日経テクノロジーONLINE SPECIAL

小さく始めた「見える化・IoT」事業の高付加価値化への足掛かりに

生産履歴とプロセスを管理

 中日本炉工業が導入したシステムの機能は大きく二つある。一つは、生産履歴の記録。工場で処理する製品ごとに作成される加工指示書と紐付けて、投入した装置、投入日時、処理完了日時、作業者、レシピ(処理条件)、検査データなどを管理サーバーに記録する。製品に添付されている加工指示書に記載されたバーコードを、作業者が機器ごとに設けてあるリーダーで読み取ることで簡単にデータが入力できるようになっている。

 もう一つは、生産プロセス・データの記録。3台あるCVD装置は、温度、ガス流量、電力など4項目のデータを10秒ごとに自動的に記録できるようになっている。データを収集するネットワークには、無線LANを介してカメラ付きタブレットPCも接続されており、現場で撮影した加工対象の画像もデータと紐付けて記録することが可能だ。

 こうして収集した生産履歴データや生産プロセス・データは、工場に隣接する事務所に設置されたサーバーにオンラインで送信。グラフや表など分かりやすい形にして事務所など数カ所に設置した大画面ディスプレイに表示する。単なるデータの「見える化」だけでなく、トレーサビリティの強化およびデータ分析のための機能が実装されているのがこのシステムの特徴だ。つまり、工場の稼働状況が把握できるだけでなく工程で発生した問題を解析したり、出荷後に製品で問題が発生したときに、過去のデータを分析して速やかに原因を追究したりすることが可能だ。トレーサビリティ機能では、複数の工程のデータを、シリアル番号やロット番号を使って紐付けし、一覧表、時系列のグラフ、散布図、層別散布図などを作成する機能など、特定の製品やロットに関する情報を素早く得るための分析機能を提供する。時系列データの分析については、1サイクルごとに切り出して重ね合わせて表示したり、データの特徴点を取り出してトレンドをグラフ化したりするなど、工程で発生している変化を素早く割り出せる機能が揃っているほか、ヒストグラムの作成やデータの集計など統計機能も備える。これらの機能は、パナソニック ソリューションテクノロジーが自社で開発し、製造業向けソリューションのオプションとして提供しているものだ。