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日経テクノロジーonline SPECIAL

デジタル・コックピットの進化を加速するリアルタイムOS

計器類、バックカメラ、カーナビゲーション・システムなど、自動車の運転に関するさまざまな機能を統合したデジタル・コックピットに、米Green Hills Software 社が提供するリアルタイムOS「INTEGRITY」を採用する動きが目立ってきた。高い信頼性を確保できる堅牢なアーキテクチャを採用しているうえに、クイックブート機能などデジタル・コックピットの開発者が求める機能を提供しているからだ。

 ダッシュボードに搭載したフラットパネル・ディスプレイに、計器類や、後方の様子をドライバーに見せるバックカメラ、カーナビゲーション・システムなどが提供するさまざま情報を統合して表示するデジタル・コックピットの開発がにわかに活発化している(図1)。この背景には、電子化とともに増え続ける情報を分かりやすく、かつ的確にドライバーに提供する仕組みが必要になってきたことがある。こうしたデジタル・コックピットの制御に適したソフトウエア基盤として注目を集めているのが、米Green Hills Software 社(以下GHS)のリアルタイムOS「INTEGRITY(インテグリティ)」である。

図1 さまざまな情報システムを統合したデジタル・コックピット
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穂積 広一氏
アドバンスド・データ・
コントロールズ
技術本部 R&D部 部長
(兼 副本部長)

 「INTEGRITYは、デジタル・コックピットの制御OSとして欧州では数多く採用されています。最近では日本でも引き合いが増えてきました」と、日本およびアジア太平洋地域でGHS製品を扱うアドバンスド・データ・コントロールズ(以下ADaC)技術本部R&D部 部長(兼 副本部長)を務める穂積広一氏は語る。INTEGRITYは、航空・宇宙や防衛をターゲットに開発されたGHS社オリジナルのリアルタイムOSだ。1997年の誕生以来、航空機、自動車、鉄道、通信基盤、メディカル機器、インダストリアル(FA)など、高い信頼性と堅牢性が求められる分野を中心に数多くの採用実績を築いている。

ゲスト空間同士の完全分離を実現

慶野 博是氏
アドバンスド・データ・
コントロールズ
営業本部 営業支援・
サポート部 部長

 こうしたINTEGRITYは、デジタル・コックピットに適していると、ADaC営業本部 営業支援・サポート部 部長の慶野博是氏は言う。
 「INTEGRITYは、カーネル空間と各ユーザー空間(ゲスト空間)同士が完全に分離および隔離されたアーキテクチャを採用しており、実装するさまざまな機能モジュールの独立性が担保されています。この特徴は、求められる信頼性や安全性のレベルがそれぞれ異なる複数の機能を統合したデジタル・コックピットを実現するうえで有利です」(慶野氏)(図2)。つまりINTEGRITYは、複数の異なるOSを同時に稼働させる仮想化の技術をサポートするとともに、個々の機能モジュールにおいて不具合が発生したり、セキュリティが脅かされたりすることがあっても、それによって発生した問題が他の機能モジュールに波及しないように設計されているので、システム全体で高い信頼性を確保できる。

図2 INTEGRITYの内部構成
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 「しかもINTEGRITY は、米国家安全保障局(NSA: National Security Agency)が定める『EAL6+』という最高レベルのセキュリティ規格の認証を世界で初めて(GHS 調べ)取得したリアルタイムOSです。信頼性の要求が厳しいデジタル・コックピットの制御に適したリアルタイムOSだと思います」(慶野氏)。
 さらにINTEGRITYは、機能安全の規格「ISO 26262」の認証もOS単体で取得しているので、機能安全にまつわる作業の負荷軽減にも役立つ。

 もう一つデジタル・コックピットの開発にかかわる技術者にとって重要なのは、INTEGRITYがデジタル・コックピット特有の要件にも対応できることだ。つまり、
デジタル・コックピットの場合、クルマのイグニッションキーまたはパワースイッチをオンにしたときに、速やかに表示および点灯させる必要がある。アナログメーターと同等の使い勝手をドライバーに提供するためだけでなく、バックカメラの映像を規定時間内に表示できなければならないとする米Kids and Transportation Safety Act(通称KT法)などの法令を遵守するためにも欠かせない要件だ。「この要件に対応するうえで役立つのがINTEGRITYの高速ブート機能です。起動時にもっとも時間を要するメモリの初期化を必要最小限の領域に限定し、残りの領域は起動後に初期化する、などのさまざまな工夫を随所に盛り込み、ブート時間を大幅に短縮しました。Linuxなど高速ブート機能を備えたOSは従来からありますが、リアルタイムOSで高速ブートに対応している製品は珍しいのではないでしょうか」(穂積氏)。

技術サポートで顧客の開発を加速

 さらにINTEGRITYを新たに導入するユーザーにとって見逃せないのが、日本国内におけるサポートが充実していることだ。GHS製品の日本国内における技術サポートを担っているADaCは、C/C++コンパイラで業界標準のひとつになっている「Green Hills Compiler」(現在は統合開発環境「MULTI」に統合)を中心に1992年から25 年以上にわたってGHS 製品を取り扱っている。これによってGHSと密接な関係を築くとともに、製品に関する多くの経験とノウハウを蓄積してきた。これらを生かして、日本の顧客を丁寧かつ迅速にサポートする体制を整えている(図3)。「日本のお客様の開発状況やご要望をGHSに伝えるなど、お客様とGHSの橋渡しもADaCが担う重要な役割のひとつだと考えています。GHSと連携をとりながら、お客様の開発支援に取り組む考えです」(慶野氏)。

図3 ADaCが窓口となってユーザーを丁寧にサポート
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 ここにきてINTEGRITYに対する引き合いや採用事例が増えてきたことから、ADaCではサポート体制の強化を図る方針だ。「サポート人員の増強に加えて、お客様に理解を深めていただくために実施するトレーニングのプログラムを拡充します。基本動作のほか、統合開発環境MULTIの使い方、デバイスドライバーの書き方など、お客様のニーズに応じたコースを無償または有償で提供し、スムーズな開発をご支援します」(穂積氏)。

 高級車から始まったデジタル・コックピットの導入は、これから普及車へと広がる見込みだ。高い堅牢性などデジタル・コックピットに適した特徴を数多く備え、技術サポートも充実したINTEGRITYの需要は、ますます高まるに違いない。

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  • アドバンスド・データ・コントロールズ
    アドバンスド・データ・コントロールズ

    〒170-0004 東京都豊島区北大塚1丁目13番4号 オーク大塚ビル

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    FAX:03-3576-1772

    URL:http://www.adac.co.jp/