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日経テクノロジーonline SPECIAL

千葉県最多の企業数を誇る白井工業団地

シルド

異形引抜の雄。多様な鋼種での複雑な形状生産を可能に

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約10,000形状を製造してきた実績が、どのように複雑な形状でも製造を可能にする

鉄とステンレスの熱間圧延と冷間引抜のコンビネーションによる異形引抜製品を専門とするシルド。千葉工場は、1966年、白井工業団地に最初に設立された工場だ。原子炉制御棒、発電機、リニアモーションガイドの部材等、精度の高さが求められる様々な分野で、幅広い納入実績を持つ。2013年には日・米・EU等7極によって共同開発が行われている国際熱核融合実験炉(ITER)の主要部品納入を開始している。

異形引抜製品を生産するには、熱間圧延をスタートに、焼鈍、ショットブラスト、酸洗、冷間引抜等を複数回繰り返すため、工程数が多く、人の手が掛かる作業も増えるが、少量多品種対応を基本に作業者の匠の業での「ものづくり」により、難易度の高い複雑な形状で付加価値の高い部品製造を実現している。また、切削に比べて材料歩留まりが良く、4~5mと長尺の異形引抜製品でも高い品質が保持される。

2014年には、経済産業省の「GNT(グローバルニッチトップ)企業100選」に認定。シルドで加工された異形引抜製品は多くの機械に組み込まれて、海外に数多く輸出されている。特に、ステンレスの中でも高硬度なSUS440C相当品を難易度の高い形状に加工する技術は、他に例を見ない。

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ステンレスの平角は短納期対応が可能

ほかにも、ステンレスの平鋼・角鋼は、かつて製造ライン設備の特許を取得した一貫ラインで製造。厳しい品質管理のもと、デザイン性の高い建築金物等にも対応している。

新設備導入も積極的に行い、より良い品を「より早く、より安く、より安全に」つくるための投資を行っている。また、新卒を採用して育て上げる方針を持ち、労働組合は平均年齢が34歳と若い。一方、長く勤める職人も多く、技術の伝承が続いている。

12月2日の見学会では、製品展示やビデオ上映などで、詳細な説明を実施する予定。「製品の心臓部はシルドでないと作れない」との声も高く、付加価値の高い部材を世に送り出している。

吉永機械

建築・土木工事用機械の一品生産で技術力を発揮

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新宿にあるコクーンタワー油圧開閉式ヘリパッド。高い技術力により、本設機械の設置も多い

建築工事用機械であるタワークレーンのクライミング架台、壁つなぎ、吊り治具等のレンタルから、土木工事用の大型ずり出し装置、コンクリート運搬装置等、本設機械の設計製造までを手掛ける吉永機械(本社:東京都墨田区緑4-4-3 吉永ビル)。1967年の創業以来培ってきた技術により、顧客のニーズ、現場の仕様に適合した一品生産で、特に力を発揮している。設計から製作、設置までをワンストップで請け負い、より効率的な工法に適応した機能を持つ機械の開発を進めているのだ。扱う製品は、ダムを造るためのコンクリート運搬テルハ等、大規模なものから、原発向けカメラの搭載装置等、小型のものまで、幅広い。

吉永機械はゼネコンとの長年の取引で蓄積された経験値により、提案力を発揮できるのが強みだ。同一ゼネコンの依頼であれば、一度使用した建築装置を刷新しながら、現場ごとの仕様に合わせて改良しているので、設計期間を短縮できることが多い。2004年には一般社団法人ダム工学会から技術開発賞を授与されている。

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首都高品川線の工事に使われた20T特殊橋型クレーン(天井走行式)

また、特定機械に対し法令で定められているクレーンの製造許可を受けているので、安全性の高いクレーンのオーダーメイドも可能だ。特にインフラ関係でも吉永機械のクレーンは活躍しており、最近だと、首都高速道路中央環状品川線のトンネルのシールド工事向けにクレーン他の施工機械を納入ている。

一品生産では、白井工業団地で業者連携できることも強みだ。機械加工や製缶関係等、工業団地には様々な事業者がいるので、相互に展開でき短納期・ローコスト化が図れる。

かつて、油圧式のタワークレーンクライミング架台で特許を取得した吉永機械の信頼は厚い。

サンレイ工機

嵌合の独自技術により、軽量のカーボンクラッドロールを実現

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世界最大級のハードクロームメッキ仕様のカーボンクラッドロール(全長10m)

液晶テレビやスマートフォンで利用されるフィルムの製造時に使われるカーボンロールを製造。日本の高機能フィルム業界で使われるカーボンロールのほぼ100%がサンレイ工機(千葉県白井市名内342-3)製だ。カーボンロールは非常に軽いため、しわやたるみが少ないフィルム製造が可能。精度が高く、4m以上の幅広いフィルムも作れるのが利点だ。

サンレイ工機のカーボンクラッドロールは圧入という独自の製法で、カーボンパイプとステンレスパイプを常温で押し込み、その上にクロムメッキ加工を施している。このクラッド法により、直接金属にメッキできるため剥離がなく、耐摩耗性・耐久性の高いロールの製造を可能にしている。一般的な工法で用いられるカーボン表面への複数メッキ工程を行わないので、生産性が高く、高温下でも使用も可能だ。また、つなぎ管方式の技術で、最大10mまでたわまず、強度がある、高品質のカーボンロールも生産している。

2015年には、内閣総理大臣表彰 第6回ものづくり日本大賞の製品・技術開発部門で優秀賞を受賞。ほかにも3社一体となって製品を作り上げる連携事業に対し、素形材連携経営賞で経済産業省製造産業局長賞を受賞している。

近年では、ロール製造で培われた、回転体のバランスを取る技術を生かし、レーシングカーのカーボンプロペラシャフトを製造。GT500クラスの車両で使用されており、メインチームは2014年と2015年に2年連続優勝した。

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「奇跡の一本松」では、カーボン加工技術・バランス修正技術で貢献

岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」保存プロジェクトの依頼では、一本松の保護のため、16mのカーボンパイプを3本つなげて芯がね加工し、幹を補強している。復興への願いを込めたプロジェクトにも、サンレイ工機の技術が貢献したのだ。

今回の白井工業団地見学会では資料の展示を行う。

今後、ますます需要が高まるカーボンクラッドロール。サンレイ工機は独自技術で発展を続ける。


藤井製作所

溶解から加工までの一貫生産でオリジナル銅合金を製造

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各種線径は品種により対応

銅合金の溶解加工を専門とする藤井製作所(本社: 東京都江戸川区本一色1-14-6)。りん青銅、洋白、ベリリウム銅を中心に、より削りやすさを追求した快削りん青銅、快削洋白を取り扱う。それらを丸線棒・異型線棒に加工する技術を持つ、国内でも数少ないメーカーだ。

りん青銅系は熱間加工ができない合金のため、冷えた状態で加工してから、熱処理に入れる作業を繰り返す。こうした工数の掛かる特殊素材を製造できるメーカーは数少ない。

棒は直径1.0~350.0mm、線は直径0.05~12.0mmまで対応可能。直径30.0mm以上の棒を製造できるのは、技術力があればこそだ。

JIS規格に沿った合金にはない強度や色味、耐腐食性等、細かいオーダーに合わせて金属を配合し、鋳込む。試作段階から顧客と協業し、100kg程度の少量生産にも対応しているので、オリジナル性の高い製品にも向いている。欧州のRoHS/ELV指令(有害物質規制)に対応するため、鉛を少なくしても、切削性を維持したりん青銅の開発に成功した。

新幹線のトロリー線を吊るすハンガーイヤーの素材であるりん青銅も藤井製作所が製造している。高速で走る新幹線の勢いに耐える強度、沿海でも塩害に耐える強さを持ち、ばね性に優れる素材を開発したのだ。

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納入先で様々な部品に加工されて製品となる

ほかにも自動車、楽器、時計、電気製品、釣り具等の部品として、幅広い分野で藤井製作所の銅合金は使用されている。銅には殺菌効果があることから、藤井製作所では一般社団法人銅センターが認定する殺菌銅Cu+マークを取得済みだ。今後は、医療機器での発展も期待される。

白井工業団地内では事業者間の横連携もあり、新しい事業に展開していくこともある。顧客のどんな要望にも答えられるのが白井工業団地に入居していることの強みだ。

藤井製作所の伸銅品は、あらゆる製品に加工されて活躍していく。

パール技研

手のひらサイズの高精度金属加工で、ものづくりを追求

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「和を以て貴しとなす」の精神で、議論を深めながら、技術力を高めている

金属の切削加工を専門とし、自動車の開発段階における試作品やレース用の精密部品を製造しているパール技研(千葉県白井市平塚2632)。高精度な部品の少量生産に対応できるのが強みだ。

自動車の研究開発では、コンピュータシミュレーションによる金属部品を、テスト用に1個だけオーダーされる場合がある。金属加工の職人技がものづくりの現場を支えているのだ。また、精密加工品では設計段階での工夫が製品コストに影響するため、素材のコストや工数、加工の難易度等、量産時を踏まえた提案力でも力を発揮している。60年の歴史で積み上げられたノウハウにより、短納期にも対応力が高い。設備投資にも積極的で、最新設備と職人技の融合により、高精度ながらコストにも配慮した部品設計を心掛けている。

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若手の育成にも熱心。技術の伝承が続く

2013年に成功した「江戸っ子1号プロジェクト」は産学官連携の好例だ。中小企業5社と海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京海洋大学、芝浦工業大学、東京東信用金庫が連携し、フリーフォール型深海探査シャトルビークルを開発したのだ。パール技研は、海に沈めてから錘を切り離す装置と、ビデオシステムを担当。千葉県沖水深約7800mで行われた実海域実験では、深海魚の3D撮影と機材の回収に成功した。現在、岡本硝子(千葉県柏市十余二380)を中心に事業化して2年目が経つ。

技術発表の場として、「全日本製造業コマ大戦」にも参加している。直径20mm以下、長さ60mm以下という規定以外は制限がなく、各社とも独自の技術を注ぎ込んで臨む。パール技研は精密加工の特色を生かして、回っているのに軸がぶれず、止まったように見えるコマが評判を呼んだ。こうした挑戦に社員の士気も上がっている。

パール技研は、これからも「和」をモットーに、社員一丸となって技術を追求していく。