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日経テクノロジーonline SPECIAL

「かもしれない運転」が製品開発を成功へ

 いまや製造業は規模の大小を問わず、グローバルに展開された多くの取引先と密接な連携を取りながら、製品の開発/生産/販売を行っている。製品開発に関していえば、新機能の追加やコストダウンを重ねながら短期で開発しなければならず、しかも少量多品種生産に向けた対応が求められる。そんな複雑な条件下で、製品開発プロジェクトを予定通り成功に導くのは、苦労の連続以外のなにものでもない。

 不幸にも製品開発プロジェクトが失敗に転じてしまうのは、多くの関係者や離れた拠点が連絡を取りながら進めていると起きやすい。いくらメールやビデオ会議が利用できても、設計データが古かった、相手の稼働日がこちらの休日だったなど、至るところにトラップが潜んでいる。依頼した業務が順調と思われていたのに、実際は相手が別の案件のトラブルで工数を取られていて、進んでいなかったと後から判明する例もある。

現場は不安を抱え、管理者はそれが見えない

運転中に何か起こる「かもしれない」という気持ちでいることが、プロジェクト管理でも問われる

 プロジェクトメンバーの立場から見ると、不安を抱えながら作業を進めているのが当たり前。問題が顕在化すると叱責され、そして過度な残業を続けてトラブルを解決するといったことが繰り返される。そして、プロジェクトマネージャーの立場から見ると、カンと経験でトラブルを予見し、余裕を持った周到な計画を立てたはず。しかし、全体の進捗を見守るうちに、現場からは予想もつかない問題が持ち上がり、しかもある日突然知らされ、歯ぎしりする。

 そんなことにならないため、プロジェクトを成功に導くために、プロジェクト管理システムというものがあるはずだ。ほとんどのプロジェクト管理システムは、プロジェクトを複数のタスクに分割し、時間軸の中にリソースを配置していく。そして進捗状況を数値で見せたり、急な予定変更を即座に反映できたりというのが基本機能である。

 しかし、それだけでは不足しているからこそ、失敗に転落するのではないだろうか。見えていることを見える化するだけでなく、プロジェクトメンバーが抱える「見えていない不安」を見える化してこそのプロジェクト管理システムではないだろうか。

 プロジェクトマネージャーはそうでなくても仕事がたくさんある。「個々のタスクの進捗を把握する」「その結果を役員や他部門に報告する」「トラブルに見舞われたメンバーの助っ人に入る」「責任者として交渉事に駆り出される」――といった具合だ。そこへ、プロジェクトメンバーの不安要因まで聞き取りをするのは、「仕事が増えるだけ」「信頼関係を損なう」「そもそも不安なんか出てこない」「ガンバリマスと言われるだけ」とネガティブな考えが湧いてくる人もいるだろう。

 ちょっと視点を変えて、プロジェクトマネージャーを「自動車の運転手」に見立ててみよう。運転手というのは、ただアクセルを踏みっぱなしにするのではなく、「カーブを曲がり切れないかもしれない」「路地から子供が飛び出して来るかもしれない」「前方を走る車が急ブレーキをかけるかもしれない」「合流した道路の先が混んでいるかもしれない」という、「かもしれない」ことを想像しながら運転する。プロジェクトマネージャーも、なにかしらの危険が起こるかもしれないと想像しながらプロジェクトを管理するはず。その時の手立てとして、「不安要因の見える化」がプロジェクト管理システムに備わっていてほしいと思うのだ。