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日経テクノロジーonline SPECIAL

自社工場でIoTを実証実験、パートナーとも提携し、ユーザー目線のソリューションを提供

通信や産業・計測などの分野に向けた、高性能アナログ半導体を中心とするソリューションで強みを持つアナログ・デバイセズ(ADI)。日本では、オートモーティブの領域でも着実に実績を積んでいる。また、産業、ヘルスケアなどの領域で加速するIoT活用の動きに応える準備にも余念がない。同社 代表取締役社長の馬渡修氏に、2016年の事業状況と2017年以降の展望、注力点を聞いた。

――2016年はどのような年でしたか。

馬渡 2016年度のワールドワイドでの売り上げは、前年度比で横ばいでした。ADIでは、「オートモーティブ」「ヘルスケア」「コンシューマー」「インダストリー」「通信」のセグメントに注力していますが、近年市場開拓に注力してきたオートモーティブの新規受注が順調で、2020年以降に向けた商談が進みました。日本ではこの分野は2ケタ成長となり、成長軌道に乗ったと感じています。元々はエアバッグ向けの加速度センサーから参入した市場ですが、今ではインフォテインメント向けのコンバーターやDSP、ハイブリッド車や電気自動車のパワートレイン系での電力管理などへと拡大しています。

 ヘルスケアも好調でした。医療画像処理装置市場は日本企業がリードしており、お客様の成長に貢献すべく、特徴のある製品を開発しています。

 一方、通信とインダストリーの領域は伸び切れませんでした。日本では、携帯電話の基地局などに向けた製品が、設備投資の減速の影響を受けました。同じ通信関連でも光通信関係の設備投資は順調で、データセンターの増強にかかわる投資が継続しています。この傾向は、2017年以降も続くと見ています。インダストリーは、中国での設備投資抑制の影響で、2016年春までは関連製品の売り上げが落ちましたが、現在は回復しています。

――オートモーティブでは、応用が広がっているのですね。

馬渡 ADIでは、オートモーティブの市場に向けて、クルマに新たな価値をもたらす技術や製品を積極的に投入しています。例えば、独自の車載オーディオバス技術「A2B®」をFord Motor社が採用しました。クルマの軽量化や燃費改善に貢献できる業界標準となり得る技術であり、日本のクルマ関連メーカーにもそのメリットを紹介しています。また、クルマの電子化が進むにつれ複数の電源系統が使用され、それらを安全につなぐ絶縁技術も必要になっています。ADIでは、フォトカプラーに代わる絶縁技術としてiCoupler®製品を独自開発しました。磁気による絶縁方式によって高信頼性、高性能、低消費電力化などを実現します。

自社工場でIoTの実証実験

――あらゆる産業領域で、IoTを活用する動きが活発化しています。

馬渡 日本では、インダストリーの領域でIoTを活用する動きが活発です。工場の製造装置にセンサーを取り付けて、故障予知などへの活用が進んでいます。ADIでは2年ほど前から、アイルランドやボストンの自社工場に故障予知システムを実装し、品質や生産性の改善に努めています。いわば自らIoTの実証実験を行い、お客様にノウハウとして提供することを目指しています。

 また、産業用Ethernetや機能安全に関連した製品にも期待しています。既に自己診断機能を内蔵したA-Dコンバーターを市場投入しており、多くの引き合いをいただいています。

時代の要請に応える知見と体制

――IoT関連では、どのような市場に注目していますか。

馬渡 前述のスマートファクトリーに加え、ヘルスケアや、スマート農業、スマートインフラなども注力分野です(図1)。たとえば農業では、“Internet of Tomatoes”と称するプロジェクトを推進中で、これは高品質なトマトを継続的に収穫するための最適な環境条件を探る試みです。農家と提携するほか、ボストン郊外の自社敷地内にトマト農園を作り検証を続けています。スマートインフラやスマートシティ、スマートビルディング向けに有望なのは、2016年3月に買収したSNAP Sensor社の技術です。光量が少ない環境でも正確に画像を検知するもので、弊社のBlackfin®プロセッサーを活用した低消費電力の画像処理アルゴリズムBLiPと合わせて人感センサーや物体認識などへの応用が期待されます。

図1 アナログ・デバイセズが注力するIoTアプリケーション
[画像のクリックで拡大表示]

 私たちは従来、高精度なセンサーやデータ変換IC、パワー効率と信頼性に優れた通信ICを提案してきました。これらに加え、セキュリティーを向上させるソリューションや、データ解析するためのソフトウェアやアルゴリズムまで提案することで、ユーザーのニーズを満たすより強力なIoT ソリューション・ベンダーになることを目指しています。近年M&Aやパートナーシップを積極的に進めていますが、それらのほとんどがIoTに関連するものです。

 例えば、2016年8月には、不正なアクセスからIoT関連機器を守る技術を保有していたSypris Electronics社のサイバーセキュリティー部門の買収を発表しました。また、10月にはセキュリティーとエネルギー効率を向上させる超低消費電力マイコンを、ARM社と共同開発するパートナーシップも結びました。

 日本には、IoT関連に限らず、多様なニーズを持った多くのお客様がいます。私たちは、デジタルマーケティングを一層強化して、より多くのお客様にソリューションを紹介し、タイムリーに届けられる仕組みを整えていきます。また、日本のお客様の多くは、代理店を通じた手厚い対応にも価値と安心感を得ています。このため、サポート部隊の充実も図っていきます。

――2017年には、Linear Technology社との統合が控えています。

馬渡 まだ当局の承認を待つ段階ですが、順調に進めば2017年前半に手続きが完了する見込みです。この合併によって電源系の製品が強化され、より豊富になった製品ラインアップを背景にした、より高付加価値のソリューションを提供できるようになります。

 ADIは「AHEAD OF WHAT'S POSSIBLE™ 想像を超える可能性を」というスローガンを掲げています。ADIだからこそ提供できるイノベーティブなソリューションを提供することで、お客様が目指すイノベーションの実現に貢献していきます。

お問い合わせ
  • アナログ・デバイセズ株式会社
    アナログ・デバイセズ株式会社

    〒105-6891 東京都港区海岸1-16-1
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    TEL:03-5402-8200

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