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日経テクノロジーonline SPECIAL

日本のクルマ電動化をパワー半導体で支える

米On Semicondactor社<br>Lance Williams氏
米On Semiconductor社
オートモーティブ戦略担当
Vice President
Lance Williams

――車載半導体分野でのオン・セミコンダクターの実績をお聞かせください。

■Williams  オン・セミコンダクターは、米国の自動車向け電子部品評議会、AEC(Automotive Electronics Council)が定めた品質規格に準拠した、高品質な製品を5000種以上供給しています。2016年の総売上高39億690万米ドルの約34%に当たる13億5000万米ドルを車載半導体で上げています。2004年の車載半導体の売り上げは、わずか9000万米ドルだったことを考えると、まさに右肩上がりの成長を続けているといえます。

 オン・セミコンダクターが車載半導体で急成長しているのは、ADASやアダプティブ・フロントライティング・システム(AFS)など、高度な技術が求められる成長分野で競争力の高い製品を供給してきた成果です。ADAS用のイメージセンサーやAFS用のコントローラーではシェア第1位を誇っています。

――どのような車載半導体を扱っているのでしょうか。

■Williams  応用は、「パワートレイン」「ライティング」「ボディ&インテリア」「アクティブセーフティー」の4つのセグメントに分類できますが、そのいずれでも、オン・セミコンダクターが長年蓄積してきた「パワー・マネジメント」と「車載ネットワーキング」での技術の強みを生かした、価値の高い製品を提供しています。

 売上比率から見れば、トップシェアの製品を持つアクティブセーフティーやライティング、さらにはボディ&インテリアにて実績が豊富な低電圧の電源用パワー半導体を投入しています。さらに2016年9月、フェアチャイルドの買収を完了したことで、次のステップが狙えるようになりました。

パワートレイン向けを強化

――フェアチャイルドの買収で、車載半導体の分野ではどのような効果があったのでしょうか。

■Williams  パワー半導体の品ぞろえが、大幅に強化されました。オン・セミコンダクターでは、耐圧40V以下のパワー半導体を低耐圧品、40~100V品を中耐圧品、100Vを超えるものを高耐圧品として位置付けています。もともと、低耐圧品と中耐圧品は品ぞろえが豊富だったのですが、高耐圧品は手薄でした。一方、旧フェアチャイルドには中耐圧品から高耐圧品の品ぞろえが厚かったため、買収後には全電圧範囲をさらに強化できるようになりました。

 しかも中・長期的な視野から見ると、単に2社の売り上げが足された以上の効果があります。旧フェアチャイルドは、グローバル市場ではパワートレイン向け製品で目覚ましい実績がありましたが、日本のお客様が求める厳格なサポート体制が整っていなかったため、日本市場で成果が上げられない状態でした。これが、日本で着実に実績を積んできたオン・セミコンダクターのサポート体制の活用が可能になり、パワートレインの分野でお客様に対して積極的な提案ができるようになりました。

――日本の顧客にパワートレイン向け製品を提供できる体制が、いよいよ整ったのですね。

■Williams  現在の自動車業界は、パワートレインを内燃機関から電動機関へと移行する、まさに100年に1度の変革期にいます。各国政府は、CO2の排出規制や税制上の優遇などを通じて、電気自動車やハイブリッド車の普及を促進しています。パワートレインの変革が進展していくことは確実です。

 クルマの電動化技術の開発と商品化において、日本の自動車業界は世界をリードするポジションにいます。このため、パワートレインの分野で日本のお客様を対象にしたビジネスができるようになったことは、グローバルな視点から見ても大きな意義があります。

図 ハイブリッド車や電気自動車の電源システムの構成
ハイブリッド車や電気自動車の電源システムの構成
[画像のクリックで拡大表示]

先進的な技術を積極投入

――パワートレインの分野では、どのような製品を供給していくのでしょうか。

■Williams  クルマの電動化の動きに伴って、車載機器を駆動する電力のシステム電圧が、これまでの直流12Vから、ハイブリッド車や電気自動車のモーターを駆動する同250~800V、さらには欧州市場での実用化が始まったマイルドハイブリッド車向けの同48Vへと引き上げられます。さらに、これら多様な電圧が、1台のクルマの中で併用されるようになります。

 こうしたシステム電圧の変化の成功には、モーターや電装品を駆動するインバーターや電源システム内部での電圧変換、家庭用電源でバッテリーを充電するためのオンボードチャージャー(OBC)の高性能化が欠かせません。これを実現するため、グローバル市場で豊富な実績を持つIGBTやスーパージャンクションMOSFET、ゲートドライバーなどを提供していきます。

――パワートレインの分野で、どのような優位性を訴求していくのでしょうか。

■Williams  まず、SiCやGaNといったワイドバンドギャップ(WBG)デバイスを積極的に活用し、小型・軽量化と高効率化を推し進めます(図)。旧フェアチャイルドは耐圧1kV以上の用途に向くSiCデバイスを、オン・セミコンダクターは同1kV未満の用途に向くGaNデバイスを保有していたため、買収後にはWBGデバイスの品ぞろえが補完的に拡大しました。SiCデバイスは駆動用モーターや高性能エアコンのインバーター、さらにはブーストコンバーターへの利用を提案していきます。GaNデバイスはOBC向けAC/DCコンバーターや直流高電圧を直流12Vに変換するDC/DCコンバーターへの応用を想定しています。

 これら豊富になったパワートレイン向けの品ぞろえをフル活用して、複数の部品を集積することによるモジュール化を推し進めます。これによって、電源回路の小型・軽量化、設計や生産の容易化、信頼性のさらなる向上を図ります。1つのモジュールの中に複数個のパワースイッチとゲートドライバーを集積したインテリジェント・パワー・モジュール(IPM)やパワースイッチと抵抗を集積したパワー・インテグレーテッド・モジュール(PIM)を、お客様の開発戦略に合わせて用意し、供給していきます。

――日本の自動車業界でのオン・セミコンダクターの存在感が大きくなりそうですね。

■Williams  設計開発、製造、販売のすべてを日本国内で行える外資系半導体メーカーはオン・セミコンダクターだけです。チップの不良解析を行う施設や、「ソリューション・エンジニアリングセンター」と呼ぶ新しい応用の開発とエンジニアリングサポートを提供する組織も日本に置いています。日本の自動車業界がクルマの電動化でリードしていく際に、パワー半導体のリーダーとして私たちは大きな貢献ができると確信しています。

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