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オートモーティブ市場の開拓に大きな手応え “尖った技術”で日本企業の価値創出に貢献

クロック信号を供給する半導体で強さを誇る米Integrated Device Technology,Inc.(IDT)が、ターゲット市場を大胆に変えつつある。狙うのは、オートモーティブ市場と同社独自のパワーマネージメント技術が生きるオフィス機器市場だ。数多く保有する他社にはない先進的な技術を生かし、顧客となる日本企業の半導体や電子部品が世界市場で戦うための武器を提供していくという。これからの注力事業について、日本アイ・ディー・ティー社長の迫間幸介氏に聞いた。

――2016年の事業はいかがでしたか。

迫間 2016年第1四半期までの直近2年半、右肩上がりで成長し続けてきました。ところが、第2 四半期にブレーキがかかり、ほぼ横ばいとなりました。それでも粗利は60%以上、営業利益は26%と高水準を維持しています。

 実は、2016年は第2 四半期から第4 四半期にかけて厳しい状況になることは織り込んでいました。2016年は、2018年以降の実績となる新しい領域での事業開拓に注力した戦略を採ってきたのです。その結果、将来に向けて、極めて明るい見通しを持てる成果が得られたと考えています。

去る市場は追わず、未来を開く

――厳しい状況を想定した背景は。

迫間 IDTは、パソコンなどでクロック信号を供給するタイミング製品を中心事業に据えたビジネスをしてきました。一時期は、パソコン中のクロックジェネレーターは、IDTの独占状態でした。ところが、SoCやマイクロプロセッサーなどの中でクロック信号を作るPLLが集積され、今ではノート型パソコンにはクロックジェネレーターの搭載はなくなりました。

 もちろん、PCI Expressのような用途では、今でも高性能なクロックジェネレーターが求められ、当社製品が高いシェアを占めています。しかし、普及商品であるパソコンに搭載されなくなってきたわけですから、大きな成長は望めません。IDTでは、技術トレンドの変化に伴う変化に逆らっても得るものはないと考えています。私たちの技術的な強みが生きる、新しい市場を開拓する方が重要です。

――では、どのような新市場の開拓に取り組んでいるのでしょうか。

迫間 最も注力しているのが、オートモーティブ市場です。2015年に自動車用半導体メーカーとして欧州で豊富な実績を持つドイツのZMDI社を買収しました。その効果が早くも現れています。日本の自動車業界では、IDTの知名度は正直高いとは言えない状態でした。ところが、欧州の自動車メーカーや電装メーカーが、ZMDI社の製品を使っていることを日本企業も知っていたため、その知名度を名刺代わりに日本市場に入ることができました。

 加えて、ここ2年ほど注力していたパワーマネージメント関連製品が成長軌道に乗ってきました。世界的に伸びている、データセンターで使うストレージ向けや多機能プリンター向けで採用が広がりました。最近のデジタル製品は電源仕様や内部構造が複雑なので、パワーマネージメントデバイスによる効率的な電源管理が可能となるからです。

ZMDI買収の効果は絶大

――車載半導体は、極めて高い品質が求められる、新規参入しにくい分野です。IDTに素地はあったのでしょうか。

迫間 IDTには、この分野ではナビゲーションシステムにクロック関連製品が採用された実績がありました。とはいえ、それほど厳しい品質が求められていたわけではありません。

 しかしこれからは、ZMDIが扱っていたエンジン周りで使うトルク、温度、ガスなどを計測するセンサー、先進運転支援システム(ADAS)を構成する部品やECUのパワーマネージメントに関連した製品など、クルマの中核部の半導体を供給します(図1)。当然車載グレードが求められます。長年、厳しい品質要求に応えてきたZMDIの生産・品質管理・技術支援などのノウハウを獲得できたことは、IDTにとって新しい武器になっています。

図1 オートモーティブ市場でのIDT製品の応用
[画像のクリックで拡大表示]

 お客様との商談では、既に大きな手応えを感じています。ただし、日本の自動車業界のお客様の信頼は、これから得ていく必要があります。

――パワーマネージメント関連では、どのような技術を訴求していくのですか。

迫間 IDTのパワーマネージメント製品は、プログラムを書き換えることで、さまざまなタイプの電力制御に対応できます。機器メーカーは、ハードウエアを1回開発すれば、さまざまな機種に展開できるため、早期市場投入とコスト削減が可能になります。また、システム構成に応じて電流供給能力を拡張できる「Distributed Power Unit(DPU)」と呼ぶ技術を保有しており、発熱を分散させることもできます。

 こうした特徴は、マイコンで制御している産業機器や医療機器などにも応用が広がる可能性があります。

日本企業と共に世界で戦う

――独自性の高い技術ですね。

迫間 IDTは、先進的な技術を提供することで、イノベーションの創出に貢献していく会社です。他にはない特徴を持った技術を数多く保有しています。

 シリアルインターフェース技術「Serial RapidIO(SRIO)」に対応したIDTのスイッチ製品を使うことで、リアルタイム性の高いメッシュ型ネットワークを構築できる特徴が、5G対応の基地局や産業システムの分野で生きると考えています。

 こうした独自技術を生かしたチップは、機器メーカーだけではなく、マイコンメーカーや電子部品メーカーなどにも提供して、顧客製品の価値を高めるために利用していただいています。

――ユーザーの幅が随分広いですね。

迫間 日本には世界市場を席巻する強い電子部品メーカーがたくさんあります。こうした強い日本企業にIDTの独自技術を活用してもらい、海外の大市場に乗り出していきます。ワイヤレス給電では、IDTがリファレンスキットを開発し、携帯電話のメーカーと一緒に普及を後押ししていきます。

 2016年は、IDTにとって、“オートモーティブ元年”と呼べる年でした。さらなる飛躍に向けて、尖った技術を一層尖らせて、お客様と共に新しい市場を切り開いていきます。

お問い合わせ
  • 日本アイ・ディー・ティー合同会社
    日本アイ・ディー・ティー合同会社

    〒105-0012
    東京都港区芝大門1-9-9 野村不動産芝大門ビル6 階

    TEL:03-6453-3010

    URL:http://www.IDT.co.jp/