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日経テクノロジーonline SPECIAL

産業・車載で高度な技術を持つ日本企業と共にデータ活用社会を支えるチップを作りたい

データを伝送する場所には必ず使われているのがブロードコムの製品だ。IoTや自動運転など、莫大なデータを扱うシステムの活用が広がることで、同社の存在感はますます大きくなってきている。ここ数年戦略的に実施したM&Aによって、扱う製品と保有する技術の幅が急激に広がった。現在のブロードコムの強みとこれからのビジョンについて、日本法人代表取締役社長の水野大地氏に聞いた。

―ブロードコムは、どのような半導体メーカーなのでしょうか。

水野:現在のブロードコム(BroadcomLtd.)は、2016年にAvago Technologies社が、旧Broadcom(Broadcom Corp.)を買収して生まれました(図)。母体であるAvago社は、Hewlett-Packard社の半導体部門を引き継いだAgilent Technologies社を起源とした企業でした。そして、Avago社時代に、ASIC事業、ハードディスクやストレージ系半導体を生み出したAgere Systems社やAT&Tのベル研究所の半導体部門を引き継いだLSI社を吸収しています。こうした経緯を総じて見れば、現在のブロードコムは、半導体産業の黎明期(れいめい)からシリコンバレーで培われてきた技術の粋を集めた企業になったといえます。

 ブロードコムは、大きく4つの分野にフォーカスしてビジネスを展開しています。光通信、セットトップボックスやEthernet関連の「ワイヤード(有線)」、スマートフォンなどで用いるWi-FiやRFフィルターなどの「ワイヤレス(無線)」、データセンターで使うスイッチ、ハードディスクやSSD用半導体などを扱う「エンタープライズストレージ」、さらに産業や車載Ethernetや関連製品を扱う「産業・車載」です。それぞれのビジネスでは、全社で所有している豊富なIP(知的財産)を基にして付加価値の高い製品を開発し、世界中に供給しています。生産に関しては、一部製品を除いて、ほとんどを外部に委託しているファブレスメーカーです。

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図 シリコンバレーの技術の粋を集めたブロードコム

―日本における事業の中心は。

水野:日本では、全社の7~8%の売り上げを上げています。

 現在は、エンタープライズストレージや産業系向けの製品が大きな比率を占めていますが、今後は10nmや7nmなどの最先端CMOSプロセスで生産するASICも大きく貢献していくと思っています。ASICに関しましては日本のお客様と共に、ディープラーニングやデータセンター周辺で用いる機器に関連したチップなどを中心に開発しており、通信速度を向上させるための光系のASICも扱っています。

 また、産業系の主力製品はFAやロボットに用いるアイソレーション関連の製品で、具体的には電流検出機能を持つ付加価値の高いハイエンドフォトカプラーなどを数多く販売しています。さらに、産業のIoT化のため通信速度を上げるネットワーク用チップや革新的なバッテリーレスモーターエンコーダーを、お客様のニーズに合わせたセミカスタム製品を開発し、販売しています。加えて汎用品ではチップLED、高輝度LEDや7セグLEDなども産業、民生および車載向けに販売しています。

きめ細かな製品のカスタマイズ

―2017年の事業状況は。

水野:2017年10月に第4四半期を締めたのですが、産業・車載で前年比20%以上成長し、過去最高の売り上げを記録しました。需要自体が強かったのも確かですが、マーケットシェアも高めることができました。旺盛な需要が先行し、いくら作っても足りないような状況でした。

 地域別に見ると、産業系に関しては、中国と日本での伸び率が高くなりました。日本には、サーボモーターに強い企業が多くあるため、それに関連した製品の需要が急激に高まりました。

―市場でのブロードコムの強みは。

水野:まず、最新の技術や機能を投入した新製品を毎年投入し続けている点が強みとして挙がります。お客様の要望をきめ細かく吸い上げ、ニーズに応える製品をいち早く開発して提案しております。例えば産業系では、IoTで扱うデータ量の増加に対応するために、有線ネットワークの通信速度を上げたいというニーズが高まっていますが、弊社は、約2万8000件の特許と豊富なIPを保有しており、かつASIC設計力を背景にしたセミカスタムチップの開発力があります。こうした力を生かして、通信速度の向上と共に、信頼性の向上、不具合検出機能の追加、利用可能な温度範囲の拡大など、お客様ごとの要求に応じたカスタマイズが可能です。産業では、こうしたカスタマイズ力が大きな力になります。

データが流れるところにブロードコム

水野:また、通信分野での技術開発の蓄積から、伝送するデータの量が増えれば増えるほどブロードコムの強さが際立ってきます。端末からサーバー、ストレージのところまで、データが流れる場所にはすべてブロードコムの製品があります。

 車載でも、これから自動運転が始まれば、センサーで取得した大量のデータをリアルタイムで分析することが欠かせなくなります。そこでは、スイッチやPHYなど、ブロードコムが得意とするチップが求められます。

―ブロードコムの今後の展望は。

水野:これまでブロードコムは、多くの企業の技術や文化を自社のDNAの中に取り込みながら成長してきました。CEOのHock E. Tanは、社内のコーヒートークなどの場で「長期にわたって継続的にビジネスを営み、製品を供給していける企業になろう」と繰り返し語っています。半導体産業の中で巨大な企業群に囲まれて継続的にビジネスしていくことは、なかなか大変なことです。例えば、ファブレス企業である私たちには、ファウンドリーとの交渉力を高めて、最先端の開発プロセスをいち早くお客様に提供できるようにすることや、お客様に供給する製品の納期とコストが有利になるような環境をつくっておく必要があります。競争力のある製品を開発し続けられる体制も欠かせません。

―2018年の注力分野は。

水野:産業と車載は、2017年と同等以上の伸びになるのではと考えています。特に、車載EthernetやEV(電気自動車)関係での普及率がどんどん増えていく見込みで、アイソレーション製品やスイッチなどの需要が大いに高まることでしょう。産業系に関してはロボット向けモーターのエンコーダーや産業用データ通信に関係ある製品の新たな需要が増えるとみています。

 今後我々は、戦略的なパートナーシップを構築できる新規顧客の開拓に注力していきます。日本には、産業と車載の分野において、技術レベルが高い企業がひしめいています。未来の応用を開く技術の宝の山のような国です。こうした技術を持つ企業とのお付き合いを深め、グローバル市場において日本企業のマーケットシェアの拡大に貢献できればと考えております。

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  • アバゴ・テクノロジー株式会社
    アバゴ・テクノロジー株式会社

    Broadcom Ltd.

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