• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
日経テクノロジーonline SPECIAL

自動車向け開発環境と産業用OSが堅調、ADAS・自動運転機能開発に向けた支援サービスも強化

自動車分野やファクトリー・オートメーション分野を中心に開発環境を提供しているアドバンスド・データ・コントロールズ(ADaC)。堅調な米Green Hills Software社の代理店ビジネスに加え、2016年には自動運転のAIエンジン向けに走行映像データを提供するVERTechs社を設立した。2017年からはセキュリティーサービスも展開するなど、成長に向けた取り組みを強化している。ADaC代表取締役会長の河原 隆氏に2016年の事業状況と今後の取り組みを聞いた。

――2016年を振り返ってください。

河原 当社がアジア・太平洋地域での販売代理店 兼 テクニカルパートナーを務める米Green Hills Software社(以下GHS社)に関連した事業が好調なこともあって、2016年2月期の売上高は前年度比で約5%アップの23億6000万円となりました。さらに2017年2月期は、目標としていた25億円を達成できそうな見通しです。

 当社の成長を支えている要因は2つあります。ひとつは、GHS社の統合開発環境「MULTI」が多くの自動車メーカーに採用されたことで、部品などのサプライヤーにも導入が広がり、ソフト保守を含めた売り上げが伸びたことです。もうひとつが、同じくGHS社の高堅牢かつ高性能なリアルタイムOS「INTEGRITY」が、大手FA機器メーカーに本格採用されたことが挙げられます。

 このうちINTEGRITYは、機能安全の国際標準規格である「IEC 61508」や「ISO 26262」の認証にいち早く対応するとともに、最高度のセキュリティーを表すコモンクライテリア「EAL6+」の認定を唯一取得している商用OSです。高い信頼性やセキュリティーが求められる通信機器など、いくつかのお話も頂戴しています。2017年以降は、さらなる採用の拡大を期待しています。

AIエンジン向け開発環境を提供

――新しい取り組みがあれば教えてください。

河原 ADAS(先進運転支援システム)や自動運転機能の開発や評価をサポートする2つの取り組みを2016年にスタートさせました。

 ひとつが画像認識のAIエンジンを対象にした映像提供サービスです。AIエンジンにさまざまな道路状況を覚えこませて判断させるには、ひとつのルートに対して、天候、時間帯、渋滞度、歩行者や自転車の有無など、無限の組み合わせを与える必要があります。ところが、実際の道路でそうした条件を任意に再現するのは困難です。

 そこで、最新のゲームエンジンを使ったコンピューター・グラフィックス(CG)技術と車両運動シミュレーターによるクルマの仮想的な動きに合わせながら、車載カメラで撮影した実写映像にきわめて近い走行映像を任意の条件(天候、時間、太陽の位置など)で作成したCG映像と、車両運動シミュレーターをリアルタイムに連動して仮想走行する技術の開発を始めました。そして、CG技術に造詣の深いwise社の尾小山良哉氏と共にバーテックス株式会社(VERTechs)を2016年5月に設立し、10月7日にプレス発表を行いました(図1)。富士通の協力に基づき、作成したCG映像がAI開発のための教師データならびに検証データとして有効であるとの結果を得ました。自動車メーカーやサプライヤーにサービスを提案中で、各方面から高い関心が寄せられています。

図1 実写映像に近いリアルな走行映像を任意の条件で生成するVERTechs社の技術
[画像のクリックで拡大表示]

 もうひとつの取り組みがハードウエア自動設計ツールを提供する豪Veltronix(ベルトロニクス)社との協業です。日本の自動車メーカーの開発部門で働いていたオーストラリア出身の2人の若者が創業したベンチャー企業で、Cコードで書かれた制御ロジックやアルゴリズムをハード化する「Accelerate」などのツールを手がけています。既に大手自動車メーカーの開発現場で活用されています。こちらもキービジネスのひとつに育てていきたいと考えています。

――自動運転機能の開発環境を提供する狙いは。

河原 2020年をターゲットに、各自動車メーカーは自動運転の実用化に向けて開発を加速させています。国内の一般公道での走行は法整備や社会的合意などの課題もあり、まだ難しいと思います。しかし、スポーツイベントの選手村と会場など、A点とB点とを結ぶ限られたルートであれば問題ないところまで進化するでしょう。

 ただし自動運転機能の開発は米国のIT企業が積極的で、AIエンジンの覇権を取ろうと猛烈な攻勢を仕掛けています。モバイル機器におけるAndroidのように、いずれ米国産のAIエンジンを部品として使うだけで自動運転車を実現できてしまうかもしれません。

 しかしそれでは面白くないわけです。自動運転の世界でAndroidと同じようなことは起きてほしくないので、国内の自動車メーカーに独自の技術力を発揮してもらいたいという想いのもと、VERTechsやVeltronixのソリューションを通じて、自動運転の開発支援に取り組もうというのが今回の背景です。

セキュリティー事業を新たに展開

――2017年の重点ポイントを教えてください。

河原 当社の事業の根幹を成しているGHS社の統合開発環境のMULTIおよびリアルタイムOSのINTEGRITYを自動車業界とFA業界を中心に引き続き提案していきます。加えて、AIエンジンの教師データとなるVERTechsの映像提供サービスを本格化していきます。運転シミュレーターなどを提供する他のツールベンダーとのパートナーシップも必要に応じて拡大していく予定です。

 さらに、新たにセキュリティー関連ビジネスを立ち上げます。その背景としては、ビッグデータを活用する機運が高まり、企業が扱うデータ量が増大の一途をたどっていることがあります。その中で、従来にも増してセキュリティーの重要性が注目されるようになりました。また、自動車分野ではクルマをネットワークで結ぶV2Xの開発が進められ、同様にセキュリティーが重要になると見込まれています。

 具体的には、GHS社が提供する組み込み機器向けセキュリティーサービス、組み込み機器用暗号化ツールキット、自動車V2X向けセキュリティーサービス、および企業向け鍵管理インフラサービスのそれぞれを2017年から日本国内で展開していきます。

 業績としては2017年2月期で売上高25億円の達成を目指します。また、時期はまだ明言できませんが、売上高30億円の達成に向けて引き続き成長を図っていきたいと考えています。

お問い合わせ
  • アドバンスド・データ・コントロールズ
    アドバンスド・データ・コントロールズ

    〒170-0004 東京都豊島区北大塚1丁目13番4号 オーク大塚ビル

    TEL:03-3576-5351(代)

    FAX:03-3576-1772

    URL:http://www.adac.co.jp/