• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
日経テクノロジーonline SPECIAL

クルマの技術革新をものづくりや物流で生かす

ボッシュ株式会社
オートモーティブエレクトロニクス事業部 事業開発室
室長
佐藤正行

自動車部品、電動工具のリーディングカンパニーであるボッシュでは、クルマの電動化、自動化、ネットワーク化を後押しする高度な電気・電子技術を開発し提供している。そして現在、クルマで培った技術を生かして、ものづくりや物流の分野でのIoT活用にも取り組み始めている。そのためにAras InnovatorとIoTソリューションの融合が欠かせなかった。ボッシュ日本法人の佐藤正行氏が現在進行中のクルマの技術革新と、そこで育んだ技術のIoTへの応用について紹介した。

 ボッシュの佐藤氏の講演は、現在劇的に進化しているクルマのテクノロジーをおさらいするところから始まった。未来のクルマは、3つのキーワード「electrified(電動化)」「automated(自動化)」「connected(ネットワーク化)」で進化の方向性が指し示されている。

 電動化は、クルマでだけではなく、これまで内燃機関で動かしていたバイク、スクーターなどあらゆる乗り物に及ぶ。その目的は環境規制への適合だけではない。低回転・高トルクなモーターの加速を一度経験すると、後戻りできない高性能を実感できる。

 自動化は、交通をより効率的にし、安全性をより高める。現在の事故原因(危険な追い越し、疲労など)の37%は、自動運転によって直接緩和される。さらに、既に渋滞時や駐車時の面倒な運転が実現しており、利便性が大いに高まることは確実だ。

 ネットワーク化は、単にクルマにインターネット通信機能が付くだけではなく、例えば、クルマが事故を起こした時に、コールセンターや救急車の呼び出しなどを行う緊急通報サービスが実現。ネットにつながることで、車載システムの機能を動かすソフトウエアやファームウエアを無線で更新するようになる。また、複数のクルマで取得した走行環境のデータやセンサーデータを共有し、周辺環境のデータをリアルタイム更新するためにも使う。

クルマ向け技術をIoTに生かす

 クルマの電動化、自動化、ネットワーク化を実現する上で、センサーなど半導体と電気・電子システムの重要性が高まる。ボッシュは、大規模な工場を保有する半導体メーカーでもあり、MEMSセンサーの分野では世界最大のサプライヤーだ。「素子からモジュール、システムまでを一貫して開発・製造できる極めて高い競争力を持った企業です」(佐藤氏)。

 ボッシュは、クルマ向けで培った電動化、自動化、コネクテッドを推し進める高度な電装品関連技術を、ものづくりや物流でのIoT活用支援へと応用を広げる取り組みを進めている。ボッシュの技術の粋を注いだIoTデバイスを3つ市場投入する予定である。

 1つめは、IoTソリューションを開発するためのセンサープラットフォーム「XDK」。60mm×40mmの小さな筐体の中に、加速度・ジャイロ・地磁気・圧力・温度・湿度・騒音・照度のデータを氏取得する8つのセンサー、そして無線通信機能、32ビットマイコン、Micro SDカードスロットなどを搭載したモジュールである。XDKを製造現場の設備や装置に取り付けることで、そこから取得したデータを解析して故障や不具合の予兆を察知して予知保全に活用できる。2つめは、XDKをタフにしたソリューションで、XDKのプラスチック製の筐体から改良し、過酷な環境に耐える製品を用意し、射出成形機などにも取り付けられるようにした。さらに3つめは、運送中の荷物の状態や周辺の環境などを検知するソリューションである。加速度・温度・湿度・傾きを検知するセンサーを搭載している。精密機械や温度変化が気になる荷物を運ぶトラックの荷室に取り付けることで、運送中にかかる衝撃や荷室の温度・湿度の変化などを常時モニタリングできる。

 このようにクルマから出発した技術は、ものづくりや物流などのIoTソリューションとして生かすことができる。これらのIoTソリューションは、Aras Innovatorと連携利用することで、製品開発の工程中で扱うデータを、より豊富かつ簡単に収集・管理できるようになる()。

[画像のクリックで拡大表示]
図 Aras InnovatorとボッシュのIoTソリューションの融合で、より効果的で効果的にテストを実施

 例えば、設計した試作品の動きをテストする場合、試作品に取り付けたXDLで収集したデータを全て自動的にAras Innovatorに格納し、そこで蓄積・管理できる。そして、合否判定の結果をドキュメント化してレポートを発行するまでの作業を自動的に行う。「IoTソリューションとPLMの融合によって、より効果的で効率的なテストを実施することができるようになります」。