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日経テクノロジーonline SPECIAL

ITで変わる日本のものづくり

スペシャルトークライブ 「日本の美・技術・品質を世界の舞台へ」
-オリンピックのオフィシャルサプライヤーの座を勝ち取ったものづくり企業の挑戦-
材木店から五輪サプライヤーへ 「信念」が日本のものづくりの強み

三英 代表取締役社長 三浦慎氏
<聞き手>ジャーナリスト 福島敦子氏、右はリオ五輪で公式採用された卓球台

 三英はもともと材木店として創業されたそうですが、なぜ自らメーカーとなり、五輪で使用する卓球台のオフィシャルサプライヤーにまで至ったのでしょうか。

 卓球台は実は一枚板ではありません。一枚板ではどうしても反ってしまうためです。「反らない方法はないか?」と相談を受けて、従来の角材を貼り合わせて作った板から独自の合板を作ったのが最初でした。

 五輪のオフィシャルサプライヤーには厳しい品質基準が課せられます。卓球台の場合、反りは3mm以内、80kgの荷重をかけても5mm以内という基準があるほか、ボールを300mmの高さから落としたときに跳ね返る高さのバラツキが、台全体で2mm以内という基準があります。リオ五輪に提供した卓球台は脚部も木材なのですが、台の振動時にそれがスプリングになってしまい、振動が残る問題が試作で明らかになりました。脚部の板厚を上げることで対応しましたが、その改善だけで2年かかりましたね。

 当社が五輪のオフィシャルサプライヤーを務めたのは、リオが2度目です。当社は国内ではOEM含めて75%超のシェアを持っており、国内でこれ以上の大きな伸びは期待できません。ならば海外に打って出るしかない。それには五輪は最高の舞台と考えたのです。実際のビジネスへの波及効果はこれから期待するところですが、卓球は五輪の公式競技になった1988年ソウル五輪以降、競技人口が拡大し、今回のリオ五輪を境に、再度拡大傾向になったと言われています。その波を取り込みたいと思っています。

 三英の強みはどこにあると社長ご自身はお考えですか。

 卓球用品メーカーは選手をテスターとして雇用することが多いのですが、当社は敢えて雇用していません。選手を社員として雇うと、その選手の好みに合った製品ができてしまうからです。世界選手権などでは、特に負けた選手が台に対してクレームをつけることがあるのですが、標準にこだわる当社はそうしたクレームを受けたことはありません。

 卓球台メーカーは中国などにもあります。しかし中国のメーカーの台を見ると、「なぜここがこんな形状になっているのだろう?」など不思議に思う時があります。おそらく細かい理由をよく知らないまま作っているのでしょう。一方、日本のメーカーのものづくりには「信念」があります。長い時間をかけてノウハウを積み重ねてきているので、学んできたものが違うのです。そこが日本のものづくりの強みなのだと思います。

「海外に出るのは楽しい」

 五輪をきっかけに海外での事業を拡大させるとのことですが、特に中小メーカーは海外展開に躊躇する傾向もあるようです。

 個人的には海外に出るのは楽しいと思っていますけどね。うまく行かないことは確かに多いのですが、楽しいものですよ。

 以前、ドイツのある大手スポーツ用品メーカーに卓球台をOEMする機会を得た際、ロットが大きいこともあって少々高めの見積もりを提示しました。案の定「高い」と突き返されたのですが、こうも付け加えられました。「三英の品質だからこの価格になるのも理解できるが、当社の価格戦略に合わない。品質を10%下げてもいいから価格を30%下げてくれ」と。

 私は悩みました。何をすれば品質を10%落とすことになるのか、分からなかったのです。そこで重機メーカーの知り合いに聞いてみたところ、彼は「それはドイツメーカーがよくやる手段」と言います。日本メーカーにそう持ちかけると、品質そのままで価格だけ下げてくるだろうと踏んでいるというのです。

 彼に「じゃあどうすればいい?」と聞くと、彼は「三英の考える100%品質はこういうもので、それを落としたらこうなりますよ、と説明すればいい」とアドバイスしてくれました。私は彼の言うとおりにそのドイツメーカーに説明すると、メーカーは納得していただき、価格はそのまま受け入れられたのでした。

 2020年の東京五輪も、既に三英はオフィシャルサプライヤーとして決定していますね。

 東京五輪に提供する台は、既にデザインは完成しています。五輪の前年に行われるテストイベントで披露する予定です。それまでは秘密なんです。

 今後挑戦したいこと、展望についてお聞かせください。

 基本的には楽しい仕事、つまり創造的な仕事がしたいと考えています。創造的というのは3つあって、「前例、規範がないことをやる」「気持ちが前向きなものをやる」「誰かに認められることをやる」というものです。

 米国では、企業の休憩スペースやバーなどに卓球台が置かれるケースが増えています。そうした環境にもマッチするような卓球台を作り、さらにこんなにかわいいラケットケースがあるならピンポンやってみよう!とか卓球の楽しさを伝えながら、卓球人口を増やしていく。そんな活動をお手伝いしていきたいと考えています。

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