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日経テクノロジーonline SPECIAL

2度目の挑戦でPLM導入に成功

ローランド ディー. ジー.株式会社
R&D本部
開発支援室 開発管理ユニット
マネージャ
原 浩二

 「Aras Innovator」のユーザー事例としてローランド ディー. ジー.の原浩二氏が「なぜPLMか、なぜARASなのか」と題して講演した。業務用の大型プリンターや歯科用を含む3Dプリンターを手掛ける同社は、PLMツールとして米Aras社が提供する「Aras Innovator」を選定し、2015年8月にサービスインを果たしている。原氏は、PLMツールの導入に失敗した過去の経緯などをざっくばらんに語り、現在も進行中のPLM導入のポイントを紹介した。

 私は2013年からローランド ディー. ジー.でPLMツールを導入してまいりました。それ以前の2006年から2007年頃にかけて、ローランド ディー. ジー.では不断の業務改革が必要との観点から、製品企画に始まり、設計、および製造までを手掛ける製品ライフサイクル管理のPLMツールの導入を検討したことがありました。

 当時はPLM導入によって業務をこう変えていきたいといった将来像が明確ではないまま、外部のコンサルティング会社に任せてしまったことや、ユーザー画面の枝葉末節を見てPLMツールの質を評価してしまったり、従来の業務のやり方を変えたがらない部門の存在などもあって、計画はいったん頓挫することになりました。

 その後、私が2013年春に親会社だったローランドからローランド ディー. ジー.に転属し、ローランドでPLMおよびPDM(product data management)の導入に関わってきたこともあり、PLMの導入をもう一度やってみようということになりました。2013年秋には『Aras Innovator』のテストランを行い、2014年4月に導入を正式にキックオフしたのち、2015年8月にサービスインに漕ぎ着けています。

PLMツールとしてARASを選択

 Aras Innovatorを選定したのにはいくつかの理由があります。まず、PLMツールとして全体が破綻なく作られているかをどうかを重視しました。ほかに、ITのエキスパートではない人がインストールできるか、マニュアルが整備されているか、メンテナンス(バージョンアップ)は簡単に実行できるか、なども評価しました。

 また、実体ファイルがOS配下のファイルシステム上に置かれていることもAras Innovatorの重要なポイントでした。ツールの独自データベース上に格納されていると、バージョンアップのときなどにデータベースの整合性チェックで多大な時間がかかる可能性があるからです。

 システムベンダーが信頼できるかどうかも重視しました。今回はSCSKに大変お世話になったのですが、こちらがスモールスタートでやりたいと要望したのに対して、あれもこれもと詰め込むことなく、誠実に的確な提案をしてくれましたので、こちらも信頼できたわけです。

PLMの確立には5年から10年が必要

 PLMの導入を検討しているが、上(経営陣)が理解してくれない、あるいは関連部門や現場が動いてくれない、といった声をよく聞きます。ときには根深い問題を孕むこともあるかもしれません。対応策としては、プロダクトライフサイクルといった大上段の説明をするのではなくて、各個人の業務をうまく流すための仕掛けとして意識を共有するとともに、変化の激しい時代において、緩慢な企業は生き残れないということを理解してもらうことが肝要と思います。また、社内に味方を作ることや、問題が起きそうな相手と話をして距離を詰めておく、評論家風の人はご遠慮願う、といった配慮も必要です。

 さて、ローランド ディー. ジー.では2015年にAras Innovatorをサービスインしましたが、2年経った今でも内部の問題によって一部の機能はまだ動かせていません。PLMの仕組みの確立には5年あるいは10年といった長い時間がかかることは承知していますので、段階を追って『ユルい』運用を『カッチリ』な運用に移行させながら、これからも改革に向けて取り組みを続けていきます。

 ACE 2017 JAPANに来場されている皆様も、5年から10年という長いスパンでPLMに取り組まれ、成功を希求されることを願っています。