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日経テクノロジーonline SPECIAL

自動運転システム、開発の鍵は低電力コアの活用安心の動作確認済み技術を提供するシーバ

人工知能(AI)を活用した自動運転システムでは、先進運転支援システム(ADAS)よりも膨大な信号処理が求められる。そうした中、処理性能を担保しながら低電力と安全性を実現するCEVAのコンピュータービジョン・プロセッサーとニューラルネットワーク・アクセラレーター技術に注目が集まっている。日本シーバ代表取締役社長の日比野一敬氏に、同社製コアの展望を聞いた。

―2017年の事業状況は。

日比野:2017年第3四半期は、前年同期比35%増で過去最高の結果を記録しています。第3四半期は、ライセンスの売上高が1400万米ドル、ロイヤルティーが1000万米ドル。特にライセンスの伸びが88%増と大きく、将来が楽しみになる結果となりました。2017年通年でも過去最高の売上高を記録する見込みです。

―好調の要因は。

日比野:まず、応用機器の出荷台数に応じた収入であるロイヤルティーでは、携帯電話のベースバンド向けが引き続き好調でした。さらに、Bluetooth、Wi-Fiといったコネクティビティーに向けハードコアが、健康バンドやワイヤレスヘッドホン、スマートスピーカー向けで伸びました。ワイヤレスヘッドホンは、高級機から普及機へと裾野が広がり、出荷台数が急増しました。そこには、シーバのDSPコアが数多く搭載されています。当社製品の超低消費電力な特長が評価されたことと、新しい規格に対応したコアをタイムリーに投入し続けた成果です。また、特定の言葉をトリガーとしてスリープ状態から目覚めたり、ノイズを除去したり、ビームフォーミングによって1方向の音声を取り込んだりする処理にも、私たちのDSPコアが使われています。

 一方、開発案件ごとの収入であるライセンス、言い換えれば将来のロイヤルティー収入の種になるものですが、ここでは高級デジタルカメラ、アクションカメラ、監視カメラなどイメージ&ビジョンの分野で伸びました。さらに、車載カメラ向けで、より高度な用途でのライセンスが伸びました。これまでは、HDRや超解像といった画像をきれいにする処理が応用の中心でしたが、今は画像認識処理が中心になりました。ここでは、人工知能(AI)の一種である畳み込みネットワーク(CNN)の処理で、シーバのDSPコアの活用に注目が集まっています。特に日本で、こうした動きが顕著です。

安全性向上は低電力コアで

―クルマの安全システムは、ADASから自動運転へと進化しつつあります。

日比野:現在のADASでは、車線を外れたら警告を出すとか、前方のクルマを追従するといった利用法が中心です。これが自動運転になると、ドライバーに代わってシステムが運転を担うことになりますから、認識の精度も頻度も飛躍的に高める必要が出てきます。このため、求められる処理能力を段違いに上げる必要が出てきます。

 また、ハードもソフトも、機能安全への対応が求められます。例えば、メモリーに蓄積したデータが宇宙線の影響で反転してしまっても、安全に運行できる仕組みが欠かせません。ハードには誤り訂正用のECC回路などを搭載する必要が出てきます。加えて、処理を実行するコアやソフト開発ツールには「ISO 26262」の認証取得が求められます。シーバは、こうした自動運転時代を見据えたIPや開発ツールを用意し、提供しています。

―自動運転車の安全性は、単純なコア性能だけでは確保できないのですね。

日比野:はい。安全性を確保するため、複数のコアを利用して、あえて冗長性を持たせるような使われ方もします。例えば、処理能力が高い1個のプロセッサーに処理を集中させるのではなく、「人」「クルマ」「標識」「車線」などの認識を4個のコアで分担処理するようなシステムです。こうした構成ならば、1個が壊れても、残りの3つのコアのクロックを上げて対処するといった柔軟な運用ができます。シーバは、自動運転システムの開発者が安全確保に向けて注力できるように、CNNや画像処理のライブラリーなどを、完全に動く形で提供していきます。

―自動運転でのAI処理を実行するチップやコアは、競合が多い分野です。シーバの訴求点は。

日比野:何より訴求したい点は、低消費電力であることです(図)。クルマの中で利用可能な電力は限られています。より少ない電力で高度な処理を実行できれば、その分より多くのコアを搭載できます。これによって、さらなる高性能化の追求も、冗長性を高めて緊急事態に備えることも可能になります。電気自動車(EV)市場が急激に立ち上がる公算が大きくなっていますが、EV中の自動運転システムは走行用バッテリーの電力を使うことになります。低消費電力であることは、走行可能距離の延長や放熱部品の削減による軽量化といった多くのメリットをもたらします。

 さらに、学習処理を実行するデータセンターで私たちの低消費電力コアを活用することで、負荷を軽減するソリューションを提案します。学習済みCNNの検証にシーバのDSPコアを利用すれば、学習処理を担うCPUやGPUの負荷を軽減できます。

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図 シーバが推し進める組み込みニューラルネットへの挑戦

実機で動くコアを提供

―2018年はどのようなテーマに注力するのでしょうか。

日比野:まず、自動運転やドローンをはじめとするAI搭載カメラに注力します。加えて、ワイヤレスIoTも本格的に立ち上がるとみています。狭帯域(NB)IoTが話題ですが、規格が複数あるため、簡単に通信関連処理をハード化できない状態です。私たちのプログラマブルで超低消費電力のコアならば、さまざまな規格に対応できる大量生産可能なチップを作ることができます。

 また、製品面では画像関連の新しいアーキテクチャーと新しいソフト開発ツールを投入する予定です。特にディープラーニングに関わる部分を継続的に強化します。より多くのフレームワークやネットワークレイヤーにも対応し、コアの高速化も図ります。

―楽しみな材料が多いですね。

日比野:私たちは、30年近く、組み込みシステムに最適化したコアに注力しています。AI処理向けにも、サーバー向けとは異なる構造のクルマや監視カメラなどへの搭載を前提としたコアを提供しています。その真価は、表面上の仕様ではなく、さまざまな機器に搭載したときにこそ実感できます。ここで強調したいことは、現在提供しているコアも、2018年以降に提供するコアも、すべて実機で動作確認した上で提供するということです。ロードマップやパソコン上のデモだけで、将来の可能性を示すような販売手法は取りません。AIを活用したシステム開発を効果的かつ効率的に進めるため、シーバの信号処理コアと開発ツールを利用していただければと思います。

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    日本シーバ株式会社

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