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日経テクノロジーonline SPECIAL

ユーザー目線ではオープン化こそ正義

ファクトリーオートメーション(FA)とビルオートメーション(BA)に向けた制御ネットワークは、オープンで標準的な技術を採用すべき。これが、FAやBAのあるべき姿をユーザー目線で探究し続けてきたデルタ電子が出した結論である。デルタ電子のビジネスには、終始一貫した哲学がある。新しい技術を扱う場合には、まず自社が率先してユーザーとなり、顧客の目線に合った製品やサービスへと磨き上げることだ。こうした哲学を貫く中で得た知見から、技術のオープン化と標準化にこだわり続けている。世界市場を相手にビジネスを展開する各業界のトップ企業は、FAやBAの分野でのオープン化と標準化の重要性に気づき、対応を急いでいる。

左:デルタ電子 第5営業部 マネージャー 林 宗暉氏
中央:デルタ電子 代表取締役 柯 進興氏
右:デルタ電子 Sales&PES IV,BASBD 部長 鎌田 博之氏

 FAやBAの従来システムでは、管理・制御の対象となる設備や機器の間を、サプライヤーが独自開発した仕様のネットワークを介して結ぶことが多かった。こうしたシステム構成では、設備や機器のサプライヤーが1社で統一されていれば使い勝手はよい。しかし、複数のサプライヤーの製品を混在させて運用することは困難だった。そして、ものづくりやビジネスのグローバル化が進む現在、従来構成はメリットよりもデメリットが目立つものになった。

 世界中に工場とビジネス拠点を置くデルタ電子は、「自動化技術の黎明期には、管理・制御の対象とネットワークの間で技術仕様を擦り合わせる必要があったため、サプライヤーがシステム全体を一括開発する意義がありました。しかし、技術が熟れ、魅力的な製品や技術を提供するサプライヤーが増えてきた現在では、独自仕様のネットワークはユーザーの自由を奪う要因になっているのです」(デルタ電子 第5営業部 マネージャーの林 宗暉氏)。

ユーザー目線ではオープン化こそ正義

 FAやBAのシステム構築に用いるネットワークは、オープンで標準的な技術を採用すべき。これが、FAやBAのあるべき姿をユーザー目線で探究し続けてきたデルタ電子の結論である。

 本来、FAやBAで用いるネットワーク規格は、ユーザー企業間で独自性を競い合う要因ではない。どのような整備や機器を組み合わせ、どのように運用するかが、FAやBAの価値を決める。「多くの日本企業が、工場や施設を海外に置くようになりました。多様な地域の事情に合わせて、最適な設備や装置を柔軟に選択できることこそが重要なのです。独自規格は、今やサプライヤーが顧客を囲い込む効果しかありません」とデルタ電子 代表取締役の柯 進興氏は断じる。

 オープンで標準的なネットワーク技術ならば、様々なサプライヤーが対応製品を供給できるため、システムを構築する際のユーザーの選択肢は広がる。さらに、世界中のあらゆる国や地域でメンテナンスやアフターパーツの調達が可能になる利点もある。市場のパイが大きくなることから、設備や機器の低コスト化が進む可能性も高まる。

工場自動化の波が世界中に広がりオープン化が必須に

 2017年4月に開催された最先端の電子・機構部品を集めた展示会「TECHNO-FRONTIER 2017」の会場において、デルタ電子はACサーボドライブを32台並べ、パソコンベースのコントローラー1台でそれぞれのモーターを同時制御するデモを披露した(図1)。各ドライブとコントローラーは、フィールドネットワークのオープンな標準であるEtherCATを介してつなぐ構成。オープンな技術を使って、極めて複雑なFAシステムを構築できることを実証した。ちなみに、EtherCATの仕様では、最大64台まで同時制御できる。

図1 PCベースのコントローラーで多数のモーターを同時に制御
(展示会「TECHNO-FRONTIER 2017」)
[画像のクリックで拡大表示]

 またデルタ電子は、同じ会場にて、自社開発した水平軸のロボットを日本で初めて公開した。コネクターの工場内での利用を想定し、ワークの搬送、搬送中のワークをトラッキングしながらのビジョンシステムによる製品検査を実演した。同社によると、このロボットは自社工場でも活用しており、世界の競合企業と戦える高いスループットや信頼性を実現しているという。もちろん、制御データや検査データはEtherCATを介してやり取りしている。

 世界に先駆けてFAの導入が進んだ日本では、FA黎明期に見られた独自仕様のフィールドネットワークが広く普及している。ものづくりのグローバル化が進み、各国のものづくり企業でもFAシステムの導入が進んだ現在では、先進的だったはずの日本企業のFAシステムが、逆に足を引っ張るようになってきた。デルタ電子は、「日本企業の中には、既存のFAシステムから、オープンなネットワークをベースにしたFAシステムへと改修する動きが出てきています」(デルタ電子代表取締役 柯 進興氏)という。FA導入競争の1周目の周回では、ブランド力のあるサプライヤーが一括補償するFA製品を導入したが、2週目の周回となった今、既存システムが抱える課題の解決策を合理的に判断してオープンな技術を採用し始めたと見られる。

 フィールドネットワークのオープン化のトップランナーとなっているのがトヨタ自動車である。同社は、2016年4月にドイツで開催された「HANNOVER MESSE 2016」で、自社工場のIoT化に向けたフィールドネットワークの標準として、EtherCATを全面採用すると発表した。

マルチプロトコル対応で既存ビル設備を有効利用

 2016年4月、デルタ電子グループは、BAの制御用ネットワークで豊富な技術の蓄積を持つオーストリアのLOYTEC Electronics社を買収した。これまでデルタ電子は、空調や配電、照明などの電源や制御デバイスを提供してきた。LOYTEC社を買収したことで、これらの設備のコントローラーと中央監視システムを手中にし、BAを構成する要素をすべて提供できるようになった(LOYTEC Electronics社の製品概要)。

 ユーザー目線からオープンな標準技術を採用するデルタ電子のこだわりは、BAの分野でも変わらない。世界のBAシステムでは、複数のオープンなネットワーク標準が併用されている。欧州で多く使われるLonMark、米国や日本で多く使われるBACnet、欧州で使われるKNXなどが代表例であり、その他にも用途が異なる多様なプロトコルが使い分けられている。そして、それぞれの標準に対応した製品が販売されている。LOYTEC社の製品は、こうした多様なネットワーク標準のすべてに対応している点が特徴である。もちろん1つのBAシステム中で、複数プロトコルを混在利用することも可能だ。

 ビルオートメーションにおいて、マルチプロトコルに対応しているということは、システム構成上の自由度が高まるということだ。BAシステムに盛り込む機材の選択肢は広がり、既存システムに機材を追加することが可能になる。デルタ電子は、アムステルダムの自社ビルのBAシステムを、既存システムの一部を有効活用しながら、最新のシステムへと改修した。設備資産を生かした改修はLOYTEC社の製品を使ったからこそ実現できた。同様の視点で自社ビルのBAシステムを構築した企業としてソニーが挙がる。同社は、2011年に本社ビルに次ぐ重要拠点として完成させたソニーシティ大崎(現NBF大崎ビル)で、BAシステムにLOYTEC社の製品を採用した。

 FAもBAも、グローバルな視点からビジネスと技術を考える企業は、システム構築のベースとなるネットワーク技術として、常にオープンな標準技術を採用している。

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