、暗く見えますよ、明るく感じますよ、ということと、蛍光体の効率なども当然違うため、こういう色温度のものは明るいものが出ます、こういう色温度のものは、少し暗く感じる数値になっていますよ、ということが、この輝度ランクの表からわかる。

 では、電球の話しに戻って、Mid PowerのLEDを使った場合、1つの電球内で、できるだけ同じような色が揃うように色ランクを揃えることは重要だが、VFはどうだろうか?パッケージの中に入るLEDの個数もそれほど多くない。何百個も使わない。何十個の世界であるので、VFの差0.1Vの差を重ねていっても、最大3V以下で収まる。ところが、例えば直管やシーリングでは、100個、200個の単位になり、誤差がそれだけ加算されるため、VFの差というか幅を狭くしたほうが使いやすくなってくる。電球、直管、シーリングで使うLEDの個数の関係で、電源に要求されるレベルが違うため、LEDに求められるVFのばらつきの幅の許容度も違うということになる。

ランクとコスト

 ランクの外に出たものを使わないとすると、LEDメーカーにとって、その分は捨てるか、別の活用方法で使用されなければならない。このため、それらを作るのに使った材料費や工賃を購入してもらうランクの製品にオンしなければならない。要は買ってもらえるランクを作るために、必ずそれがでてきてしまうもの、というのが歩留まりであるので、それが出ないように工程の管理をすることが理想である。したがって、製造する時に、ばらつきを絞っていくようにすれば、安定的に安く使ってもらえることになるので、LEDメーカーはそのような努力をしているが、3ステップとか4ステップの範囲から出る部分がたくさんできてしまうのが現状だ。

 LEDを混ぜて使うことによって、完成品としては互いに色が揃っているものができればいいというのであれば、LEDのパッケージをたくさん並べるときに色ランクをうまく組み合わせて、先ほど述べた16分割の端と端、端と端、で組み合わせて、真ん中にくるという作り方をすれば、LEDを無駄なく使えて、出来上がる製品も同じ色というのができあがり、メーカーもお客様も互いに持ちつ持たれつの関係ができるだろうというのが16分割化の理由だ。

直管やシーリングの場合

 LEDの使用個数の多い直管やシーリングライトの場合はどこに気をつければよいのか?

 これまで述べた「混ぜる」作業を通して使っていく可能性は非常に高くなる。個数が多い分、混ぜることによって、色差がより大きく生まれる。だが密集して連続配置して使う、また、あまり光を拡散板で散らしてしまうと効率が悪くなるので、透過率を上げていくとLEDの粒が見えて、粒と粒の隣同士の色差が目立つ、という話しになると、これは逆にまたコストを度外視してでも、色を揃えたい、ランクを絞りたい、いう話しになる。このため、そのバランスをうまく設計で考えないといけない。そういう意味で電球よりもさらに色の揃え方や、輝度の揃え方に神経を使って選定しなければならない。

 1個のモジュールに使うLEDの個数は、電球の場合多くても20~30個に対して、直管やシーリングでは最低100個は使う。シーリングなどのように200個以上などとなってくると、VFの差が大きい場合、電源にかかる負荷が大きく変わってしまうため、VFの範囲の指定して、細かく設定して、それに合わせた電源を調整してやらないと危険である。したがってVFのランクにもある程度気を使わなければならない。

街路灯や高天井照明などの場合

 街路灯などでは、まずはパワーが重要で、光源を直視する人はいないし、見ることはできない。したがって、その1個1個の差というよりは、どれだけいかに光の量を増やしてやるかがポイントになるので、色温度とパワー、明るさが重要な検討対象になる。色温度というのは照明器具としてどういう色温度帯にしたいか、色温度が高いのがふつうだが、どれだけ光を出せるかということなので、明るさのランクが重要になる。同じ電力を投入したときに、明るいランクの上のほうのLEDを使って作らないと、最低限の光束、光の量が得られないということにもなるためだ。しかし、明るさのランクのここだけを購入したいと言われても、ランクごとの歩留まりの分布を見ると十分に供給できないということありえるので、メーカーと十分に話し合いを持って、選定する必要がある。

放熱対策

 以上のように、LEDを選択する際には、コスト、効率以外にもランクという重要な検討課題もあることがわかった。冒頭に述べた熱対策は、照明ランプ/器具設計のプロでさえ、頭を悩ませるもうひとつの大きな課題である。発熱を最小限に抑えたLEDの選択をするために知っておくべき点については、次回の記事で説明することとする。

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