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日経テクノロジーonline SPECIAL

【リニア2011】第4回:LTM8048 / LTM8047 DC-DCコンバータ

ノウハウや経験が必要なアナログ回路が簡単に実現できるリニアテクノロジーの「μModule」に新たな品種が加わった。絶縁型フライバックDC-DCコンバータ「LTM8048」と「LTM8047」である。センシング回路など周囲からノイズの影響を受けやすい回路の絶縁用途などに適した製品だ。広い入力電圧範囲を確保するなど設計を容易にする工夫を随所に盛り込むと同時に、心臓部のフライバック・コンバータに独自の制御方式を採用することで大幅な小型化も実現した。

石田浩史氏
リニアテクノロジー
大阪支社 支社長

 リニアテクノロジーのμModuleは、同社が開発した高性能のアナログICと周辺回路を一つの小型パッケージに実装したモジュールである。アナログ回路設計を得意とする同社の技術者が、特長を知り尽くした自社のICを使って最適化した回路を搭載したμModuleは、機器設計者に大きな利点をもたらす。例えば、設計が難しいアナログ回路を一つの部品として扱えるようになるので、設計にまつわる技術者の負荷を格段に軽減することができる。外付け部品が最小限に抑えられるように設計されているうえに、μModule自体も小型化が図られていることから機器の小型化にも役立つ。

 uModuleは市場での評価が非常に高いが絶縁のラインナップがそろっていなかった。今回、市場の要求に答えるべく初の絶縁型uModuleを開発した。それが「LTM8048」および「LTM8047」である(図1)。

図1 入力電圧範囲3.1V~32Vの絶縁型μModule DC/DCコンバータ「LTM8048」

 スイッチング・コントローラ、スイッチング用MOS FET、トランスなど絶縁型DC-DCコンバータを構成する主要なデバイスの全てが、11.25mm(縦)×9.0mm(横)×4.92mm(高さ)と小さいオーバーモールドBGAパッケージに実装されている。外付け部品は、出力コンデンサ、入力コンデンサ、バイパス・コンデンサ、抵抗など、わずかで済む(図2、図3)。2品種のうちLTM8048には、出力リップル電圧を低減させるためのレギュレータ回路も組み込まれている。精密機器など、より低ノイズを要求されるアプリに適している。今回の2品種は、幅広い用途への展開を前提に、絶縁型フライバックDC-DCコンバータ回路だけをモジュール化しました」(同社大阪支社長の石田浩史氏)。

センシング回路などで威力を発揮

図2 LTM8048の標準的応用例
[画像のクリックで拡大表示]

 二つのデバイスの中核回路である絶縁型フライバックDC-DCコンバータは、トランスの相互誘導を利用したコンバータの1種である。入力と出力が電気的に絶縁されているので、雑音対策や感電対策に広く用いられている。「例えば、比較的大電流を扱う回路と、微少なセンサ出力信号を扱うインタフェース回路が電気的に接続されていると、大電流を扱う回路がもたらす接地電位の変動やノイズなどの影響をインタフェース回路がどうしても受けてしまいます。こうした問題の対策に絶縁電源回路は有力です」(石田氏)(図4)。

図3 LTM8047の標準応用例
[画像のクリックで拡大表示]

 ただし、絶縁型フライバックDC-DCコンバータの設計には、比較的高度なアナログ回路設計の技術を要する。「特に電源設計の経験が豊富な技術者でないと、なかなか手が出せない分野です」(石田氏)。このため、社外からモジュールやユニットの形で調達する設計者は少なくない。「ただし、こうした場合に既存のモジュールやユニットでは外形が大きすぎる。動作温度範囲を十分に確保できない。ノイズ対策に手間がかかる。プリント基板に表面実装できる製品が少ない、など様々な問題に直面しているのが現状です」(石田氏)。あらかじめ回路が最適化された絶縁型フライバックDC-DCコンバータ回路が実装されているLTM8048やLTM8047を利用すれば、こうした問題を一気に解消できる。「高感度かつ高精度を要求される検査分析機器のセンシング回路をはじめ、幅広い用途で活用していただけるはずです」(石田氏)。

厳しい環境に適した広い入力電圧範囲

図4 絶縁型コンバータの役割
[画像のクリックで拡大表示]

 LTM8048およびLTM8047の絶縁定格は725VDC。入力は、いずれも3.1V~32Vと広い。出力電圧は2.5V~13Vで、最大出力電流は440mA。外付けの抵抗1本で出力電圧を調整できるように設計されている。出力の入力電圧変動(ライン・レギュレーション)は、わずか1.7%(標準)と小さい。「入力電圧が不安定な場合でも、安定した出力が得られるように設計しました。動作環境が厳しいことから電源が不安定になりがちな産業用システムにも使いやすいと思います」(石田氏)。

独自回路技術を駆使して小型化を実現

 LTM8048とLTM8047の特長で、もう一つ見逃せないのがシステム全体の信頼性向上に貢献することだ。つまり、一般的な絶縁型コンバータの多くでは、2次側の電圧を制御する回路のために外付けのフォトカプラや3次巻き線を備えたトランスを使っている。ところが、フォトカプラは時間とともに性能が劣化するので、メンテナンスが必要になる恐れがある。3次巻き線を備えたトランスは、どうしても大きく、重くなるので、一つのパッケージに内蔵するのが難しくなる。そこで外付けにすると、振動が加わったときの信頼性の点で不利になってしまう。「LTM8048とLTM8047は、フォトカプラが不要。しかも、プリント基板に実装する部品点数を大幅に減らせるので信頼性を確保するうえで有利だと思います。また、購買部門の方であれば、サイズ/容量/巻線比など回路仕様にちょうど適したトランスの購入、手配に手間取ることもあるかと思います。LTM8048、LTM8047ならその心配もありません」(石田氏)。

 こうした特長を実現するカギとなったのが、同社独自の回路技術である。その一つが、トランスの1次側電圧だけで2次側の出力電圧を監視する独自の制御システムである。「1次側で発生したフライバック電圧を、基準電圧と比較することで正確に把握し、これを基に2次側電圧を制御します。この仕組みに必要な高精度の基準電圧源はリニアテクノロジーの得意な技術の一つです」石田氏)。

 LTM8048とLTM8047は、アナログ技術を得意とするリニアテクノロジーならではの工夫が随所に凝らされている。このデバイスを利用することで、機器の性能を一段と高めることができる可能性がある。特に、処理する信号の品質を重視する設計者にとっては、注目すべきデバイスと言えよう。

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