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日経テクノロジーonline SPECIAL

車載向けNANDフラッシュをWDが開発

クルマの進化に伴って一台当たりが扱うデータ量は増加を続け、いわゆる「コネクテッドカー」の時代には1テラバイト程度のストレージ容量が必要になると予測されている。現行のストレージ容量のままでは大量のデータ、大量の書き換え回数要求に対して対応できず、未来のクルマの安全運行にも支障が出かねない。そこでストレージ技術やソリューションを提供するグローバルリーダーである Western Digital(WD)は、車載向け組み込みフラッシュドライブの新製品「iNAND 7250A」を開発。ストレージ調達に“走る”自動車メーカーから多くの問い合わせが寄せられているという。

◆進化するクルマに高まるストレージの需要

Western Digital
オートモーティブマーケティング ディレクター
Russell Ruben

 クルマは今や情報機器として進化を続けており、様々な機能がデジタル的に処理されるようになってきた。今までは主にインフォテイメントのデータだったが、搭載されるセンサーの増加も一因となって、ECU(エンジンコントロールユニット)が扱わなければならないデータ量も増大の一途をたどっている。将来、通信によって外部の情報インフラやサービスと連携を図るいわゆる「コネクテッドカー」の時代になれば、「データの爆発的増加」が起こるとも予想され、これを保存すべき車載ストレージが求められている。

 具体的な用途としては、センシングや人工知能、高精度3Dマップ情報などで構成される自動運転処理、デジタルメータークラスター、テレマティクスゲートウェイ、通信を介してECUソフトウエアを更新するOTA(Over-the-Air)、V2X(車車間通信/路車間通信)、先進運転支援システム(ADAS)、飛行機のフライトレコーダーに相当するドライブレコーダーなど――。いずれも大容量データを扱う機能で、今後次々と搭載されるといわれている(図1)。

図1. NAND型フラッシュメモリーの需要拡大を加速するクルマの進化
図1. NAND型フラッシュメモリーの需要拡大を加速するクルマの進化
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 「クルマ1台あたりのデータ量は近い将来に1テラバイトにも達するといわれています。そのような大量のデータを格納するために、大容量を実現できる車載向けNAND型フラッシュメモリーに対する需要が一気に拡大することが見込まれます」と、Western Digitalでオートモーティブマーケティング ディレクターを務めるRussell Ruben氏は述べる。

◆自動車グレードの幅広い温度範囲に対応

 クルマの大きな変化を見据えて、Western Digitalは2017年5月、車載向けの組み込みフラッシュドライブ(EFD:Embedded Flash Drive)「iNAND 7250A」を発表した(図2)。SanDiskブランドにてすでにサンプルを出荷中である。

図2. 車載向け組み込みフラッシュドライブ「iNAND 7250A」
図2. 車載向け組み込みフラッシュドライブ「iNAND 7250A」

 名前の通りNAND型フラッシュメモリーで構成されており、ラインアップされる容量は、8ギガバイト、16ギガバイト、32ギガバイト、64ギガバイトの4品種である。パッケージは半導体業界団体JEDECのeMMC(エンベッデッドマルチメディアカード)v5.1に準拠しており、わずか11.5mm×13mm×高さ0.8mm~1.2mm(容量による)と小さく(図3)、車載エレクトロニクス分野で命題のひとつになっているECUの小型化にも寄与する。

図3. パッケージはわずか11.5mm×13mm×高さ0.8mm~1.2mm
図3. パッケージはわずか11.5mm×13mm×高さ0.8mm~1.2mm(容量による)

 車載向け組み込みフラッシュドライブとして、次のような特長を備える(図4)。車載において重要と言われる高温対応だが、動作温度範囲については、
-40℃~+85℃品(AEC-Q100グレード2)と-40℃~+105℃品(AEC-Q100グレード3)の2種類が提供される。また、リアビューモニターが所定の時間内に起動を速やかに完了できるように高速ブート機能を搭載した。さらに、コールドダンプのような電源電圧の低下に備えて、電源断保護機能も搭載する。

図4. iNAND 7250Aの主な仕様と特徴
図4. iNAND 7250Aの主な仕様と特徴

 データアクセスはeMMCにおけるHS400(400Mバイト/秒)モードに対応。アクセス性能は、シーケンシャルリードは最高300Mバイト/秒、シーケンシャルライトは最高125Mバイト/秒を実現しており、例えばカーナビにおける地図データの高速読み出しのようなアプリケーションだけではなく、ドライブレコーダーにおける逐次書き込みにも余裕をもって対応できる。

◆自社開発による垂直統合で高い信頼性と品質を実現

 なぜ「iNAND 7250A」が、クルマに搭載するための厳しい条件をクリアできるような、信頼性と品質を提供できるのか。実は、Western Digitalがこれまでカーナビや産業用途の分野で培ってきた経験が大きく役立っているという。

 Western Digitalは2015年に第一世代となる車載向けNAND製品(eMMCパッケージおよびSDカード)を発表。カーナビの地図データの格納などに採用されてきた実績を持つ。また、クルマと同様に高い信頼性と品質を求められる産業用途においても多くの顧客事例がある。

 「Western Digitalは、NAND型フラッシュメモリー、フラッシュメモリーコントローラー、およびコントローラーのファームウエアなど、すべてを自社で手掛ける『垂直統合型ビジネスモデル』によって、高い信頼性と品質を担保してきました」とRuben氏は説明する。「また、不良ゼロを目指した製造フローの確立や、AEC-Q100およびPPAP(Production Part Approval Process)への対応のほか、機能安全を定めたISO 26262の不揮発メモリーに関する設計指針の厳守にも努めています」(同氏)。

 具体的には、iNAND 7250A用に新たに開発したコントローラーとファームウエアによって書き換え回数の増加を実現するなどして、MLC(Multi-Level Cell)を実質的に強化。また、iNANDシリーズとしてデータ保持期間は55℃において15年間以上を保証する。加えて、自動車OEMメーカーやサプライヤーに対して長期供給を約束するという。

 こうした向上により、NAND製品に対するクルマメーカーの理解が進んでいるとRuben氏は説明する。「NAND型フラッシュメモリーは、一般に、書き換え回数やデータ保持期間に関する制限や、プロセスの進化による製品世代の刷新が早く長期調達が難しいといったイメージがあるかと思います。iNAND 7250Aはそういった従来のイメージを払拭する製品です」。

サンディスク
シニア ディレクター
ジャパン セールス
加藤 誠

 また日本のオートモーティブ営業を統括する加藤氏は、「従来の対象アプリケーションであるカーナビだけでなく、ADASや自動運転などクルマの根幹的な機能の開発を担当されているお客様からの問い合わせも増えています。NAND型フラッシュメモリーがこの様なCriticalなアプリケーションにも対応が可能になってきていることを知っていただくのが非常に重要です」とも述べている。

 Western Digitalは、売上規模においてストレージ業界のグローバルリーダーであり(図5)、今後もオートモーティブ向けソリューションの開発と提供に積極的に投資を行って、大量のデータを取り扱うコネクテッドカーや自動運転機能など、新しいクルマの実現に寄与していきたい考えだ。

図5.世界のストレージ業界の売り上げ規模
図5.世界のストレージ業界の売上規模
単位は10億米ドル。Western Digital、Seagate、Toshiba、Samsung、Micron、SK Hynixの数値は2016年9月30日までの四半期実績、Intelの数値は2016年10月1日までの四半期実績、NetAppの数値は2016年10月28日までの四半期実績、EMCの数値は2016年6月30日までの四半期実績による。
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