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日経テクノロジーonline SPECIAL

ユニアデックス「IoTにウォーターフォール型開発はなじまない」

既存データの活用で品質向上

 具体的には「IoTエコシステムラボ」と呼ぶプログラムである(図1)。ワークショップによるコンサルティング、必要なツールをパッケージ化したキットの提供、PoC支援サービスによるデータ分析などを通じ、IoTを活用したビジネス化を支援する。同社だけでなくパートナ各社も参画しており、さまざまなアイデアが集まる仕組みだ。

図1 「IoTエコシステムラボ」のコンセプト
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 IoTエコシステムラボからは、すでに具体化した事例も登場している。日本マイクロソフトやNTTドコモと協力し、産業用チェーンの大手メーカーである椿本チエインの生産工程を可視化した事例である。従来は目視に頼って稼働状態を把握していたが、生産設備に取り付けたPLC(programmable logic controller)から取得したデータをもとに稼働状態を把握できるようにした。ユニアデックスは、マイクロソフトやNTTドコモと、今後もIoTエコシステムラボを核とした協業を続けていく方針という。

 実際に品質向上に貢献して事例も登場している。一つは金属加工会社の事例だ(図2)。従来から、工場の機械のトラブルによる品質異常を防止するためにPLCのデータを活用していた。ただし、従来はデータを表計算ソフトウエア「Excel」で管理していた。この場合、データを加工できるように書き出して取り込むまでに手間がかかる。そのうえ、数字の羅列しか見えないので、品質を管理するために注目すべきデータの動きを特定するのが難しかった。そこでPLCのデータをAzureにそのまま転送するシステムを導入。Azure上でデータを整えたうえでSQLサーバーを使ってデータベース化。そのうえでAzureに実装されている分析ツール「Power BI」で、データをグラフ化できるようにした。

図2 既存のデータを活用して品質を向上した金属加工会社のシステム
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 グラフ化することで、単なる故障の検出だけでなく、故障に至るまでの傾向をいち早く把握できるようになった。故障に近い状態や品質が不合格に近い製品も見つけることも可能になったという。「既にあるデータを活用するだけで、熟練技術者でなくても品質向上をはかるできることができるようになりました」と安原氏はその効果を強調する。

 もう一つの事例として、メッキ加工会社のケースを紹介した。この会社では製造プロセスを自動化していたものの、品質管理については熟練技術者のノウハウに依存していた。このため品質異常が起こる原因として現場の温湿度が関係していることは想像できたものの、定量的な検証ができず、具体的な対策がなかなか打てなかった。

図3 「IoTスタータキット」の概要
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 そこで現場に複数のセンサを設置し、IoTの仕組みを構築して温度や湿度のデータを収集し、それぞれのセンサから得たデータを相互に組み合わせて相関分析を実施した。センサを置く場所や取るデータの種類、不足するデータの特定など試行錯誤しながら、有効なデータの組み合わせとその取得方法を模索。最終的に品質異常と相関関係の強いデータを特定し、それを踏まえた効果的な作業環境の管理システムを構築することができた。

安原慎氏
ユニアデックス エクセレントサービス創生本部 IoTビジネス開発統括部IoTサービス企画部 チーフスペシャリスト

 この事例では、IoTエコシステムラボで提供するツールの一つである「IoTスタートキット」が活躍した(図3)。IoTスタートキットはIoTを活用したシステムに必要な各種センサや通信回線、クラウド環境やゲートウエイなどを一つのパッケージにしたものだ。「ユーザはAzureにログオンして、キットの電源を投入するだけで使えるようになっています」(安原氏)。地道にデータ取得を積み重ねながら、目指すシステムを作り上げていくのに有効なツールだ。