• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
日経テクノロジーonline SPECIAL

成長戦略とものづくり改革を具体化し、時代の要請に応える製品を提供していく

10年ぶりに社長が交代したグローバル電子部品メーカーのTDK。スマートフォン、自動車、産機などあらゆる電子機器向けの電子部品やHDD用磁気ヘッド、バッテリーなど、IoT市場に欠かせないデバイスを次世代戦略製品として強化し、果敢なM&Aを進めて新たな成長路線を準備してきた。いよいよ、構想を具体化に移すフェーズを迎えての社長交代となった。同社代表取締役社長の石黒成直氏に、新社長としての取り組みと、急激な市場の変化にどのように挑むのか聞いた。

――2016年を総括してください。

石黒 おかげさまでTDKはここ数年、業績を伸ばすことができております。2015年3月期に初めて売上高1兆円を突破し、2016年3月期にはさらに更新することができました。しかし、昨今の円高傾向などにより、2017年3月期に関しては、余談を許さない状況にあると考えています。第2四半期を終えた時点で通期予想では、売上高は前年比1.1%減、営業利益は18.6%減を見込んでいます。これは、円高による為替影響に加え、受動部品の市場であるスマートフォンの成長鈍化と、ICT分野のHDD市場の需要動向が不透明であるためです。

 その一方で、自動車や産業機器などでのIoT関連機器市場の拡大に向けた取り組みや、戦略成長製品における事業展開や、ものづくり改革に向けた布石を打つことができて、将来への道筋を明確に示すことができた1年でした。

――社長に就任し、これからどのようなことに取り組まれるのでしょうか。

石黒 2つのミッションに取り組んでいきます。

 ひとつは、上釜前社長が構想して着手した成長戦略を完成させ、計画を実行に移すことです。確かな成長には、市場の動きに合致した事業が欠かせません。

 現在、総売上高に占めるスマートフォンやサーバーなどICT製品向け部品事業の割合は小さくありません。特定の分野に偏ることがないようにするためにさらなる成長が期待できる自動車向けを現在の17%から30%へ伸ばします。その結果、ICT向け製品分野の売上比率はダウンしますが、同時に、成長の伸びしろが大きいエネルギーユニットなどの新たな領域の製品を生み育てます。

 もうひとつは、収益力の向上です。原価率や固定費の妥当性の検証などを進め、収益率を高める取り組みを推し進めます。既に、インダストリ4.0の考え方と、TDK独自のゼロディフェクトの追求を相互補完する新しいものづくり改革を掲げ、取り組みを始めています。この活動をさらに推進し、無駄をなくし、付加価値の高い製品を作る体制を構築していきます。

時代の要請に応える事業を創出

――成長戦略の中では、どのような製品に注力していくのでしょうか。

石黒 ご承知のとおり、2016年1月に、米クアルコム社と合弁会社の設立、協業拡大を行うことで合意しました。これに伴い、TDKの次の成長の柱として、3つの戦略成長製品を決め、IoT市場での成長拡大を図ることにしました。具体的には、「センサー・アクチュエータ」「エネルギーユニット」「次世代電子部品」の3つです(図1)。

図1 TDKのIoT市場に向けた戦略成長製品
[画像のクリックで拡大表示]

 センサー・アクチュエーターでは、まず、アクセルペダルやハンドルの角度を検知する車載センサーに力を入れます。自動運転時代の到来が迫り、車載用センサーの需要は必ず増すとみています。

 磁気センサー事業は、社長に就任する前から直接指揮していた分野であり、既に成長の起点となる布石を打っています。2015年12月にホール素子などに強みを持つMicronas Semiconductor Holdings(ミクロナス社)を買収しました。TDKでは、HDDヘッドの技術であるトンネル磁気抵抗効果(TMR)を生かした、高信頼性、高感度、高精度の角度センサーや電流センサーなどを量産しています。ミクロナス社を傘下にしたことで、磁気センサーの強化を図り、自動車業界のユーザーが望むデジタル信号を出力する製品を提供できるようになりました。

 今後は、ホール素子とTMR素子を組み合わせた独自の新製品も提供していきます。また、民生機器への展開や、周辺部品を集積してモジュール化した製品の開発・投入にも挑戦します。

――センサー以外でも、TDKの強みと外部企業の強みをうまく合わせて、時代の要請に応えている様子が見えます。

石黒 エネルギーユニットでは、電池や電源、電気自動車などの高効率化に寄与するDC-DCコンバータ、充電器の事業をしています。近年では、電気自動車向けの非接触給電システムの研究開発、実用化にも取り組んでいます。この分野でも、転機となる布石を打ちました。2016年9月に東芝と共同で、車載用インバータの開発、製造、販売を行う合弁会社、「TDKオートモーティブテクノロジーズ」の設立で合意。東芝の高度な車載用インバータ技術を生かして、車載のパワーユニット向けの多様な要求に応えられるよう目指します。

 次世代電子部品では、TDKが得意な薄膜技術を生かして、新しい電子部品を創出していきます。また、電子部品のモジュール化も加速させて、電子機器の小型・薄型化に寄与するIC内蔵基板技術「SESUB」を生かした新製品を積極的に投入していきます。

ものづくり改革の起点はできた

――成長戦略は具体化に向けて、着々と進んでいるのですね。収益力の向上に関してはいかがでしょうか。

石黒 世界中の工場にものづくり改革を展開するための拠点が完成しました。秋田県の本荘工場敷地内の「本荘工場東サイト」と、にかほ市の稲倉工場敷地内の「稲倉工場東サイト」です。いずれも、生産技術と品質向上を磨くマザー工場になります。

 本荘工場東サイトでは、積層チップ部品の開発、設計および製造を、稲倉工場東サイトでは、フェライト材料とフェライトコアの開発、設計、および製造をしていきます。

 創業から80年間、TDKは磁性材料の特徴を生かした製品を、素材とプロセスの開発から手掛け、製品まで一貫して作ってきました。TDKの磁性に対する強い思いと、素材技術での強みは、今後の新製品、新事業を進めるうえでも競争力の拠り所であり続けます。磁性という揺るがないコア技術と、M&Aなどで得た新しいリソースを生かしてTDKは時代の要請に応える製品を提供し、グローバル市場の厳しい競争に勝ち抜いていきます。

お問い合わせ
  • TDK 株式会社
    TDK 株式会社

    〒108-0023
    東京都港区芝浦3-9-1 芝浦ルネサイトタワー

    TEL:03-6852-7300

    URL:http://www.tdk.co.jp/