“明日”をつむぐテクノロジー

Euro NCAP 2018要件に対応した画像認識プロセッサViscontiTM4 安全・情報・環境の進化と共に歩む東芝の車載半導体ソリューション

自動車は「安全」「情報」「環境」をキーワードに急速な勢いで進化を遂げつつあり、電子化と電動化を実現する半導体の役割がより重要になっている。長年にわたって車載半導体を手掛けてきた東芝は、将来の自動運転の実用化に欠かせない高度な画像認識機能を備えた画像認識プロセッサ「Visconti」を筆頭に、次世代の自動車を見据えたソリューションを提供する。
福岡 浩 氏 株式会社 東芝 ストレージ&デバイスソリューション社 ミックスドシグナルIC事業部 車載IC応用技術部 車載技術戦略企画担当 課長

自動車を運転している人であれば、夜道の歩行者にひやりとした経験を少なからず持っているのではないだろか。しかし、そうした危ない思いをすることもいずれは過去のものになるかもしれない。

人間の目では見づらい夜でも自動車が歩行者をいち早く検知して、ドライバーに警告を発したり、ブレーキやステアリングを自動で操作して事故を回避してくれる時代がすぐそこまで到来しているからだ。

背景にあるのは画像認識技術やセンシング技術の進化である。衝突被害軽減ブレーキから自動運転へと機能が高度化する中で、より認識性能に優れるソリューションが登場してきた。

東芝は車載向けにさまざまな半導体を提供しているが、なかでも業界から注目を集めているのが画像認識プロセッサ「Visconti」(ヴィスコンティ)である(図1)。

「当社は1960年代に開発した郵便区分機での郵便番号認識を皮切りに、画像認識技術の研究と実用化を進めてきました。画像認識機能に対するニーズが自動車分野においても高まる中、2003年から展開しているのが Viscontiシリーズです」と、東芝で車載半導体を担当する福岡浩氏は説明する。

初代Visconti は2003年に登場。第2世代の「Visconti 2」と「Visconti 3」を経て、最新は第4世代の「Visconti 4」である。このうちVisconti 2はすでに一部の量産車に搭載され、安全機能の実現に使われている。

【図1】東芝の画像認識プロセッサ「Visconti」
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特徴抽出で夜間の認識性能を向上
Euro NCAP 2018の要件にも対応

最新のVisconti 4は、欧州で新車の安全性評価を手掛けるEuro NCAP(European New Car Assessment Programme)が予定する2018年アセスメント基準に対応した認識性能を備える画像認識プロセッサだ。

2018年のEuro NCAPでは、自転車および夜間歩行者に対する衝突回避性能の評価が追加される予定で、新車として高いレーティングを得るにはこうした評価項目を満たす必要がある(レーティングは自動車の売れ行きや保険料に影響する)。米国のNCAPや日本のJNCAP(独立行政法人自動車事故対策機構)でも同様の評価項目が追加される見通しだ。

Visconti 4は、画像処理アプリケーションを実行するMPE(Media Processing Engine)プロセッサをこれまでの4コアから8コアに増強。また、アクセラレータとして、アフィン変換、ピラミッド画像生成、フィルタ、マッチング、ヒストグラム、HOG(Histograms of Oriented Gradients)、エンハンストCoHOG(Co-occurrence HOG)、およびSfM(Structure from Motion)を延べ14個内蔵する(図2)。

「HOGおよびCoHOGは画像の輝度勾配から特徴を求めるアルゴリズムをハードウェア化したアクセラレータで、人物の検出などに威力を発揮するVisconti 4では輝度に加えてカラー情報も用いて特徴を求めることで、輝度差が少なくなる夜間でも高い認識性能を実現しました」(福岡氏)

さらに、8コアのMPEに異なる処理を割り当てて、例えば、歩行者、車両、車線、規制標識、路面文字・記号、信号、ヘッドライト、路上障害物など、8対象の認識を同時に実行することもできる。前方カメラや後方カメラが接続できるように8系統のカメラ入力を備えるが、ステレオカメラだけではなく単眼カメラでも十分な認識性能が得られるという。

「アプリケーション次第で、車載だけではなくさまざまな用途に展開できるのもViscontiの特徴の1つです」と、福岡氏は述べる。実際にVisconti 2は産業用途でも使われているそうだ。

以上のような機能と性能を実現しながら、日光などにより温度が上昇しがちなルームミラー背面などに実装できるように、消費電力を3.4Wに抑えた。

【図2】Visconti 4に内蔵されている各アクセラレータの役割
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安全・情報・環境の各分野を強化
自動車の進化に応えるソリューション

自動車は今、「安全」、「情報」、「環境」という3つの観点で進化を続けている(図3)。その目指すところは、いわゆるレベル4に分類される完全な自動運転の実現と、電気自動車や燃料電池自動車など、石油資源を直接の動力としない電動化である。

まず「安全」に関して、東芝は、Viscontiを中心とする車載映像・画像ソリューションを通じて、安全性を高めるさまざまな機能をサポートしていく。また、アクティブセーフティやパッシブセーフティの諸機能に必要な、モータドライバ、リレードライバ、プリドライバ、電源ICなどを提供中だ。

「情報」に関しては、IVI(In-Vehicle Infotainment)や車々間/路車間通信の普及に向けた通信系ICのほか、車載ディスプレイ用映像処理IC、カーオーディオ用マイコン、各種の情報を記録する車載用フラッシュメモリを展開していく。

「環境」に関しては、モータドライバ、パワーデバイス、インバータ制御マイコン、バッテリ監視マイコン、フォトカプラなどを中心に、低燃費化や電動化で求められるソリューションを提供していく。

福岡氏は「クルマの電子化および電動化を背景に、車載半導体が果たす役割がより重要になっています。東芝はViscontiをはじめとするソリューションを通じて、クルマの進化に応えていきます」と、先進の車載半導体の開発と提供にこれからも取り組んでいく考えを示した。

【図3】自動車の進化と東芝の車載半導体の取り組み
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  • 株式会社 東芝 ストレージ&デバイスソリューション社

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    電子デバイス&ストレージ営業センター 車載営業推進部
    TEL. 03-3457-3428  FAX. 03-5444-9324
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