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日経テクノロジーonline SPECIAL

日本マイクロソフト「産業IoTは新たな局面に突入」

ここまで来た産業IoT

 その一つが、スェーデンの工具メーカSandvik社の事例。マイクロソフトの「Connected Field Service」を活用して、センサで工具の状態を監視するシステムを実現した。取得した情報を顧客と共有しながら異常時には技術者をすぐ派遣することで、顧客満足度を高めた。

 仮想モデルとリアルな世界を連動させるデジタルツインの事例も紹介した。包装機械メーカのスェーデンTetra Pak社とロボットメーカの伊Comau Robotics社の事例である。Tetra Pak社は約5000台の機械を遠隔地からメンテナンスできるシステムを作り上げた(図1)。Comau Robotics社は監視・制御アプリケーションを提供する米Iconics社と共同で、食品工場で使われるロボットの保守支援を遠隔で行っている。

図1 包装機械メーカのスェーデンTetra Pak社は「Azure IoT」と「HoloLens」でロボットの遠隔保守を実現
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 いずれの事例も、マイクロソフトのAzure IoTをプラットフォームとして利用しており、現場での機器のオペレーションを遠隔地から支援するツールとしてマイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」や通信アプリケーションの「Skype」が使われている。「IoTによる遠隔監視や予知保全は、もはや当たり前」(菖蒲谷氏)。先進ユーザは次のステージを目指し始めているという。同氏は、その動向についても言及した。

バリューチェーンの全体最適化へ

 次のステージとは、「バリューチェーン全体に渡るIoTのビジネスモデルの確立」だ。従来のIoT活用は機器の保守など個別業務を対象としたものが多かった。続くステージでは、対象をバリューチェーン全体に広げて、全体最適化による価値の最大化を目指す。

 そのために必要なものとして、菖蒲谷氏は「標準化」を挙げた。既にIoT関連の標準化では、生産現場のフィールドネットワークと管理部門の情報システムをつなぐOPC UAが、Industry 4.0の世界を具現化する標準規格と位置付けられており、マイクロソフトのIoT関連ソリューションもいち早く対応を済ませている。こうした標準化が、IoT活用の幅を広げるうえで重要である。

 またバリューチェーン全体での最適化を進めようとすると、製造業のワークフロー全体を顧客中心の考え方のもとで統合する必要があり、IoTがカバーする範囲も一気に広がるこ。こうなるとIoTの導入プロジェクトの長期化が予想される。だが、長期化すると当初に導入したシステムが本格稼働の時点で陳腐化してしまう恐れがある。

IoTに早期導入を支援

図2 IoTシステムの早期立ち上げを可能にする「Azure IoT Suite」
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 こうした問題を未然に防ぐためのソリューションとして菖蒲谷氏は、同社の「Azure IoT Suite」を紹介した(図2)。Azure IoT Suiteは、遠隔監視など構成済みのソリューションやクラウド環境などをパッケージ化したもの。デバイスも、Windowsに限らずiOSやAndroidを含めてマルチに対応済みという点も特徴だ。これらを利用して、ベンダ選定や概念検証、パイロット検証に要する時間を省くことで、全体のプロセスを短縮することができる。「既存の資産を活用しながら短時間でシステムを立ち上げることができます。しかも、同時にシステムを拡張することもできるでしょう」(菖蒲谷氏)。

菖蒲谷雄氏
日本マイクロソフト 業務執行役員 IoTデバイス本部長

 最後に産業IoTの導入に取り組む企業を支援する仕組みとして、2016年2月パートナー企業10社と共同で設立した「IoTビジネス共創ラボ」を紹介した。IoTの共同プロジェクトを通じてノウハウを共有することを目的に設立したコミュニティである。「アイデアベースからIoTの活用をサポートする考えです。いよいよIoTは、概念検証から実践導入の局面に突入しました。Azure IoT Suiteを始めとした一連のソリューションで、新たなステップを目指すお客様を積極的に支援します」(菖蒲谷氏)。