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日経テクノロジーonline SPECIAL

大規模化と複雑化が加速する車載ソフト、ベクターはその開発をシンプルに変える

車載システムの開発ツールや組み込みソフトウエアを提供するベクター・ジャパンは、2018年に創立20周年を迎える。自動運転車や電気自動車の本格的な普及を目前に控え、クルマの価値をソフトウエアで高めていく時代になってきた。こうした中、同社の存在感は大きくなる一方だ。同社 代表取締役社長の立花徹氏に、日本の自動車業界の中で同社が果たす役割について聞いた。

―ベクター・ジャパンは、2018年に20周年を迎えます。現在までの間、自動車業界ではどのような変化が起きたのでしょうか。

立花:ベクター・ジャパンは、1998年に車載LAN規格「CAN(Controller Area Network)」に対応した車載ネットワークの開発ツール「CANoe/CANalyzer」を携えて日本市場に参入しました。それ以降、自動車業界では、大きく3つの変化が起きました。

 1つは、ソフトウエア開発がクルマの競争力の源泉になる時代が到来したことです。自動運転など、クルマが高度化するに従って、自動車開発はますます複雑化しています。そして、クルマに搭載するさまざまな機能がソフトウエア化し、しかもその規模の増大と複雑化が加速し続けています。

 2つ目は、お客様のニーズが高度化したことです。自動運転車、電気自動車などの普及を求める市場の声が急速に大きくなってきました。クルマが高度化する中で、車載Ethernetや機能安全の規格「ISO 26262」、セキュリティーなど、お客様は新たな技術要求への対応を求められています。我々に対するニーズも、日々高度化していると感じています。

 3つ目は、異業種からの新たなプレーヤーの参入です。クルマの電子化や電動化が進み、日本の自動車業界に、家電メーカーなどが次々と参入しています。

ソフトがクルマの価値を高める

―自動車業界の中で、ベクターはどのような役割を果たすのでしょうか。

立花:複雑化するソフトウエア開発をよりシンプルに効率化することこそが、ベクターの使命です。開発の効率化によって生まれた時間を、お客様にとって、より重要な仕事(競争領域)に振り向けていただくことが重要になります。

 自動車開発においてソフトウエアの重要性が高まり、お客様から開発パートナーとして頼りにされる場面が増えてきました。これからも期待に応えられるように取り組んでまいります。

―具体的には、どのような点にベクターの強みがあるのでしょうか。

立花:ベクターは、先進的な機能と豊富な実績を持つ開発ツールとECU通信組み込みソフトウエアをタイムリーに提供しています。ベクターの本社はドイツにあり、欧州の自動車メーカーの先進的なニーズを反映して製品開発を進めており、それが我々の強みとなっています。日本を含む各国自動車業界の主要企業のほとんどがお客様であり、ベクターの製品は世界のデファクトスタンダードとなっています。

 日本の市場においても着実に実績を積み重ねています。例えば、車載ネットワーク開発・テストを支援する「CANoe/CANalyzer」の日本での累計販売数は3万本に達しています。毎年バージョンアップを繰り返して、常に最新の技術に対応できる状態を維持しています。最近では、トヨタ自動車が診断通信ソフトウエアの推奨テストツールとして当社の「CANoe.DiVa」を選定しました。ベクターはトヨタ製ECUの診断通信ソフトウエアを実装と評価の両面でサポートしています。

―欧州市場で培った製品力が強みになっているのですね。

立花:はい。ECU通信組み込みソフトウエアでも同様です。かつて、パソコン市場において業界標準OSの登場によって市場の拡大が一気に進んだように、自動車市場でも「協調」と「競争」の使い分けが進んでいます。

 ベクターは、標準規格「AUTOSAR」に準拠したソフトウエアの提供に注力し、仕様の更新にいち早く追随しています。ベクターの「MICROSAR」は、日本を含む世界市場で最も多く使われているAUTOSARベーシックソフトウエア(AUTOSAR BSW)であると自負しています。この製品は、BSWとして初めて、機能安全規格ISO 26262の最高レベルであるASIL D認証を取得しました。そして、トヨタ自動車はAUTOSAR BSWの推奨ベンダーの1社としてベクターを選定しており、その他の多くの自動車メーカーにも採用されています。

自動運転時代の開発パートナー

―クルマの高度化は加速しています。どのように対応していくのでしょうか。

立花:現在、ベクターではお客様の多様なニーズに対応するためにM&Aを推し進めて、自社のラインアップにない製品・技術を強化しています。

 ここ数年では、例えば、多様なセンサーからのデータを統合的に処理することが求められるADAS開発のソリューションとして、独BASELABS社に出資し、アルゴリズム開発支援ツール「vADASdeveloper」をベクターのポートフォリオに加えました。また、車載向け計測器メーカーの独CSM社にも出資し、電気自動車の開発に必要となる高電圧対応の計測モジュールも提供できるようになりました。そして2017年は、ソースコードのテスト自動化ツール「VectorCAST」を開発した米ベクター・ソフトウェア社を買収し、テストソリューションを拡大しました。

―今後、どのような事業分野に注力していくのでしょうか。

立花:お客様の開発パートナーとして付加価値を提供し続けるために、先進的な技術要求に注力していきます。具体的には、高速車載LANである車載Ethernetや、ADASのシステム開発を効率化するツールとソリューション。それに、自動運転システムに対応する新たな規格「AUTOSAR Adaptive」にはいち早く取り組んでおり、既にAUTOSAR Adaptiveの評価版の提供を開始しています。さらにセーフティーやセキュリティーを加えた、5つの分野に主に注力していくつもりです。

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図 自動運転時代を見据えて、ベクターが注力する5つの開発ドメイン

―ますます重要な役割を果たしていくことになりそうですね。

立花:ベクターは本社がドイツにあり、欧州の最新動向や先端技術に関する情報や知見が豊富で、こうした最新の情報と技術を日本のお客様にいち早く伝えることができます。

 今後、自動車以外の業種参入もますます増えて、例えば5年後には、現在あまり接点のない企業がお客様になっているかもしれません。ベクターは引き続き、オートモーティブソフトウエアの開発パートナーとして、市場で認められたツールやソリューションと最新の知見を提供しながら新たなプレーヤーもサポートしていきます。複雑な開発をシンプルに、それがベクターの役割だと考えています。

お問い合わせ
  • ベクター・ジャパン株式会社
    ベクター・ジャパン株式会社

    〒140-0002 東京都品川区東品川2-2-20 天王洲郵船ビル16F

    URL:http://www.vector-japan.co.jp