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ポストスマホを見据え、3つの技術から新たな「価値」を創出し 持続的な成長が可能な会社を目指す

アルプス電気が、ポストスマートフォン時代を見据えたビジネスを加速している。2016年は、第8次中期経営計画(2016~2018年)の初年度となる。同計画では、車載市場での売り上げをさらに伸ばし、ウエアラブル、IoTなど新市場でのビジネスを軌道に乗せる予定だ。HMI(Human-Machine Interface)、センサー、コネクティビティという3つの技術での強みを生かした製品を投入する。同社 代表取締役社長の栗山年弘氏に、2016年の総括と2017年以降の注力点を聞いた。

――2016年はどのような年でしたか。

栗山 今上期の実ビジネスはほぼ計画通りと順調に推移しました。ただし、上期は1米ドル110円を想定していたため、為替の影響を入れた数字は下振れしています。当社の事業は、海外での売上比率が約8割を占め、為替に対する感応度が高いのですが、100~120円の範囲ならば、一喜一憂せず、8次中計で掲げた戦略を推し進めようと考えています。リーマンショック直後の状況と比べれば、随分と体力がつきました。

スマホ偏重からの脱却

――8次中計では、どのような事業に重点を置くのでしょうか。

栗山 これまでの収益の主軸であるスマートフォンだけに頼らない、持続的な成長が可能な会社にしていきます。

 まず、車載市場向けビジネスをさらに伸ばします。7次中計では、車載市場で2000億円の売り上げを達成するとともに、次に向けた仕込みをしてきました。8次中計では、売り上げを3000億円に伸ばします。自動車の生産台数の伸びは、年率3~4%です。そこでの売り上げを3年間で50%増やすのですから、かなりアグレッシブな目標といえます。HMI、センサー、コネクティビティというアルプス電気の3つの強みを生かして、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転による電子化の進展に沿った伸びしろのある事業を開拓します。また、グローバル規模での生産とサポート体制の下で、兵站が伸びきらないよう、しっかりとQCDを満たす運営をしていきます。

 同時に、車載ビジネスの質を高めます。車載向けの商品には、デバイスとモジュールの2つがあります。このうちデバイスでは、ある程度の利益率が確保できていますが、より付加価値が高いモジュールでは改善の余地があります。たとえ売り上げを5割増やすことができても、固定費が5割増えてしまっては利益が出ません。グローバルで重複した取り組みの1本化など、間接部門も含めた生産性の改善を推し進め、グローバル規模で事業を最適化します。これを達成できれば、企業としていちだんと成長できます。

HAPTIC™に成長の兆し

――2016年には、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)など、市場で新しい息吹が感じられました。

栗山 私たちは、VRやAR、腕時計型やメガネ型のウエアラブル機器などを、スマホと同じ領域と捉え、広義での「モバイル」として戦略を立てています。2018年までに、このモバイル市場で2000億円の売り上げを目標に掲げ、車載市場と並ぶ2本柱に育てます。

 例えば、VRには私たちの強みが生きる領域が確実にあります。消費者の眼は、ヘッドマウント・ディスプレー技術に向きがちですが、良質なVR体験には高度なコントローラーも欠かせません。単なる入力用としてだけではなく、例えば操作した際の感覚をコントローラーを通してユーザーへフィードバックすることで、今までになかった体験ができるようになります。こうした分野では、当社のフォースフィードバック技術「HAPTIC™」が生きてきます(図1)。

図1 CEATEC JAPAN 2016で注目をあびるIoT Smart Module(左)とハプティック®トリガープ ラスのデモンストレーション(右)
[画像のクリックで拡大表示]

 HAPTIC™は、これまでのクルマの操作ダイヤルやゲーム機向けに加えて、VRやARとともにスマホにも広がる機運が出てきました。実際、さまざまな機器でタッチ入力が普及するなか、多くの機器メーカーに採用いただいています。視覚、聴覚に「触覚」を加える「HAPTIC™」。アルプス電気のHMIでの新たな価値とすべく、現在、注力しています。

IoTビジネスが像を結び始めた

――IoT関連の市場ではどのような取り組みをしているのでしょうか。

栗山 IoT関連のビジネスでは、これまでのお客様とは違ったさまざまな分野の方々とオープンイノベーションを進める必要があります。アルプス電気は、これまでにも数多くの事案を通じて、通信事業者、クラウドサービス事業者、農業や建設、医療といった各応用分野のサービス事業者とコラボレーションしてきました。こうした経験を通じて、目指すべき具体的なビジネスモデルが徐々に像を結び始めています。

 IoTシステムでは、センサーで取得した情報をクラウドに上げ、解析し価値あるサービスを生み出します。このすべてをアルプス電気ができるわけではありません。データを取得し確実に伝送する、いわばIoTにおけるゲートウエイ部分が私たちの役割です。

 一方、IoTの応用市場には、業界のガリバーは存在しません。小さな事業者が、多様なサービスを提案している状況です。しかし、応用範囲は多種多様ですが、それぞれで求められるデバイス、技術には大きな違いはありません。3つの技術の強みを適切に組み合わせて、広い分野のお客様が求める価値に仕上げ、提供します。

 こうした新市場でのビジネスの定着には、一定の時間がかかるかもしれませんが、着実に伸ばしていきます。

――成長が望める明るい市場を多く持っていますね。

栗山 既存のビジネスを広げ、同時に新しいビジネスも育てていくためには、相応のリソースが必要になります。しかし、売り上げに合わせ無尽蔵に増やしたのでは、利益を生み出せません。新卒や経験者採用の強化を図りながら、限られたリソースで最大のパフォーマンスを創出する。このための人材の育成は喫緊の課題です。

 また、過去3年間、業績は右肩上がりでしたが、今後も堅調な成長が続くとは考えていません。すべての社員が危機意識を持ち、自ら考え、行動することをさらに促すよう、8次中計の行動指針に「Vigilant」という言葉を盛り込みました。

 「技術」のイノベーションとともに、「価値」のイノベーションを生み出すことが市場を広げるうえで、とても重要になっています。その意味でも、私たちは常に危機意識を持ちながら、次の時代に向けた価値を生み出し続け、共に成長していきたいと考えています。

お問い合わせ
  • アルプス電気株式会社
    アルプス電気株式会社

    〒145-8501 東京都大田区雪谷大塚町1-7

    TEL:03-3726-1211

    URL:http://www.alps.com