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Human Capital 2014 Review 優秀な人材を迅速に採用するためのダイレクト・リクルーティングへのアプローチ

鈴木 デービット 氏

日本オラクル
人事本部 採用企画部
ディレクター
鈴木 デービット 氏

 「その結果、採用経路の構成は大きく変化しました。2008年には過半数を占めていた中途採用における人材派遣会社からの紹介は激減し、2012年の段階で8割以上がソーシャルネットワークやWebサイト、個別勧誘で占められるようになったのです」と日本オラクルの人事本部 採用企画部 ディレクター、鈴木 デービット氏は語る。この変化に伴って採用コストも抑えられ、コスト面からも同社の競争力向上に貢献している。

 同社ではこの変革を支援するために、ソーシャルメディアを活用した従業員向けの人材紹介プログラム、メールやソーシャルメディアを利用した求人情報の公開や通知、候補者とのコミュニケーションの管理といった仕組みを導入し、サービスとしてユーザー企業への提供も開始している。

 パネルディスカッションではリンクトイン・ジャパン 日本オフィス代表代行の杉本 隆一郎氏も交え、ダイレクト・リクルーティングを実践するための課題と対策が話し合われた。

幅広い人材発掘を可能にするソーシャルメディアの活用

 グローバルにビジネス展開を進める企業の共通のテーマの1つとして挙げられるのが、グローバルビジネスを推進するための優秀な人材の採用である。そこでの重要な課題は「どこから人材を探すのか」(鈴木氏)だろう。そのツールの1つとして注目されているのがソーシャルメディアである。リンクトイン・ジャパンの杉本氏は「リンクトインはリクルーティング活動にも有効」だと説く。

 リンクトインの登録者数は、世界で3億人。日本在住の登録者も昨年末で100万人を突破した。IT業界や研究機関、金融業界に属する登録者が多く、営業、エンジニアから経営者層まで幅広い層の人が利用している。リンクトインは公のプロフィールを公開して、ビジネス上のつながりをつくったり、ビジネスにかかわるニュースを閲覧したりするなど、ビジネスの日常的な場面で利用されている。

小野 りちこ 氏

日本オラクル
クラウドアプリケーション事業統括
HCM営業本部
担当ディレクター
小野 りちこ 氏

 「リンクトインの特徴は、グローバルに統一されたプラットフォームで、3億人のプロフィールが閲覧できることです」と杉本氏はリンクトインの広がりを強調し、「しかも、顕在的な転職者は約2割。8割の人は潜在的な転職希望者です」と採用面から見た特徴を指摘する。

 日本オラクルのクラウドアプリケーション事業統括 HCM営業本部 担当ディレクター、小野 りちこ氏は、リンクトインなどのソーシャルメディア活用について「採用手段から見ると、紹介会社や転職媒体などではリーチできない潜在層にアピールできるのが強みです」と語る。ソーシャルメディアでは、転職を積極的に考えていない優秀な人材も登録している。人脈の広がりを伝って、自社の求めるプロフェッショナル人材を発掘することができる。

 リンクトインとしても、企業向け採用サービスである「リンクトイン・タレントソリューションズ」を提供。求人情報の掲載、人材の検索と連絡などのスカウトサービス、企業の採用向けページやバナー広告の掲載などを通して、企業のリクルーティング活動を積極的に支援している。

人材プールとしてのLinkedIn

LinkedInは転職潜在層、顕在層双方にアプローチ可能

人材プールとしてのLinkedIn

*出典:リンクトイン

採用する企業側に求められる意識変革と仕組みづくり

 確かにソーシャルメディアは人材情報の宝庫でもあるが、それを活用するには採用する企業側の努力も必要になる。その1つが採用担当者の意識改革だ。鈴木氏は「リンクトインをダイレクト・リクルーティングに活用するうえでは、どれだけの人とコンタクトできるかが鍵になります。当社では営業活動のようにプロアクティブにリクルーティングをしています」と語る。

 一般に中途採用の場合は、転職媒体に広告を掲載したり、人材会社からの紹介で面接したりするのがメインであり、通常は受け身の採用活動だ。杉本氏は「他社との競争となる新卒採用と違って、中途採用では受け身になりがち」と指摘する。鈴木氏も「受け身に慣れている採用担当者の意識改革には苦労しました」と話す。

 自社のニーズに合っていそうな人を探し出して、メールで直接コンタクトする。自発的にそうした動きができる採用担当者は少ないのが現状だけに、意識改革はダイレクト・リクルーティングの第一歩となるのである。

 採用担当者の意識改革と併せて鍵となるのが、システムによる採用活動の支援体制だ。膨大な登録者の中から人脈をたどって求める人材を探し出し、採用候補者の動向をウォッチし、適切な対応をとるというグローバルレベルの活動には、システムによる支援が欠かせない。

黒川 竜司 氏

日本オラクル
クラウドアプリケーション事業統括
事業開発部
担当ディレクター
黒川 竜司 氏

 前述したように、日本オラクルでは、ダイレクト・リクルーティングをシステム面から支援する活動に取り組んできた。具体的には、人材発掘のプラットフォームを提供するベンダーを買収し、自社の採用活動に取り入れてきたのである。

 日本オラクルのクラウドアプリケーション事業統括 事業開発部 担当ディレクター、黒川 竜司氏は「実際に利用してみて効果があるので、サービスとしてユーザー企業に提供することになりました。今秋には日本語化も完了する予定です」と語る。このサービスが「Oracle Social Sourcing」である。「Oracle HCM Cloud」の1サービスとして位置づけられている。

 こうしたツールは日進月歩に進化していく。クラウドだけに、気軽に導入できて、常に進化の恩恵を受けることができるのも大きな魅力だろう。

ダイレクト・リクルーティングは人材採用の質を高める

 ソーシャルメディアを利用したダイレクト・リクルーティングによって、もたらされるメリットは大きい。潜在的転職者を含む膨大な人材情報の中から最適な人材を発掘することができ、コスト面でも大幅な削減が期待できる。海外の現地企業の幹部を日本本社で選定できるというメリットもある。

 「それ以上に大きいのは、人材採用の質を高めることができることです」と小野氏は語る。ソーシャルメディアを通して企業のブランド価値を高めることができ、採用候補者にとって合理的で取り組みやすいプロセスを提供し、従業員のネットワークを通じて質の高いやり取りができる。

 日本オラクルではダイレクト・リクルーティングの比率が高まるにつれて、離職率が低くなってきている。鈴木氏は「採用のプロセスで仕事や会社の魅力を伝えることができ、納得したうえで入社してもらえることが好影響をもたらしているのでは」と分析する。採用候補者と接する採用担当者のスキルも向上したという。

 さらに、今後の展開にも期待は高まる。現在、ダイレクト・リクルーティングの対象は中途採用に限定されているが、新卒採用にも広がっていくと予想されるからだ。「ソーシャルメディアの利用者は若い人が中心です。それだけに今後は新卒採用にも利用できるのではと考えています」と鈴木氏。杉本氏も「リンクトインとしても新卒市場に目を向けています。大学側の理解も広がりつつあります」と変化を強調する。

 優秀な人材は“優秀な人材の先にいる”といわれる。ソーシャルメディアによって幅広い視野で人材を発掘し、迅速で効率的な採用を可能にするダイレクト・リクルーティングは、グローバルビジネスの世界でしのぎを削るグローバル企業の競争力を左右する鍵になるだろう。

お問い合わせ

日本オラクル株式会社

URL:http://www.oracle.com/jp/