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日経テクノロジーonline SPECIAL

5G開発動向 最新レポート~5Gはいよいよ商品開発の段階へ

格段に高速な計測が可能となったチャネルサウンダ

 既に、サービス開始を見据えた5G向けシステム開発で、SDRを活用して成果を上げたところが出てきている。米AT&T社は、28GHz帯での空間電波伝搬特製評価(チャネルサウンディング)向けの装置(チャネルサウンダ)を、SDRを使って構築した(図3)。チャネルサウンディングは、例えば郊外の住宅街から、都心の地下鉄の駅構内まで、無線通信サービスが提供される様々な環境における電波伝搬の特性を計測するために行うものだ。64×7 MIMO構成で、送信側には1台、受信側には4台のミリ波ヘッドを接続して、試作機を構成した。

図3 AT&TがSDRを使って開発した28GHz帯でのチャネルサウンダ
[画像のクリックで拡大表示]

 従来のチャネルサウンダは、スペクトルアナライザをベースに構築されることが大半だった。スペクトルアナライザはチャネルサウンディングに必要な計算が備わっているわけではないため、受信した信号からチャネルの特性を導くのにはポストプロセッシング(後処理)に頼らざるを得ず、実験をしながらリアルタイムに評価をすることはできなかった。今回のAT&T社の場合、従来は15分以上掛かっていた処理が、新たなチャネルサウンダによってわずか150ミリ未満で実行できるようになり、チャネルの特性をその場でリアルタイムに可視化できるようになった。これは、SDRベースの試作機の構築に用いたPXIモジュールに搭載されている、高速フーリエ変換(FFT)など信号解析処理を高速実行できるFPGAを活用して得られた効果である。

 これによって、フィールドで評価結果を見ながら、追加条件での再評価といった臨機応変な対応ができるようになった。こうしたフィールドでのリアルタイム解析の適用先として最も期待されているのが車車間・路車間(V2X)通信アプリケーションに向けた28 GHz帯の伝搬特性評価である。潤沢な周波数資源が残っている28GHz帯が自動車でも利用できるかは、高度なコネクテッドカーを開発する上での大きな関心事となっているからだ。

動画:NIWeek 2017での、AT&Tによるチャネルサウンディング評価のデモ

商品開発では、より高性能な試作環境が欠かせない

 5G対応の基地局や端末の商品開発では、要素技術の研究開発と同様に、SDRの活用が大きな効果をもたらすことは確実だ。ただし、研究開発と商品開発の間には相違点もある。商品開発の方が、より高性能な試作環境が求められるという点だ。

 商品開発では、より実運用に近い条件を整えて動作を検証し、商品の品質を徹底的にブラッシュアップすることが、商品価値の向上に直結する。要素技術の研究開発の段階では、Massive MIMOの検証に用いる通信プロトコルを簡略化するといった、検証システムの単純化ができた。しかし、商品開発では実際と同じ条件の下での運用検証が求められる。このため、試作機は、研究開発の段階で用いたものよりも大規模で高性能になる。

 NIは、こうした商品開発ならではの試作ニーズに応える製品を用意している。まず、2016年に市場投入した第2世代「ベクトル信号トランシーバ(VST)」を組み込むことで、SDRのハードウエアを高性能化できる。1GHzの瞬時帯域幅での信号合成・出力と入力・解析の両方に対応しているだけでなく、内臓のFPGAで信号合成・解析をリアルタイム実行できるようになっている(図4)。また、測定器クラスのアナログ品質も実現しており、通信品質をより厳密に評価できる。その他にも、米Xilinx社の大規模FPGA「Vertex-7」を4つ搭載した、外部の信号処理アクセラレーターとして利用できるFPGAモジュール「ATCA-3671」も用意している(図5)。Massive MIMOのような、複雑な技術に対応する試作機の検証に効果を発揮する。

図4 第2世代「ベクトル信号トランシーバー(VST)」
[画像のクリックで拡大表示]
図5 FPGAモジュール「ATCA-3671」
[画像のクリックで拡大表示]

 現時点では、商品開発でのSDRの活用は始まったばかりである。だからこそ、基地局や端末を開発するメーカーは、競合他社に先駆けて効果的に利用すれば、ワークフローを劇的に改善して差をつけることができるに違いない。SDRが商品開発で当たり前のように活用される時代は、近い将来必ずやってくることだろう。

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  • 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社
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