水の殺菌で注目を集める深紫外LED

市場拡大のカギを握る高出力化で業界をリード

スタンレー電気の高出力深紫外LEDが、衛生分野を中心に大きな注目を集めている。
水の殺菌用に最適な波長265nmで50mWと業界最高レベルの出力を達成。
水浄化装置など深紫外光を応用した機器の用途が広がる可能性が一段と高まったからだ。
同社は、長年手掛けてきた可視光LEDや赤外光LEDで培った材料やプロセスなどの技術を駆使して、さらに高出力化を追求。深紫外LEDの新市場開拓を加速する考えだ。

木下 亨

スタンレー電気
研究開発センター 主任技師

深紫外LEDは、100~280nmの「UV-C」と呼ばれる波長領域の光を発するLEDである。いま、この深紫外LEDの開発がにわかに活発化している。これまで殺菌装置など紫外光の応用機器に使う光源の主流だった水銀ランプを代替する新たなデバイスとして深紫外LEDの需要が急増する機運が高まってきたからだ。

深紫外LEDは、小型で高効率、ウオームアップ時間ゼロなど、水銀ランプよりも優れた特長を備えている。このため、いずれ水銀ランプがLEDに置き換わるのは自然な流れというのが業界の一般的な見方である。ここに注目したLEDデバイス・メーカーが深紫外LEDの開発を加速させる一方で、材料・素材メーカーや精密ポンプメーカーなど他分野からの新規参入も相次いでいる。

こうした中で強い存在感を示しているLEDメーカーがスタンレー電気だ。「創業当初から一貫して光の技術を手掛けてきた当社は1960年代からLEDを展開しており、LEDに関する豊富な技術やノウハウを蓄積してきました」(同社研究開発センター主任技師 木下亨氏)。さらに同社は、2017年1月に化学品やエレクトロニクス材料を扱うトクヤマが手掛けていた深紫外LEDの技術・設備の譲渡を受ける契約を締結。深紫外LEDの技術開発を一段と強化した。

需要が高い波長265nmでは随一

その同社が、2017年5月に明らかにした最新の成果が、波長265nmで出力50mWの深紫外LEDである(図1)。すでに量産技術を確立。2017年中に量産を開始する予定だ。これまでに複数の企業が、波長265~285nm、出力20~75mWの深紫外LEDを製品化している。だが目下のところ最も有望な用途である水の殺菌に適した波長265nmの製品の中で、業界随一の出力を誇っているのが同社の深紫外LEDである。「塩素による消毒が効かない水中の病原微生物クリプトスポリジウムの殺菌に効果が高い波長が265nmです(図2)。すでに水銀ランプによる殺菌システムは、欧米が先行する形で浄水施設に採用しており、最近では日本の浄水場にも採用されています。最初に深紫外LEDの市場をけん引するのは、中小型の水殺菌システム用途で、将来的には浄水施設のような大規模な水殺菌システムにおける光源の置き換えも進んでいくとみています」(木下氏)。

図1 波長265nmで出力50mWの高出力深紫外LED

高出力深紫外LED 写真
項目 仕様
基板 AlN
波長 265nm
光出力 50mW
定格電流 400mA
外部量子効率 2.67%
順電圧 8.8V
配光角 140°
パッケージサイズ 3.5×3.5mm
※仕様は予告なく変更する可能性があります

図2 病原微生物クリプトスポリジウムの殺菌効果的波長265nmの深紫外線

スタンレーのLEDは他社LEDや水銀ランプよりもクリプトスポリジウムの紫外線感受性の高い波長に近い深紫外線をピークに出す。

水銀ランプの置き換えを狙ううえで最も大きな課題であり、市場の焦点になっているのが深紫外LEDの出力である。実は深紫外LEDは、従来の水銀ランプに対して優れた特長を数多く備えている一方で、水銀ランプに比べて現状では出力が格段に低い。水銀ランプの出力が1W以上であるのに対して、深紫外LEDの出力は数十mW程度と、その差は桁違いだ。今後、技術開発が進んで出力が高まるにつれて、水銀ランプの置き換えが進むとともに新たな用途が広がる。業界随一の高出力を発揮するスタンレー電気の深紫外LEDが業界の注目を集めた理由はこれだ。

優れた特性を備えた深紫外LEDの量産技術を、業界に先駆けて確立するうえでカギとなった同社の取り組みは大きく2つある。いずれも高出力化を阻む深紫外LED特有の技術課題の対策である。

高出力化を阻む問題に2つの対策

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