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自動運転時代を見据えてツール強化で対応、ロボット開発支援など新分野にも展開

クルマの先進運転支援システム(ADAS)は、将来の自動運転車の実現に向けたアプローチとしても注目され、システムの高機能化が進んでいる。そのADAS開発にもはや不可欠とされるのが、モデルベース開発だ。ツールの代表的ベンダーであるdSPACEの宮野隆社長は、ADAS開発の複雑化にツールの機能強化で対応していく一方で、パーソナルロボットの開発にもモデルベース開発を普及させていく方針を示した。

――モデルベース開発が広く活用されている自動車業界では、ADASのブームに沸いた2016年でした。モデルベース開発ツールの代表的ベンダーとして実感はいかがですか。

宮野 確かに2016年はクルマの自動運転が大きな話題になり、ADASの開発がさらに加速した年でした。安全性を高めるADASは、クルマの走行状態や周囲の環境などあらゆる組み合わせを検証します。膨大な検証結果を紙の仕様書に落とし込み、その機能をECU(電子制御ユニット)のプログラムにすべて反映させるのは至難の業です。そこで紙の仕様書と検証環境を一体化し、モデルを使うのがモデルベース開発です。さらに当社のモデルベース開発ツールでは、作成した仕様(モデル)から自動的にコードを生成できるため、設計からコーディングまで一貫した開発支援が可能です。

 ADASは高機能化が進展しています。背景にあるのが安全性に対するユーザーの高い関心です。自動車のアセスメント「JNCAP」の安全性評価ポイントを上げるためには、衝突を単に回避するだけでは足りません。ドライバーに違和感を感じさせることなく衝突回避するなど、高度な制御が必要です。

 これを実現するために自動車メーカーは、さらに多くのセンサーやカメラをクルマに搭載しようとしています。センサーの数は数倍に増え、中にはレーダーを2個から8個に増やす事例も出ています。当然ながらデータの容量も増え、開発の複雑性が増すとともに、システムには大量のデータを高速に処理するパワーが求められます。

――するとモデルベース開発環境も、複雑化に耐えられる機能強化が必要になってきますね。

宮野 ソフトウエアをシミュレーションする機器の機能強化を予定しています。具体的には、ラピッド・コントロール・プロトタイピングを行うハードウエア「MicroAutoBox」について、CPUのマルチコア化やGPU、FPGAなどの搭載で処理機能を高めたモデルを、2017年春に投入する計画です。シミュレーターの「SCALEXIO」も、搭載ボードのアップグレードを行う予定です。

 またシミュレーション環境の強化も進めています。その一つとして仏Intempora社と提携し、同社のソフトウエア環境「RTMaps」をグローバルで独占的に供給することにしました(図1)。RTMapsはさまざまなセンサーからのデータに正確なタイムスタンプを付け、記録・再生を可能にするツールです。当社のツールと統合することで、ADASに必要な画像処理機能を効果的に検証できます。

図1 RTMapsを使用したADASソリューション:車線逸脱警報(LDW)システム応用例
[画像のクリックで拡大表示]

 もっとも、シミュレーション環境が高度化しても、実機の検証が完全に不要になるわけではありません。しかしさまざまな運転パターン、道路環境での膨大な組み合わせのテストケースを検証することは、もはやシミュレーション抜きには不可能です。コストも時間も掛かる実機検証を最小限に抑えるのに、モデルベース開発は有効です。

――新たにモデルベース開発に取り組む技術者もさらに増えそうです。

宮野 当社は毎年6月にユーザーカンファレンスを開催していますが、2016年は初めてモデルベース開発初心者向けのセッションを設けました。30~40名ほどの参加を見込んでいたのですが、実際は100名以上のユーザーに参加していただき、モデルベース開発への潜在的なニーズを改めて実感したところです。

 従来のモデルベースはパイロット的な採用が多かったのですが、今は量産のプロジェクトでも採用されるケースが出てきました。その典型が、2015年末に発売された新型プリウスの制御設計の開発プロジェクトです。量産でモデルベース開発が使われるようになると、モデルベース開発に慣れた技術者がさらに必要になります。そのためにも新規ユーザーへの支援は重要です。

利用シーンが複雑なロボット

――自動車以外の分野にはどのような取り組みをお考えですか。

宮野 ロボットの開発環境として、モデルベース開発を提案していく方針です。ロボットの中でも、特に人間の生活を支援するパーソナルロボットの開発に、モデルベース開発は効果的と考えています。

 工場などで使われる産業用ロボットは決まった動きを繰り返すのに対し、パーソナルロボットは相手や場面によって求められる働きがすべて異なります。さまざまなケースを組み合わせて利用シーンをいくつも想定して、それぞれに適切な動きを定義して検証し、システムに反映させることで、安全性を保ちながら目的の機能を提供できるようにしなければなりません。その開発手順は、まさにクルマの制御システムと同じです。

 複雑で巨大なシステムを検証する作業は、クルマ同様にパーソナルロボットでも大きな負担となるでしょう。当社が自動車分野で培ったモデルベース開発のノウハウは、パーソナルロボットの開発でも生きてくると考えています。

 モデルベースによるロボットの開発支援は、グローバルで事業を展開する当社の中でも日本法人が独自に手掛けようとしているものであり、日本法人でもまだ構想レベルです。しかしロボットは日本のメーカーが特に強い分野の一つです。大学や研究機関などと連携しながら、パーソナルロボットで日本のメーカーが存在感を発揮できるよう支援していきたいと思っています。

――グローバル一辺倒ではなく、日本の強みを踏まえた独自の取り組みも進めていくわけですね。

宮野 当社は設立10周年を機に、日本法人としてのミッションを再定義しました。その中で「日本のお客様の“やりたい”を実現します」と宣言しています。国際標準への迅速な対応など、グローバルなベンダーならではの事業を推進する一方で、当社も日本の企業の一つとして日本の業界に合わせたソリューションを展開し、日本の産業界に貢献していきたいと考えています

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